これは、かの有名な「酸っぱいいわし(直訳)」surströmming 発酵食品の缶詰。今まさに開け始めた瞬間。
このいわし、世界で一番か二番に臭い食べ物、といわれているらしい。
やっぱり一度は試してみたい!という、いつもの、食べものへの好奇心(執着?)から、夕べ、土曜の夜に決行。
金曜日の私のアナウンス以来、家族それぞれ、どんなことになるのかと期待ちょっとと、大きな不安を抱えて、その夜を迎えたのである。
もともと北の食べもので、それ以外の地方では一般的ではないらしく、グンナル(私の夫)の家族も友人も食べたことがない。
「さて、覚悟を決めるか!」ということで、いよいよ、缶切りでプツッと一刺し。一秒、二秒、三秒、・・・「ん・・・・・・?」
・・・・「むおおおおっ」「くっさ~~~!」「窓!窓!」「うわっはっはっは!」
台所いっぱいに広がる予想通りの、いや予想以上といっていいであろう、強く、醗酵した生ゴミのような臭気に、家族は呆然。
急ぎ、窓が開けられたが、効果はない。だって、臭気は、およそ10尾ほどのいわしたちから、絶え間なく放たれ続けているのだから。
このさい、近隣の迷惑など構ってはおれない。非常事態であるのだから。
しかし、私は言い放ったのでした。だって、食べてみるしかないんだもの。
「大丈夫でしょう?だーいじょうぶ!こんなもんよ、食べよ、食べよ~!」
私の強引な説得に、家族全員、テーブルについてみたのであったが・・・。
添え物は、北方で収穫されるマンデルという種類のジャガイモ、みじん切り玉ねぎ、そして、サワークリーム。やわらかい薄いパンに巻いてもよし。
しかし、一口食べたあとのファミリーメンバーの感想は、
「ゴミためで醗酵した生ゴミのにおいだ」
「これは食いもんじゃないよ」
「やっぱ、だめ」
「これは、ぼくが食べものとして認められる範囲を超えている」
「わたし、これ食べられない」
「うわっはっはっは!」
だそうで、結局、一口で終了。
のけぞって座らないと、迫ってくるその臭いに耐えられない人や、まじめに吐き気をもよおした人もいたため、結局、臭気のもとである魚たちをナイロン袋に避難させたのだが、二重にしたその袋を、臭気は簡単に突き破った。そんなことってあるんですねえ。
結論。そう、臭いの強さは、キムチと同じ、いやそれ以上か。そして、臭いの質は、、、くさった生ゴミ、あるいは臭すぎるおなら。そうとしかいいようがないのです。強い塩味、生ゴミっぽい臭気。そして、かろうじて、ちょっといわしの匂い。いわしの食感。
でもね、私にはけっこう美味しかったんです、実は。食べれば食べるほど、くせになる味かもしれない。
美味しいといったのは、私と、夫の息子の彼女が連れてきた犬のティオ。一人と一匹だけでした。
もう二度と、うちの食卓にはのぼらないであろう、このメニュー。
勇んで、もう一缶買ったんだけど、明日、スーパーに返しに行こうかな。