その9~クラシック以外の曲を弾くことについて 

別の回でも書いたけれど、クラシックの演奏家だからといって他のジャンルに
 無関心な人は信用できない。
 僕自身テレビの歌番組は観るし、ミュージカル映画は大好きだ。ジャズ喫茶には
 かつて通ったし、プレイヤーは尊敬もしている。いわゆるポピュラー音楽全般に
 ついては生活の一部といってもいい。
 必要ならば、今でも弾くことはやぶさかではないし、昔は随分アルバイトで弾いた
 ものだ。
 しかしである。音大にジャズ科やポピュラー音楽コースなどができることには
 違和感がある。
 なぜ大学なのか。ましてや大学院で演歌を歌わせてどうする。まさかとは思うが。
 偏見で言っているのではない。
 特別な才能を有するものであるから大学のカリキュラムで教えるべきことではない
 と思うのだ。
 いろんなジャンルのトップアーティストは突然現れるか、現場で磨かれ花開くもの
 だと思っている。
 クラシックのプレイヤーがなんちゃってジャズや、なんちゃってポップスを演奏する
 のは聴いてる方が恥ずかしい。
 プロの人たちをなめちゃいけません。
 クラシック崩れというイメージは僕のなかでは好ましいものではない。
 僕はクラシック以外でもある程度のニーズには応えられると思っているが、どうして
 も弾く時は恥ずかしいと思いながら弾いている。
 恥ずかしいというのは、「この程度の演奏では」という前置きが付く。
 専門家には敵わないと知っているからだ。
 反論もあると思う。
 時代がそれを求めているとか、専門家が体系的に教えることも有意義だとかね。
 楽器をマスターするテクニックはクラシックが基礎であることは言うまでもない。
 個人の表現スタイルがそこからいろんなジャンルに移行していくのは、卒業後で
 いいと思うけどね。
 ヴォーカルについては、オペラ的発声は一部の音楽を除けば、合わないと確信
 している。
 音大にアカデミズムを期待してはいけないのだろうか。
 大学が無責任に趣味の延長の手助けをしていいのだろうか。
  
その10~長崎ちゃんぽんをどこでたべるか?
 
だいぶ長崎ちゃんぽんの正しい姿が認知されてきたが、たまにラーメンの麺と 区別できてない人がいる。
 困ったものだ。
 こういう場合、教育的見地から美味しいお店に連れて行くということになるが、長崎でならいざ知らず、関東では難しい。いや難しかった。
 実は我が家の近所に「長崎亭」という郷土料理の店があり、ここが大変に美味い。
 長崎出身の夫婦がやっていて全く本格的な長崎ちゃんぽんであり、皿うどんである。
 犬の散歩の途中見かけ、ためしに後で入ってみたらすっかり気に入ってしまった。
 店内には柱時計がたくさん掛けてあり、みな11時2分で止まっている。
 原爆投下の時間なのは長崎人の常識だ。
 落ち着いたインテリアに囲まれ店主は客に見える場所で調理している。
 フレンチのコックのような服装なのが何か嬉しい。
 場所は志木駅から徒歩10分てところか。
 長崎市ではどこが美味いかというと、意見が分かれるので難しい。
 私見では原爆公園上の「宝来軒」、思案橋の「康楽(かんろ)」、その隣の「天天有」
 かな。
 さだまさし氏はメントレレストランで「江山楼」を挙げていた。
 柳家小三治が長崎で独演会やった時、美味いちゃんぽんが食べたくて弟子にあち
 こち調べさせたという話をしていた。
 店によっていろいろだったが結論としては、(声をひそめ)ここだけの話ですがね
 お客さん、値段考えると「リンガーハット」ですよ。
 爆笑だった。
 確かに安いので客も入ってるんだな、これが。長崎から生まれたチェーン店なの
 です。
 帰郷してわざわざ行くことは絶対ないと思うが。
 東京都内のお店についてはまた改めて。