KUDAN Project『真夜中の弥次さん喜多さん』(2011年) | 新・法水堂

新・法水堂

演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

KUDAN Project
『真夜中の弥次さん喜多さん』



2011年4月28日(木)~5月1日(日)
七ツ寺共同スタジオ

原作:しりあがり寿
脚本・演出:天野天街(少年王者舘)
舞台美術:田岡一遠
美術製作:小森祐美子、一色矢映子
照明:小木曽千倉
照明操作:今津知也(オレンヂスタ)
音響:細川ひろめ(マナコ・プロジェクト)、戸崎数子(マナコ・プロジェクト)
映像:浜嶋将裕
小道具:丹羽純子(少年王者舘)、田村愛
舞監助手:山中秀一(現場サイド)、中村榮美子(少年王者舘)、宮璃アリ(少年王者舘)
衣装:田村英子(マナコ・プロジェクト)
作曲:珠水(少年王者舘)
振付:夕沈(少年王者舘)
舞台監督:井村昂(少年王者舘)
宣伝美術:しりあがり寿(イラスト)、アマノテンガイ(デザイン)

出演:
小熊ヒデジ[てんぷくプロ](喜多八)
寺十吾[tsumazuki no ishi](弥次郎兵衛)

STORY
ヤク中で江戸の町が薄っぺらく思えて仕方がない喜多八は、リアルを求めて弥次郎兵衛を誘って伊勢を目指す。お房という女房がいる弥次郎兵衛は出発を渋るが、それなら一人で行くという喜多八に同行することに。とある川辺の宿に着いた二人だったが、降りしきる雨のせいで川が渡れずに足止めを食らう。やがて二人の想念は交じり合い、何が現実で何が夢なのか、ここがどこで自分が誰なのか分からなくなってくる。

KUDAN Projectによる二人芝居、4年ぶりの再演。
確か前回の公演は“最終公演”と銘打たれていたような気がするのだが…。

これでこの芝居を観るのは5回目か6回目か。
劇場に入り、舞台セットを見ると、何だかずっとここで弥次さんと喜多さんが同じ芝居を繰り返し上演していたのではないかという錯覚さえ起こしてしまう。
もうここまで来ると、次にどんなシーンが来るのかも分かっているし、客がどこで反応するかも分かってしまうのだが、それでも心の底から楽しめる。それだけ脚本、演出、キャスト、スタッフ、いずれの完成度も高いということだろう。
最後にセットは解体され、2人は障子の向こうに姿を消してしまうが、明日の楽日が終わってもなお2人は旅を続けていく。

本日は機材の調子が悪かったのか、音楽が途中で止まったり、うどんの出前をする際も電話が繋がらなかったり、更には障子に張られた「タビ」が「死」に変わるシーンで紙がはがれてしまったりとトラブル続き。
もっとも、その程度のトラブルで作品の価値が損なわれたりはしないし、時には失敗することもあるのが演劇の面白さの一つ。分からない人には永遠に分からないだろうけどねぇ。