「座頭市御用旅」(1972)

 

シリーズ第23弾をAmazonプライムビデオで観ました。

 

 

監督は森一生。予告編はコチラ

 

暴漢に斬りつけられて二十両を奪われて倒れてる女を原っぱで見つけた市(勝新太郎)。その女が出産間近の体だったので仕方なく赤子を取り出す市。なんでもデキる男です。女は出産後に死亡。死ぬ前に口走ってした夫だという男の住む町を訪ねるも不在のため、男の妹であるお八重(大谷直子)に赤子を預けた市は、宿に勤めるお八重のツテでしばらく町に滞在することになります。町には、かつてヤクザを一掃した目明しの鉄五郎(森繁久彌)がいて、平和が保たれていましたが、そこに藤兵衛(三國連太郎)をボスとする一味が現れて、町の様子はキナ臭くなってきます。

 

一方の市は赤子の母を殺して二十両を奪った犯人だと疑われてしまいます。奪われた二十両がないとお八重が風俗落ちしてしまうというんで、疑いを晴らすために一肌脱いで鉄五郎の賭場で稼ごうとするも失敗、鉄五郎に監禁されて拷問を受ける市。二十両を奪って女を殺したのは鉄五郎の子分でしたが、証拠がありません。市がなんとか逃げ延びて藤兵衛宅に匿ってもらった際に、お八重を救いたい市の気持ちを汲み取った藤兵衛が二十両を用立てしてくれます。市を逃した藤兵衛はその後、鉄五郎に殺されます。藤兵衛という邪魔者を排除して好き勝手放題となった鉄五郎がお八重を手籠めにしようとしたその時、市が現れて正義の鉄槌を下す・・・というのが大まかなあらすじ。

 

劇場公開は1972年1月15日。同時上映は「子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる」。英語版タイトル「Zatoichi at Large」の"at large"は"逃走中"という意味なので、"御用旅"の意訳でしょう。行きがかり上、赤ちゃん連れで町に座頭市がやって来るパターンは「座頭市血笑旅」でもありました。地元の争いに巻き込まれるパターンもシリーズでおなじみ。イカサマ博奕の見破りアクロバティックな居合もシリーズのお約束。今回は炎に包まれるピンチ獅子舞を被って戦うシーンあり。ラスト手前で紫色のライティングを使った時代劇らしからぬシーンがあったのは興味深いです。ミスマッチ気味の音楽はシリーズ初の起用となる村井邦彦。序盤と終盤で浪曲が流れるのは面白い試み。

 

役者陣では、森繁久彌と三國連太郎が円熟の芝居で貫禄を見せます。自然体の森繁役作りし過ぎの三國。三國連太郎の手下には、若くておっちょこちょいな蟹江敬三と石橋蓮司。三國連太郎が雇った用心棒の1人に凄腕の高橋悦史。市の腕前に心酔して、市に挑戦状を叩きつけます。そして、全ての決着がついた後に一騎打ちとなり、勝負は一瞬で決まります。鉄五郎のダメ息子役に酒井修。勝新が可愛がっていた俳優さんです。あと、ヒロインのお八重役の大谷直子が色気があって良いのですが、当時まだ22才だったんですね。それと、コメディリリーフは、町にやって来た旅芸人役の笑福亭仁鶴正司敏江・玲児田辺一鶴。物語の作り込みがザツなところはあるものの、トータルでは平均レベルの座頭市ムービーでした。