「我等の仲間」(1936)

 

ジャン・ギャバン主演の群像劇をAmazonプライムビデオで観ました。初見。

 

 

監督・脚本はジュリアン・デュヴィヴィエ。DVDリリース時の予告編はコチラ

 

おフランスのパリ。失業中で一文無しのジャン(ジャン・ギャバン)シャルル(シャルル・ヴァネル)レイモン。共同生活する安アパートの家賃はずっと滞納中で、大家からいつも催促されてます。仲間のマリオは警察に追われていて、恋人ユゲットは心配でなりません。そんなある日、仲間でなけなしの金を持ち寄って買った宝くじが当選。当選金はなんと10万フランという大金。夜中に当選が分かった4人は、叩き起こしたアパートの全住民にシャンパンをふるまってどんちゃん騒ぎ。ちょうど地方に行商に出ていた仲間のジャックもパリに戻ってきます。で、10万フランを仲間5人で分配するのかと思ったら、川辺の土地を買って、そこにレストラン兼自宅を建てて共同経営しようとジャンが提案。ノリのいい4人も同意。さっそく買った土地にあったボロボロの廃屋リフォームする5人。マリオの恋人ユゲットも参加して、和気あいあいと希望に満ちた新生活をスタート。

 

しかし、徐々に仲良かった5人の間に亀裂が生じていきます。まずは、ユゲットに恋をしてしまったジャック。それに気づいたジャンから手を出さないように忠告された翌日、書き置きを残して旅に出てしまいます。次いで、シャルルを捨てて別居していた妻ジーナ(ヴィヴィアーヌ・ロマンス)が現れて、当選金の一部を妻である自分に寄こせと要求。妻に未練たらたらのシャルルが黙って2,000フランを彼女に渡した事実が発覚して、ジャンがジーナから金を取り戻しに行った時、妖しげな彼女の魅力にハマってデキてしまいます。そして、「CHEZ NOUS(我らの家)」と名付けたレストランが無事完成して、正式オープン前に昔の仲間を招待して開催したパーティー中にレイモンが屋根から落下して急死。さらに、警察から国外退去の命令が出ていたマリオがユゲットと共に去って行きます。残ったのはジャンと、ジャンの浮気を知ったシャルルの二人だけ。すると、シャルルがレストラン開業するのはやめようと言い出して・・・というのが大まかなあらすじ。
 

原題は「La belle équipe」。”素晴らしいチーム"という意味。名脚本家の笠原和夫が「仁義なき戦い」(1973)の群像劇を作るうえで参考にしたといわれています。ワチャワチャしていた5人の仲間が急に金持ちになったことで、離れ離れになってしまうお話。一度は仲直りしたジャンとシャルルがレストランを無事に開業させるも、疫病神のジーナが客として現れて、シャルルにヨリを戻そうと泣きつきます。その話を聞いていたジャン。ジャンが仲間をバラバラにした元凶だとジーナに吹き込まれたシャルルは、ジャンと言い争い追いつめられたジャンがシャルルを射殺して逮捕されてしまうアンハッピーエンドが待っています。ただ、本作には別エンディングバージョンがあって、言い寄ってきたジーナを追っ払って男の友情を優先するハッピーエンドもあり。あぶく銭で掴んだ儚い夢を描いた人情物といったところなんでしょうが、物語のツボがいまいち分からない作品でございました。仲間がたむろするカフェにあるUFOキャッチャーの形状が魅力的なことだけが印象的だったかも。