その電話の間、そばで彼女の17歳の息子もいたらしく、
やめちまえ、そんな職場!
などと茶化していた。
私は静かに、あなたの言っていることは正しいが、総支店長に恥をかかせたから彼は怒っているんじゃないの?と言った。
彼女には、あまり伝わらなかったらしい。
というか、わざとみんなの前で言った、と言わんばかりであった。
彼女は最近、10年ほど前からのベストセラーの本、ザシークレットという本のシリーズを読み始め、
毎日のように私に勧めてきていた。
義理家族とのことで頭を痛めていた私には、とても自己啓発の本を読むほど心の余裕がなく、
断っていたが、電子書籍のサンプルを数ページ読んでみて、
ああー。。。このタイプ。。。彼女はこれで、かなりハイになっている、と感じた。
もちろん、その種の本が必要な人には、いい本だと思う。
しかしあのタイプは、それぞれの人の人生で、出合うタイミングが大切だと思うのだ。
今の彼女には必要な本でも、私にはもう一つ響かないような気がした。
そして、彼女は次の日休んだ。
このときである、私が母の日会に出た方がいい、と思ったのは。
自分が正しいと思ったことを表現したなら、堂々とそこへ出て立ち向かうべきだ。
そうでなければ、2度と戻るべきではない。
とすると、彼女は、ほんとうにこれで辞めるのかもしれない。。。
私は、そう思って、大丈夫か、とメッセージを送ったが、
彼女はその休日を使って労働基準局に電話して話したそうである。
社員の契約にはないから、トイレ掃除はする必要はない、というお墨付きをもらった、と返事が返ってきた。
彼女は勝ち誇って高笑いをしているようだった。
それでかどうか、結局あれ以来、総支店長から、掃除当番の話は出ていない。
総支店長も、労基がでてきては、何もできなかったのかもしれない。
私たちはトイレ掃除は免れたのかもしれないが、
ロシア人の彼女は、同僚からのリスペクトを失ったようで、私としては複雑である。