佐野元春&ザ・コヨーテ・バンド、横浜で吠える!『禅BEAT TOUR 2018』 | Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 !

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佐野元春がデビュー当時にフランチャイズしていたライヴハウス「舶来屋」は横浜にあった。同じくレギュラー出演していたテレビ番組『ファイティング80's』をオンエアしていたテレビ神奈川も横浜にある。高校時代に彼が家出し、一時的に暮らしていたのも横浜だ。スキンヘッドのパフォーマーの家に居候し、怒涛の勢いで曲を書き始める。そのとき、佐野は「僕はものすごく自由なんだ。僕らは何でもできるんだ」という気持ちを抱いたという。当時、東京から横浜まで深夜の国道をバイクに乗って飛ばす瞬間、彼はふっと心が軽くなるのを感じたそうだ。

 

いまも横浜が彼にとって、特別な場所かはわからない。ただ、横浜では何かが起こると勝手に期待してしまうファンもいるはずだ。佐野と横浜の関わりを知るオーディエンスにとって、同所は特別な場所かもしれない。

 

私自身も佐野に倣い、彼の横浜でのライブはできるだけ、車で行くようにしている。この日は残念ながら週末の桜木町、混雑、渋滞が予想される。開始時間も早いこともあり、JR京浜東北線利用になったが、電車も悪くない。車窓から入り込む塩の香りを感じたら(嘘!)、もう桜木町である。

 

会場のランドマークホールは桜木町の商業施設、ランドマークプラザにある。佐野にとっては新しいべニュー。彼らの“新しい航海”が始まろうとしているのだ。

 

 

 

先週末、1117日(土)に神奈川・横浜ランドマークホールで開催された佐野元春 & ザ・コヨーテ・バンド『禅BEAT TOUR 2018』の神奈川公演を見る。

 

会場はホテルのバンケットルームやカンファレンスルームのような施設だが、前方半分は椅子席エリア、後方半分は立見エリアになっている。立見エリアの一角に少し高くなったところがあり、女性専用エリアになっている。女性専用車両的な発想だが、いろんな面で、卓抜したアイデアではないだろうか。前の人の頭で見えないということもなくなり、男性などに気兼ねなくライブに集中もできる。佐野が良かったらインターネットで書いてくれと言っていたので、ちゃんと書いておく。以前、佐野は18歳未満の入場料を無料にしたことがあったが、そういう新たな試みを楽しみながら実行するのが彼らしいところだろう。

 

 

会場のランドマークホールにはたくさんのオーディエンスが駆け付け、椅子席エリアも立ち見エリアも埋まる。超満員だ。開演を待ちわびる静かな熱狂の中、ステージには佐野を始め、小松シゲル(Dr.)、深沼元昭(G.)、藤田顕(G.)、高桑圭(B.)、渡辺シュンスケ(Kb)というお馴染みのコヨーテのメンバーが登場する。この日は佐野のアルバムのコ・プロデュースを務める大井 'スパム' 洋輔.Per)も加わる。

 

まだ、『禅BEAT TOUR 2018』は1125日(日)のZepp札幌の北海道公演が残っているので、セットリストなど、詳述はできないが、歌唱、演奏、編曲、選曲、MC‥‥そのすべてが潔いライブだった。コヨーテとの13年間の濃密な時間を経て培った揺ぎのなさ。それを物語るようにコヨーテ・ナンバーを迷うことなく畳み掛ける。“All Time Best Of COYOTE BAND”という趣きだ。13年間で彼らの名曲たちに現在進行形の物語も生まれる。コヨーテ・バンドで演奏したナンバーではないが、深沼がコヨーテ加入前、プレイグスとして参加したナンバーもさりげなく、披露された。

 

同時にハートランドの名曲たちもアップデートされ、最新型のコヨーテサウンドを鳴らす。当然の如く、ファン・サービスなどではない。コヨーテがハートランドの名曲を演奏するのではない。佐野元春の名曲をコヨーテが演奏する。変な接き木感はない。慎重に選曲され、彼らならではのラウドなロックンロールに仕立てられる。

 

あの曲もこの曲もみたいな不足感を抱くものだが、不思議なことに充足感が満たす。このセットリストを誰もが楽しみ、心地よく、揺れていた。すべてが圧倒的だったといっていいだろう。そんなコヨーテの咆哮をオーディエンスは、全身で受け止める。

 

この日、佐野は、長く活動していると付きまとう“かくあるべき”という呪縛を解き放ち、媚びも衒いも拘りも振り払い、ただ、楽しむためにロックしていたように思う。重石を捨て去り、軽くなったのは“横浜マジック”だからかはわからないが、佐野元春&ザ・コヨーテ・バンドはいつになく自由だった。そんな自由さは聞くものを笑顔にする。幸せかい、と、聞かれれば、幸せと答えるだろう。

 

会場に集まった新世代と旧世代という2つの世代(心の10代、多し!)の心を繋ぎ、誰もが2020年の佐野元春の40周年をともに迎えたいと思ったはずだ。

 

 

 

 

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