自由進度学習がブームです。

 イエナプランなどをもとにした学習者の主体的な学びを大切にした学習方法です。

 

 子どもたち一人ひとりが、自分自身で単元全体の学習の計画を立てたり、1時間の学習の中でもそれぞれが学びたいことを選び、それぞれの方法で学習を進めたりします。

 まさに、一人ひとりの子どもが、自由に学習進度を調整しながら学んでいく訳です。

 

 その学び方・考え方自体を否定する気は全くありません。

 個別最適化という視点は、教育の場に限らず、これからも大切な視点でしょう。

 

 しかし、いただけないのは、自由進度学習がベストだと簡単に飛びつき、従来の「一斉授業はもう古い」と決めつける風潮です。

 新しもの好きの自治体や教育委員会、主事、管理職にこの傾向が顕著です。

 

 一斉授業はもう時代遅れなのでしょうか。

 

 そうではないでしょう。

 一斉授業にも一斉授業の良さや利点が当然あります。

 そうでなければ、逆にこれだけ長い間、この授業形態が続いて来ることもなかったでしょう。

 

 教育の世界は、ホントにつくづくいつも思いますが、すぐに「外国のやり方」を真似したがります。

 教育学者などの罪も大いにあると思いますが、外国のやり方を新しく見つけて来ては、それを日本でやたらと広めたがります。

 まさに外国コンプレックス?

 それが日本という国の教育に本当に合うのか、本当に必要なのか?

 ここの吟味が大きく欠けています。

 

 日本式の教育法、教授法は、本当に駄目なものなのでしょうか。古いやり方なのでしょうか。

 

 節操なくクルクルと方針転換される教育政策。

 英語の教科化。道徳の教科化。タブレット授業。etc。

 数年単位でめまぐるしく変わる教育施策。

 

 外国から新しいやり方がどんどん入って来て、これが最新とばかりに もてはやされる教育現場。

 体験重視の「ゆとり教育」に大きく振れたかと思うと、全国学力テストの導入など「学力重視の教育」に180度反対に揺れ戻される教育現場。

 

 小学校の現場の教員たちはホント大変です。

 

 そして今のブームは、「自由進度学習」。

 子どもに学習をどんどん任せなさい。選ばせなさい・・・。

 教師はファシリテーター。学習の「支援者」です・・・。

 正直、耳にタコができます。

 

 ここだけの話、「一斉授業がまともにできない教師」の隠れ蓑にも成り兼ねないのが「自由進度学習」です。

 子どもに任せて、「教師の出番は少ないほど良い」訳ですから。

 

 小学校段階。特に低学年段階では「一斉授業」こそ効果的な場面は山ほどあります。

 自由進度学習が適する学習、適する場面は少なくはないでしょうが、要はバランスの良い「取り入れ方」次第です。

 

 新しいやり方が入って来ると、従来のやり方はもうダメだと手のひらを簡単に返す・・・。

 

 良い加減、こういう風潮を止めて、じっくりと長いスパンで教育施策を進めて行く、そういう方向に日本の教育界がシフトしないと、日本本来の教育の良さも十分に吟味されず、スポイルされるばかりだと危機感すら感じます。

 

 大きな災害の際にも動じず、順番を守り、略奪もなく、みんなで助け合い、乗り越えていこうとするこの国民性。

 これはどこで培われてきたものなのでしょうか。

 教育の果たしてきた役割も少なくないはずです。※別に右寄りの主張を展開したい訳ではありませんが。

 

 学習者としての基礎基本も身に付けないまま(学習態度、学習規律なども含め)、学習者の主体性を大切にした学習を!と叫んでも、絵に描いた餅というものです。

 

 自由進度学習。

 適切に現場に適用されることを切に望みます。