【八王子市】東浅川熊野神社 | ぼっちあるき

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歩きながら考えてみた

高尾駅から甲州街道を東へ歩いて、熊野神社にやって来ました。

 

 

社額が達筆過ぎて難読ですが、「熊野宮」と書かれているようです。熊野児童遊園という看板も掲げられていました。境内が子どもの遊び場として開放されているのは好感度UPです。街道沿いですけど、高台にあるので静かな場所です。

 

 

立派な御神木。案内板には「昔の恋の物語」が書かれています。北条氏照に目を掛けられていた笛吹の若者と氏照の家臣の姫が恋に落ち、この木の下で逢瀬を重ねていたそうです。その後どうなったかは定かではないとのことですが、この御神木は樫と欅の根元が一緒になって成長した相生の木なので、縁結びの木として知られるようになりました。

 

ちなみに、小石を二つ用意して、それぞれに自分と相手の名前を書き、木の根元に置くと想いが通じるそうですよ。こういう話を聞くと、「想い出の樹の下で」という岩崎宏美さんの楽曲(1977年)が思い浮かびます。

 

「♪この樹の下で愛を誓えば必ず二人は結ばれる」と歌いつつ、「♪信じましょ信じて生きましょそれが心の支えになるなら」となり、「♪たとえはかない想い出としても」とテンションが落ちていく哀しみ。歌い出しのサビメロ「♪私は忘れない」は、愛を誓ったことを忘れないという「想い出」のリフレインなのです。

 

これはもう昭和の名曲「木綿のハンカチーフ」(1975年)のパターンですね。「♪はなやいだ街で君への贈り物探すつもりだ」というイミフな動機で東上し、「♪君を忘れて変わっていく僕は帰れない」となって破局するという哀しい物語。最後まで聴くとタイトルの意味が分かる物語の切なさは、これを超える楽曲を知らないと言えるくらいの名曲です。

 

 

社殿に打ち付けられていた木札です。最近こういった注意書きをちょこちょこ見かけます。

 

 

万全の防犯体制。防犯カメラよりも実効性があるかもしれませんね。

 

 

ずらりと並ぶ石祠の境内社。天満宮や疱瘡神が祀られる中、左端に「お杓文字様」という珍しい祠があります。これは熊野神社の由緒にも関わってくる話で、ここに熊野神社を奉斎したのが、諸国行脚をしていた老夫婦だという説があるのです。

 

この祠は現在京王線のホームがある場所にあったのですが、そこは嘗て「ばばあ森」と呼ばれていました。この祠には常に杓文字が置かれていて、その杓文字を借りてよそったご飯を食べると、たちまち風邪が治るというご利益がありました。今だったらコロナ陰性になるって感じですね。

 

この神社は交差点の近くにあるのですが、その交差点付近には「じじい森」もあったそうです。熊野神社の創建は不明なのですが、老夫婦それぞれの森があったということは、この由緒はあながち眉唾でもなさそうですね。

 

次回は北へ向かって大きな橋を渡ります。それではまた!