北九州芸術劇場クリエイション・シリーズ
『まつわる紐、ほどけば風』
2022年2月17日(木)~20日(日)
北九州芸術劇場 小劇場
作・演出:岩崎正裕(劇団太陽族)
方言翻訳:泊篤志(飛ぶ劇場) 音楽:かみもと千春(劇団こふく劇場)
美術:森田正憲(F.G.S.) 照明:岩田守* 音響:横田奈王子*
衣裳:真行ひとみ(black2id) 演出部:岩下竜馬*、小関鈴音(ブルーエゴナク)
照明操作:田中涼子*、渡邉拓人* 音響操作:高祖雄貴*
演出助手:山口大器(劇団言魂) テクニカルマネージャー:木下智博*
舞台監督:山本祥太郎* 大道具制作:F.G.S.
宣伝美術:トミタユキコ(ecADHOC) 宣伝写真:重松美佐 宣伝ヘアメイク:橋本理沙
地域アドバイザー:泊篤志*、守田慎之介* 広報:大羽美菜子* 票券:本田覚子*
制作:山下璃奈* プロデューサー:黒﨑あかね*
チーフプロデューサー:龍亜希* 支配人:河端隆一*
*=北九州芸術劇場スタッフ
出演:
内山ナオミ[飛ぶ劇場](服のリフォーム・古賀久代)
大野朱美(不動産会社社員・白石恵)
飛世早哉香[in the Box/Org of A](舞台俳優・松尾愛梨)
町田名海子[創造集団ちいさなクルミーノ/ゲキゲキ/劇団「劇団」](久代の姪・古賀あかね)
江﨑萌葉(あかねの軽音部の後輩・山崎七海)
桜井玲奈(あかねの母、久代の義姉・古賀直子)
村上差斗志[FOURTEEN PLUS 14⁺](恵の夫、久代の友人・白石利明)
寺田剛史[飛ぶ劇場](愛梨の夫、開業医・松尾林太郎)
木下海聖[有門正太郎プレゼンツ](あかねの恋人・大庭蓮)
宮村耳々(和服の女・ひこ)
三田村啓示(久代の客、鉄道マニア・田中友也)
岸部孝子[劇団太陽族](直子の友人・小川育子)
2020年2・3月に上演予定だったが、初日1日のみの上演に終わった作品の延期公演。
19日18時の回のライブ配信をアーカイブにて視聴。
舞台中央は和室で、久代が義姉と姪と暮らす家の居間。壁には2020年2月のカレンダー。廊下を挟んで裏庭が見える。一段下がって、下手は愛梨、上手は恵の家。それぞれにテーブルにソファや椅子。前方部にもアクティングスペースあり。背景に団地の外壁。
昨日の演劇引力廣島プロデュース『雉はじめて鳴く』にしても本作にしても、地方で制作された舞台が配信という形で観られるようになったのは、コロナ禍で唯一よかったことかも知れない。
出演者は全員知らない人ばかり…と思ったら、やはり配信で観たOrgofA『異邦人の庭』に出演されていた飛世早哉香さんと関西演劇祭2021に参加したメガネニカナウ「ほぼ永遠の稽古場」に出演されていた町田名海子さんの名前があってびっくり(他にもいたらごめん)。
本作には夫を亡くした久代、不妊治療を続ける恵、舞台に立ちながらも医者の妻としての振る舞いを求められる愛梨、そして後輩の七海から告白されたあかねなど様々な女性が登場する。
そんな女性たちの中でひときわ異質なのが、和服を着た亡霊のような女性。久代が俳句を呻吟していると現れるその女性は、「原始、女性は実に太陽であった。真正の人であった」と平塚らいてうの言葉を口にするのだが、それから100年以上経っても女性が自分らしく生きることが難しい現代を嘆いているかのよう。
最後は女性5人がボルダリングで団地の壁を登っていく。これは女性たちが社会の様々な壁を乗り越えていくことを分かりやすく示しているとは思うのだけど、男性たち(特に恵の夫と愛梨の夫)は一緒に登らないのねと思ってしまった。
配信時間1時間50分。