2015年に初演した音楽劇「モーツァルトの旅」
ミレニアムホールでの再演を終えました。
(主催:東京室内歌劇場)


初演に引き続き、
モーツァルトの親友シカネーダー役を演じましたが、
初演の時のイメージは一度洗い流し、
一から作り直した感じでした。


自分自身がこの2年間でいろいろな経験を積み、
中身が同じであるはずもなく、
演じるシカネーダー役も自然と
同じ人物にはなり得ませんでした。


…歳をとったんだな…(笑)



ラストシーンは演出が変わり、
前回よりもキツイ芝居になりました。




初演では…
「魔笛」の本番中にモーツァルトの訃報
泣き叫ぶ→サリエリの言葉に押され、フラフラと立ち上がって舞台上へ
「パパパ」



という流れだったのですが、今回は…

サリエリの言葉を聞いても動けない
「パパパ」の前奏が始まってしまう
動揺しながらも歌い出す





今回このシーンで味わったのは、圧倒的な「恐怖」でした。初演は自力で立ち直り、舞台上まで歩いていく、というプロセスがありましたが、今回はそこが割愛され、先に音楽が始まってしまうのです。

「我々はどんな状況下でも歌わなければならない」

そして歌い出せば、自分の感情はどこかに押しやられ、モーツァルトの音楽が僕を圧倒していく。内から湧き上がってくるエネルギーが僕を歌へと導いていきます。

曲が終わり、舞台を降りた瞬間、せき止められていた感情が一気に吹き出します。まるで血が吹き出すかのように…





今回、もう1つの山場は「魔笛」製作秘話のような、モーツァルトとのシーンでした。ダ・ポンテと決裂し、孤独するモーツァルトに訥々(とつとつ)と語るシカネーダー。


初演ではただ淡々と語っていたのですが、再演ではそこにシカネーダー自身の「寂しさ」も重ね合わせるように演出されました。とても寂しくて、空しくて、それを見せずにモーツァルトを優しく包み込む。そこから流れ出す「魔笛」の二重唱(Nr.7)



↓鳥かごの背負子


↓笛は自前



おかげさまで、チケットは完売。
満員御礼。


たくさんの方々にお越しいただきました。
皆さんの感想は様々だと思います。
人それぞれの「モーツァルトの旅」があると思います。
それは、その人自身の人生の「心の旅」。


あなたはどんな旅をしますか?