「玄海つれづれ節」(1986)

 

「徒然草」原作、吉永小百合主演のU-NEXTで観た。

 

 

 

 

監督は出目昌伸。予告編はコチラ

 

事業で失敗した夫が蒸発、家財一式を押さえられた社長夫人の山岡ゆき(吉永小百合)。母が死んで独りぼっちになった夫の隠し子マサルも現れて、仕方なく、夫探しの旅を二人でスタート。夫に金を貸した月代(八代亜紀)という女も絡んできます。夫が潜伏している北九州に向かう一行。北九州はゆきの故郷。ゆきに憧れている同級生の一平(風間杜夫)と再会して、生まれ育ったバタバタ横丁ハナエ(樹木希林)の家に身を寄せることにします。しかし、夫の借金取りは北九州にも手が及んでいて、地元ヤクザに脅されてソープランドに売り飛ばされるゆき。なんとか一平に助けられて脱出、マサルの預金通帳を奪って借金の一部を返済してひとまず一件落着。

 

やがて、強欲実業家である松藤(三船敏郎)がスーパーマーケットを建てるために、子飼いのサラ金業者を使って近所の映画館の立ち退き工作をしている話を聞いたゆき。映画館オーナーの南條京太郎(伏見扇太郎)を騙して土地の権利書をゲット、松藤に売りつけようとします。地元民を裏切ろうとするゆきに怒った一平は、月代と仲良くなって同棲を開始。しばらくして夫を見つけたゆきは、地元の病院の理事長(草笛光子)の愛人になっていることを知ってショックを受けます。バタバタ横丁のみんなに励まされたゆきは、権利書を南條に返却して仲直り。その後も土地を奪おうと企むサラ金業者バタバタ横丁のメンバーとの争いは続いて・・・というのが大まかなあらすじ。

 

劇場公開は1986年1月15日。吉永小百合98本目の出演映画。Wikipediaによると、兼好法師の随筆集『徒然草』第38段の「名利に使はれて、閑かなる暇なく、一生を苦しむるこそ、愚かなれ。」という財産への執着が不幸のもとだという一節を原作としているようです。逃げた夫の捜索を話の軸にしつつ、他人を騙してでも借金を返済しようとしていたホステス上がりの社長夫人が、地元民の優しさに触れて改心していくストーリーということなんでしょうが、展開がダラダラかつグダグダしていて全く弾みません。名脚本家笠原和夫の名前も脚本の一人としてクレジットされてますが、どうやら途中で降りたようです。

 

風間杜夫は安定の演技力でダメ男を演じています。準主演級の八代亜紀が芝居は棒読み気味も、スカジャンで暴れたり黒人の恰好をしてカラーヒヨコを売ったり、独特の存在感をアピール。カラオケ場面では急に衣装替えして3人で歌って踊るサービスシーンあり。蒸発した夫役はのちに東映トップとなる岡田裕介小倉競馬場のシーンでは、馬主役で伊達三郎の姿も。また「キューポラのある街」で姉弟として共演していた市川好郎が地元ヤクザ役で吉永小百合と共演。潰れそうな映画館主の元映画俳優という役どころで往年の時代劇スター伏見扇太郎も出演。映画館で上映されてる「危うし!快傑黒頭巾」には子役時代の風間杜夫が出ているお遊びもあり。ショートカット姿の吉永小百合はレアで、彼女の決めショットも豊富でアイドル映画としては十分に機能しています。ソープランド嬢の恰好をしているシーンは脱いでもいないのにドキッとしました。