ヘルベルト・フォン・カラヤン

Herbert von Karajan(1908~1989)

 

歴史上最も成功を収めた指揮者

 

 

オーストリア生まれ。第二次世界大戦を経て、1950年代中頃までのトスカニーニやフルトヴェングラーといった古の指揮者が活躍した時代から、次世代へと移り変わった1950年代後半以降、音楽が世界中(欧州やアメリカ以外へ)へ文化として広まり、音楽がビジネスとして成功した時代、その中心にいたのが後に歴史上もっとも知名度と人気の高い指揮者となるカラヤンである。その始まりは1954年、フルトヴェングラーの死去により(当時)世界最高と称されたベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者の後任として選ばれたことに始まる銃

 

日本は「右へ倣え」の傾向というのか、誰かが言ったから、誰かが評価したから、ということに強い影響を受けてしまう性質がありますが(もちろんそうでない人もたくさんいる)、カラヤンの何が凄いのか、どこが素晴らしいのか、というのを答えられる人がどのくらいいるでしょうか?

 

人気はあるが、その人気ゆえに、否定的な意見も多い。そして音楽をよく知る人ほどカラヤンに否定的なのはよくある話で、またそれを否定するのもよくある話(ややこしいアセアセ) 

 

結論を言ってしまうと、音楽的な能力のみで考えればカラヤンよりも凄い指揮者はたくさんいる。もちろん、音楽を聴くのは個人の好みでいいのだけれど、聴く人が聴けば、そして音楽家やプロデューサーといった同業者が聴けば、やはり優劣は確実に存在します。

 

私の経験上、有名な音楽評論家がきちんと聴けているかは昔の人ほど正直微妙であるし、逆に全くの素人でも(子供とか)鋭い指摘をしている人もいる。特にクラシック以外の音楽分野の人はかなり鋭いと私は思っているが、音楽を聴くのも実はセンスが必要ということなのだろう。

 

まずカラヤンの強みと最大の特徴は、独自の「サウンド」にある。華やかさと解放感のある音色、音量や楽器のバランスも徹底したこだわりを見せる。これに魅せられて、そしてカラヤンの風貌と振る舞いが加わり、多くのファンを獲得しているのは間違いない。

 

それ以外に関しては、最強クラスの指揮者と比べると、特別に際立っている能力を挙げるのは難しい(あくまで最強クラスとの比較なので、カラヤンが劣っているというわけではない)。

 

カラヤンのマイナス点は、リズムやビート感がやや劣っていることが挙げられる。曲によってはかなり顕著に出てしまっている。もしカラヤンの音楽を微妙だと感じるなら、この点が一番の原因ではないだろうか。

 

リズムやビートは音楽において最も重要な要素で、「構成」と「メロディーの歌い回し」は強く影響を受けるし、テンポの変化や間の違和感、そしてノリの悪さ、躍動感や力強さに欠けるのは言うまでもない。音楽をよく知る人、ロックやジャズなど他ジャンルの音楽もバリバリ聴く人だと不自然さや違和感を多く感じてしまうだろう。

 

カラヤンの日本での評価や人気が必要以上に高いのは、やはり(来日が多く)ビジネス的な戦略の名残りと、その上で日本の一部の著名な評論家が非常に高く評価していること、そして右に倣えの傾向ということになるだろう。

 

ではランキング!!キラキラ

 

 

★★★(3/5)

 

リズム・ビート・グルーブ感 ★★

構成・展開力 ★★★

ダイナミクス・インパクト ★★★

美しさ・歌・センス ★★★

緻密・繊細さ ★★★

サウンド・音色・色彩感 ★★★★

カリスマ性 ★★★★

魔力 ★★★

万能さ ★★★★

人気・ユーモア ★★★★★+

 

 

これは余談。カラヤンの1950年代の録音を聴くと(例として1957年の東京でのベルリンフィルとのライブ録音など)、「情熱的で若々しくてすごくいいじゃないか!」と感じる人がいると思いますが、これは前任のフルトヴェングラーの影響を強く受けた激烈な猛者達がベルリンフィルの団員として残っているからで、これはカラヤン以外が振っても同じような傾向になります(この影響を受けないのはクナッパーツブッシュくらい)。ベルリンフィルは時代が後になればなるほどカラヤン色が強くなっていきます

 

まさにその頃、1959年のカラヤン&ベルリンフィル