「トップ・シークレット」(1983)

 

ZAZによるパロディ映画がWOWOWオンデマンドに追加されてたので、久々に観ました。

 

 

ヴァル・キルマー主演のスパイ映画のパロディ。予告編はコチラ

 

「ビバリーヒルズ・コップ」(1984)の同時上映として、最初に観た記憶があります。期待度ゼロで観始めたのがかえって良かったのか、バカバカしさに何回も笑ってしまいました。飛行機パニック映画のパロディ「フライングハイ」(1980)でもおなじみの、ジム・エイブラハムズ、デヴィッド・ザッカー、ジェリー・ザッカーのZAZトリオが監督。長編映画デビュー作のヴァル・キルマーは、ショーン・ペン、ケビン・ベーコン、ジャッキー・アール・ヘイリーと共演した舞台「スラブ・ボーイズ」を監督が観てキャスティングされたそうです。ちなみに、この舞台に出る予定だったトム・クルーズは「卒業白書」(1983)の出演を選んで、これが出世作となりました。のちに「トップガン」(1986)でヴァル・キルマーと共演します。

 

ひそかに軍事力でドイツ再統一を企む東ドイツ。天才科学者を誘拐して、西側諸国を黙らせる秘密兵器を作らせていますが、世間の目をそらすために国際文化フェスティバルを開催。しかし、指揮者のバーンスタインがキャンセルしたため、米国代表のアーティストを急遽変更することになります。代わりに選出されたのが、全米チャートを席巻中のロックスター、ニック・リバース(ヴァル・キルマー)。何も知らないニックは滞在先のホテルで科学者の娘ヒラリー(ルーシー・ガタリッジ)とたまたま出会ったことで、彼女が属するフランスのレジスタンスと共に東ドイツの陰謀を阻止することになるのだが・・・というのが大まかなあらすじ。

 

映画のパロディや能天気なギャグをこれでもかというぐらい散りばめたクダラナイ映画ですが、10回に1回くらいツボにはまるギャグがあるのが厄介です。ゴツい東ドイツ女性を揶揄したギャグや、銃撃戦で○×ゲームをやるギャグ刑務所でなぜか大人のオモチャをプレゼントするギャグなどなど、受けるかどうか分からない笑いのために小道具やセットをいちいち作っているところが素晴らしいです。1カットで撮って逆再生しているこのシーン水中で西部劇調のアクションになるシーンなども無駄に凝っています。

 

プレスリー映画と第二次大戦スパイ映画を組み合わせたドタバタ映画というのが企画の発端にあったようで、アメリカのWikipediaによると、「復讐!反ナチ地下組織/裏切り者を消せ」(1944)が元ネタの一つのようです。「青い珊瑚礁」(1980)「大脱走」(1963)のパロディは分かりやすかったですが、他にも沢山あるみたいです。あと、レジスタンス側の仲間として、オマー・シャリフピーター・カッシングが出演、真顔でバカを演じています。主演のヴァル・キルマーはプレスリー風のニックのパフォーマンスのキレが素晴らしいですね。ニック・リバース名義で自ら歌っている曲がサントラになっているとのこと。音楽はモーリス・ジャールで、ジェリー・ザッカーとは「ゴースト/ニューヨークの幻」(1990)でも一緒に仕事をしています。