映画「万引き家族」、

観てから少し時間が経ちますが

感想を書いてみます。

 

 

(C)2018フジテレビジョン ギャガ AOI PRO.

 

 

いやいや、深い映画でした。

 

 

カンヌ国際映画祭の

最優秀作品に与えられる

パルム・ドール賞を

とったといいますが、

そうでしょうね。

 

 

 

(以下ネタバレ注意です)

 

 

この映画の内容を

一言でいうなら

 

ズバリ、

 

『疑似家族の日常と崩壊』

 

です。

 

 

都会の片鱗にある、

高層ビルに囲まれた

ボロボロの平屋で暮らす

柴田家。

 

 

 

家族のメンバーは

 

年金暮らしの祖母、初枝

 

日雇い労働者の

父親、治

 

クリーニング店で

働く妻の信代に

 

息子の祥太

 

女子高生で風俗に

働く亜紀は

信代の妹です。

 

 

 

(C)2018フジテレビジョン ギャガ AOI PRO.

 

 

物語は

近所の団地に住む

少女ゆりを

父の治が家に連れ帰る

ところから始まります。

 

 

ゆりの体はアザだらけ

でしたが、

 

(明らかに虐待とわかる)

 

とりあえず

うどんを食べさせ、

信代はゆりを

団地に返しに行くのです。

 

 

しかし、

両親の罵声が聞こえ、

 

夜の闇の中、

信代はゆりを

置いていけませんでした。

 

 

 

(C)2018フジテレビジョン ギャガ AOI PRO.

 

 

一方、祥太は

小学校に通う同年代の

子どもたちを横目に

 

父の治がいう

 

「学校は勉強が

   できないやつが行くんだ」

 

といういいわけを

信じて、

 

治と一緒にある

”仕事”をしています。

 

 

 

そんな祥太にとって

新参者のゆりは

自分以外の子ども

という存在であり、

 

日に日に慕ってくる

ゆりを大切に思う

ようになります。

 

 

 

そして、ある日、

 

祥太が

いつものように

駄菓子屋で仕事

(万引き)をしよう

とすると

 

ゆりも真似をして

盗もうとします。

 

 

それを見ていた

駄菓子屋の店主の

おじいさんは

 

二人を叱ることなく、

チューブに入った

ジュースを差し出しながら

祥太にこういいます。

 

 

「妹にはさせんなよ」

 

 

 

祥太の中で

葛藤が始まります。。。

 

 

 

 

治は足に怪我をして

労災がおりず、

 

信代は

リストラされて

ますます困窮し、

 

収入は初枝の年金だけ

という窮地を

笑って受け流すように

 

一家は

ビルに囲まれた

家の軒先で

 

見えない

花火の音を楽しみ、

 

電車で海水浴にも出かけます。

 

 

 

(C)2018フジテレビジョン ギャガ AOI PRO.

 

 

 

そんな

穏やかな日常が

淡々と流れていくと

思いきや、

 

祥太が万引きで捕まった

ことにより

 

一家の秘密が

暴かれていくのです。

 

 

 

 

 

警察では、

警官が治を詰問します。

 

 

「なぜ、子どもに

 万引きを

 させたんですか?」

 

 

治はこう答えます。

 

 

「他に教えられる

 ものがなかったから」

 

 

 

そして

 

(親のいない)

祥太は養護院へ

 

ゆりは

虐待する親の元へ

 

亜紀は(放置された)

自分の家へ

 

 

それぞれが社会的に

いるべきところに

戻ったことで、

一家は解体します。

 

 

 

 

さて、

 

この映画は人の心を

揺さぶるからか

 

一部の人からは

治と信代夫妻は

ネグレクトだと、

 

映画の内容が反社会性を

許容しているのではと

批判されているようです。

 

 

たしかに

治と信代は

疑似親としても

到底成り立っていず

 

生き方モデルには

なり得ない大人でした。

 

 

実際、子どもたちは

受けるべき教育を

受けていないし

 

なのに

万引きは教わるしで、

 

モラルやルールから

外れまくりです。

 

 

そのあり方は

社会の中で生きるには

あまりに危うい。

 

 

その危うさを本能で

誰よりも感じたからこそ、

 

祥太は

わざと見つかるように

捕まったのです。

 

 

 

とはいえ、治と信代は

そもそも

親になりたかった
わけではない。


ただ、

困っている子がいた、

 

だから、助けた、

 

助けてしまった

のでしょう。

 

 

 

くしくも、警官に

 

「子どもを
 誘拐したんでしょう?」

 

と問われたとき

信代が


『拾ったんです。

 捨てたのは他の人
 なんじゃないですか。』


と答えたように

 

 

祥太もゆりも亜紀も

家族から

求められている

子どもではなかった・・・

 

 

 

 


 

家族とはなんでしょう。

 

 

 

この映画は

観たものの心の中に

 

家族とはなにか、

絆とは何かを

問いかけています。

 

 

 

人としても、

親としても

 

いびつで不完全な

治と信代に

拾われた子どもたち。

 

 

 

それでも

彼らの共同生活は、

 

無駄ではないし

無意味でもないはずです。
  

 

「ここにいていい」

 

という居場所が

あったことは

 

それぞれの子どもの胸に

内在化されて、いつか

生かされるのだと思います。

 

 

それはもしかして、

 

少女のゆりにとっては

虐待被害者として生きる

現実以外のものがある

というリアルでしょうし

 

祥太にとっては

(それが不適切だとしても)
何かを伝えたいと

本気で思ってくれる

大人がいたことでしょうし

 

高校生の亜紀にとっては

自分を受け入れてくれる

誰かがいたこと。

 

 

 

そこで得たものは

蓋をあければ

人に誇れるような

美しいものではなかった。

 

それでも、

温もりがあった。

 

それも、事実。

 

 

 

 

家族ってなんでしょうね。

 

 

 

答えをあえて

出さないまま

 

終わりになって

いるところも含めて

 

とても味わい深い

いい映画でしたドキドキ

 

 

万引き家族

http://gaga.ne.jp/manbiki-kazoku/

 

 

 

 

 

 


 

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