「鼓文」そばちょこ




闊達な筆でスピード感溢れる絵付けで、精緻な筆跡の柿右衛門などとはまた趣きを異にした古伊万里のそばちょこです。

描かれているのは「鼓(つつみ)」の文様ですが、ちゃんと意味があるようです。

着物の柄にもこの「鼓文」はありますが、鼓は大きな音が鳴ることから、「大きく成る」とか、「実がなる」などの意味があるそうです。

歴(れっき)とした吉祥文なのですね。「大願成就」を願う意味もあるのでしょう。

さて、このそばちょこの絵付けは迷いもなく素早く描かれているので、見飽きることがありません。

下にすっとすぼまっている姿や高台の中にも釉薬が掛けられている様子から、そばちょことしては早い時期のもので、江戸時代も中期の頃の作かと思われます。

夏の暑い日には、染付の器が涼しさを運んでくれます。


高台内には、「大明年製」を崩した四文字が書かれています。