このところ、気になる画家の画集やら書物を渉猟していて、こんな本に出会った。
海野弘:解説・監修「ヨーロッパの幻想美術---世紀末デカダンスとファム・ファタールたち---」
(パイ インターナショナル 2017)
闇と驚異、夢と幻がゆらめく幻想美術の世界
この書物を手に取ってみて、ページを繰っていたら目くるめく眩暈のような衝動に襲われた。
<目次>は、こういうラインアップになっている。
序文 世紀末デカダンスの夜の美術館
第1章 象徴主義のヨーロッパ周遊
第2章 デカダンス・モダン もう1つの世紀末
第3章 世紀末幻想のイコノロジー
大きな章立ては、こんな具合だけど、小さな章立てはさらに詳しくて・・・
「ヨーロッパ周遊」では、
*フランス象徴派
*ベルギー象徴派
*ラファエル前派
*ドイツ象徴派
*ウィーン分離派
*その他の象徴派
「もう1つの世紀末」では、
1 アール・ヌーヴォー、アール・デコと象徴派
2 世紀末とエロス
3 挿絵と世紀末デカダンス
4 シュルレアリスム---世紀末デカダンスの復権
「イコノロジー」では、
1 <心×サディズム> 怖い女
2 <身体×サディズム> 誘惑する女
3 <身体×マゾヒズム> 虐げられる女、裸体をさらす女
4 <心×マゾヒズム> 眠る女、傷める女、死せる女
という具合に展開するのだ!
400ページにわたって、多くの図版が紹介されていて、この書物でまさに「ヨーロッパの幻想美術」が体験できるわ・・・
興味深いのは、コラム<世紀末を彩る群像 ファム・ファタール>として、取り上げられている女性たちだ。
1 メアリー・シェリー 怪物をつくり出した女
2 アルマ・マーラー 芸術家の女狩人
3 コジマ・ワーグナー ワーグナー・カルトの女祭司
4 ルー・サロメ 天才キラーの女
5 モード・ゴン 美しき革命戦士
6 フリーダ・ロレンス チャタレイ夫人のモデル
このラインアップを見ただけで、身体中に怖気が振るうなあ・・・
アルマやコジマは、音楽界ではマーラー、ワーグナーの世界の表裏に出没する!
いろんなテーマが混在していて、一口には纏め切れない。
この中から、私なりに絞った記事を次回以降に紹介してみたい!
面白いのは第3章のカテゴリー分けにある。。。