未亡人、すぐ若い男を作る。 A Widow and Her New Boyfriend | zuzu's room ズーズーズルーム

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実家の庭には数十年前に亡父が植えた

キウイフルーツの木がある。



キウイには雄木と雌木があって、両方植えないと実がならない。

藤棚の片方に雄木、反対側に雌木を植えて何年もたたないうちから

始まって、毎年たくさんの実がみのり続けた。



その雄木がこの春の始めに枯れてしまった。

ある嵐の明けた朝に、郵便受けを見に行ったら

根元から筆者の腰の高さぐらいのところでボッキリ折れて、

藤棚から数本の枝が垂れ下がっていた。



キウイの木は、元気でも中がスカスカなのだ。

幹はしっかりしているのかも知れないが、

枝はスカスカの骨粗鬆症状態である。

太めの主枝から延びるツル状の分枝に葉がつき、花が咲き、実がなるのだが、

こちらはしなやかで曲げてもなかなか折れない強さを持っており、

主枝とのバランスがなんだか非常に悪いのだ。



普通は庭の木が枯れたりするとノコギリで切ったりとか、始末が

大変に大変そうだが、このキウイと来た日には、

地面から80㎝ほど残して途中からなくなった幹を

片手で持ってちょっと力を入れただけでサコッと折れた。

何十年も植わって去年の秋まで葉を青々とつけていた

木とはとても信じられぬ弱さであった。

驚いたが、そういうわけだからなんの苦労もなくサクサクと始末して、

2、3分後には何事もなかったかのように片付いた。

あっけない別れであった。



これでもう実はならなくなるのだな。

と考えたら寂しいかと言うと、ゼンゼンであった。

というのが、ものすごくたくさん実がなるので、間引かないと

食べられるサイズと甘さの実にはならないのだ。

初めの20年ぐらいはハシゴを立ててイナバウアーしながら

間引いたり収穫したりしていたのだが、なかなかにしんどいし、

ハシゴから落ちたら死ぬかもしれないし、

収穫の時期になると一度に何十個も穫れるので、

毎日死ぬほどキウイだけ食べないと腐る前に消費することはできないし。

というわけで、ちょっとなんかウンザリしていたのである。

実がならなくなるのはウエルカムであった。



ところが。



この5月のことである。

ある日ナニゲにキウイを見たら、実が、実が

超タワワに・・・・・!!!

なっているのである。

あのときの筆者の顔ほど絵に描いたように

「狐につままれたような顔」

をしたヤツは古今東西いたことなかったろう、というほどに、

筆者は狐につままれた。



雄木が死ぬ前に一花咲かせていったのだろうか・・・

いや、あり得ない。

あれは花の季節より前であった。

どういうことなのだ。



それから2カ月、このことは筆者の中で

今世紀最大のナゾとしてくすぶりつづけていた。



今朝、Y子と一緒に爆早起きして万博記念公園にハスを見に

行ったのであるが、その帰りの車内にて

どういう流れか、この話を筆者がしたところ、

あまりにも唐突にナゾが解けたのである。

そう、Y子が


「どっかから花粉とんで来たんちゃう?」


と言ったときに。



いやもう、スッカリ忘れていたが、2軒となりのM田さん宅で

筆者が

「やめときなはれ、イヤんなるほど実イなりまっせ、収穫大変でっせ。

すぐ腐りまっせ。」

って言ってあげたのを聞かず、

筆者のとこのキウイにあこがれて近年キウイを植えたのである。



そこで花にたわむれたハチやチョウチョやカナブンが、

花粉を体につけたまま、今度はウチに飛んできて・・・・!!

授粉としてあまりにも当たり前の方法だが、日本国兵庫県南東部の山間部で

キウイが自然授粉するなんて、ありえないと決めてしまっていたのである。



あの時の筆者の顔ほど

「目からウロコが落ちましたわ。」

という顔をした人間が歴史上いただろうか。いや、いない。



さすが。さすがであるY子。

さすが12年連続学級委員。

さすが宅建主任。

ああ、筆者の今世紀最大のナゾに、こんなにも

あたりまえに合理的な説明がつくなんて。

天才だ、アンタ天才だよY子・・・。(ワタシとの対比において。)



そんな感動のウズの中、次にY子が放った疑問文が、

スゴイのである。スゴイのである。

それは、こういうものであった:


「でも雄と雌のどっちの木が枯れたんやろな?」


  :

  :

  :


って、あのう。

実がなってるんだから雄が枯れたに決まってないか。



いやもう、今世紀最大のナゾを一瞬にして解いた天才宅建主任から

これほどの勢いで泣く子も黙る愚問が発せられ、

これほどの短時間のうちに筆者に今度は、

「あんた、あほちゃう?」

とか言わしめてしまうとは。

Y子、ジェットコースターすぎである。



とはいうものの、やはり、

キウイフルーツててなし児産み事件

の解決ブリはすごかったので、数十秒後、またもや筆者の口から

「せやけどやっぱり、あんた天才・・・・あんた天才や!!」

という称賛の連呼が再開されたのであった。



年よりの木と違ってピチピチの雄の木を父とする

今年のウチのキウイフルーツ。

これは必ず味見せねばならぬ。