いつでも退院できそうな
術後6日目。もう6日目か…!
術後の浮腫みはピークだけど、抜糸も完全に終わり、主治医曰く「もういつでも退院できる感じになってきた」ということで、経過は順調です。
首の付け根の肩の辺りと、耳の下と、ほぼ後頭部のところにがっちりと入ってたドレーン(ドレナージという体内の余分な水分や血液を外に出す処置のために差し込まれる管)が全て抜けて、まさに肩の荷が下りた。
力みの関係だろうけど、これが肩のところ一本抜いただけで嚥下や発声の調子まで大分変わるのね。
喉の浮腫みで飲み込みづらかった食べ物もスムーズにいくようになって一安心。
入院日ぶりのシャワーを浴びて心身ともに解放感を味わっている。
手術はというと、2~3時間の予定が、4時間半に。
麻酔から覚めたばかりのぼやけた枕元で、懸念されていた肩を上げるのが困難になることや、口の動きが悪くなることも避けたと主治医が話してくれたあと、「4時間半も手術してたんだぞ!」といくら麻酔から覚めたばかりだって聞こえすぎる声量の父に語りかけられ、それだけ丁寧にやってもらったんだということを実感した。
筋肉の間にある脂肪に包まれた状態のリンパ節たちを、様々な組織や神経を掻い潜って取り除くという作業。
手術前の診察では素人にもわかるよう簡単に説明してくれてたけど、頸部郭清術というものを詳しく調べていくと、どれだけの技術と集中力がいるんだろうと執刀の模様を想像してこっちが手に汗握ってしまう。
舌癌の手術後、リンパ節に転移する人は3人に1人で、2年以内が90%、1年越えるとまた違う、というところでの今回のこと。やっぱり1年の壁は分厚かったか…!
そう惜しがる気持ちの前に、舌を手術する際にはリンパ節も取ってしまうこともまだ多いという中、当初の見立てとして転移の可能性が低かったことや、定期検査をして発見した時点で手術をしても治療成績が変わらないこと、また恐らく生活の質を考えての方針で残してもらえたお陰で1年間快適に過ごさせてもらえたのがむしろ幸いなことだった。
というか、今回の術後を体験した上で舌の手術と一緒にやっていたらと思うと歯をくいしばるものがある…
そんな一つ一つのリスクを考えると、こういう選択の仕方によって治療に対する印象や病気に対しての姿勢も違ってくるし、その影響は治療を行う上での気持ちのところで相互作用してるんだなと思う。
医師と患者双方の積極性が成り立つと回復の早さも違うよね。
ちなみに、今回の告知と治療の説明を受けたときに主治医から言われてハッとしたのは
「治すための手術だからね。」
という言葉。
なんだろう、この病気も情報や統計ばかりでなく、個々人のものとして見たり細分化して見れば単に「難しいもの」ともされないのに、転移や再発などが頭にあってそれを大きく捉えてしまうときは、やはりどこかで治療について"対処"という言葉が中心になりかけてしまってたのかもしれない。
諦めとは違うけど、これをやっても終わりではなくて、なんとなく、また次の苦難があるんじゃないかという気持ち、漠然とした不安。
そこにガツンと響いた"治す"という言葉。
その意識は文字通り、一つ一つの治療に不可欠。
治療ってそういうものだったよなと。
すごく心に効いた言葉だった。
さあー。
体もフリーになったから、自分もグッと治療回復に取り組むようにベッドの空きを待つ患者さんのためにも退院へ向けてリハビリを覚えて実践していきましょうー。
ひとまず去年の術後に書いたときと同じく、
焦らず、地道に、じっくりと。
目の前の喜ぶことを喜んで、自分のやれることをやりまーす。
追伸
病院から撮れた2日連続での中秋の名月とスーパームーン。
1日違いでも雰囲気がガラッと変わるのがすごかったね。