「コップランド」(1997)

 

スタローンの社会派サスペンス映画をU-NEXTで観ました。初見。

 

 

なかなかに骨太なエンタメ映画でした。監督はジェームズ・マンゴールド。予告編はコチラ

 

フレディ(シルベスター・スタローン)はニュージャージー州ギャリソン郡の保安官。ギャリソン郡は川を挟んだ先にニューヨークがあり、ニューヨーク市警察(NYPD)職員のベッドタウンとなっていて、"Cop Land"と呼ばれています。住民の1人であるレイ警部補(ハーヴェイ・カイテル)は、ギャリソン郡に住む警察官の元締めで、NYPDでも実力者として君臨、汚職の噂も絶えない人物。

 

実際、マフィアとの裏取引で不正に貯めた資金を警察仲間たちの住宅資金に充ててギャリソン郡に家を構えており、レイのツテで憧れのNYPDの警官になりたいと思っているフレディは彼らの傍若無人ぶりを見て見ぬフリをしている、うだつの上がらない保安官として日々を過ごしています。好きな女性(アナベラ・シオラ)もNYPDの警官の妻になってしまい、NYPDの警官が集まる夜のバーで仕事の話をしている様子をピンボールをしながらうらやましそうに眺めてるだけの情けないキャラ。

 

一方、内務調査局のモー(ロバート・デ・ニーロ)はレイ一味の不正を暴くべく長年捜査を行ってますが、管轄外であるギャリソン郡での行動までは掴めないため、フレディに協力を要請しますが、保身のためにフレディは応じません。ところが、レイの甥っ子マレーの不祥事やフレディの憧れの女性の旦那の不審死、麻薬捜査官フィグス(レイ・リオッタ)とレイとの仲間割れなどが重なる中で、フレディの眠っていた正義感が目を覚ましはじめて・・・というのがあらすじでした。

 

ストーリーに惚れこんで体重を40ポンド(18キロ)増やしてほぼノーギャラで出演したスタローンがしょぼくれた保安官役を演じていて、濃い脇役陣を引き立てる役回りを徹しています。デニーロ、カイテル、リオッタなんて、スコセッシ映画のメンツですね。NYPD上層部のフランク・ヴィンセントレイの妻役キャシー・モリアーティ「レイジング・ブル」(1980)に出てました。自分たちに刃向かう者は身内でも容赦なく抹殺するハーヴェイ・カイテルの憎たらしい汚職警官ぶりが存在感バツグン。次いで、レイ・リオッタのキレっぷり。デ・ニーロはそれほど活躍しません。他には、カイテルの腹心役(ロバート・パトリック)もいい悪党ぶりでした。

 

みんなからバカにされてる保安官(スタローン)が頼りない友人と共に、盗賊一味(ハーヴェイ・カイテルたち)に立ち向かう西部劇のような作りになっています。ランボーやロッキーと違って、強くないスタローンに味があって良いです。独身中年の悲哀たっぷりのわびしいエピソードが続きますが、最後に勇気を出して取った行動だけは少しだけいつものスタローンらしさが出ていました。豪華な共演陣とのアンサンブルも良かったです。IMDBトリビアによると、スタローンとレイ・リオッタはそれぞれ逆の役をやりたがっていたそうです。豪快なアクションは少ないものの、警察権力の腐敗に立ち向かう男のドラマとしては佳作だと思います。