9月から通い始めた大学院の、最初の1学期が終わった。
恐ろしく忙しく、また精神的にもきつい3ヶ月であった。
聞いてはいたが、とにかく予習課題、提出課題が多いこと、グループでのプロジェクトが科目ごとに必ずあることで時間が取られる。
さらには英語力がへなちょこなことで、授業には全身を耳にして臨まねばならず、精神が削られる。
しかし、人間アラフォーでも慣れるもので、次第に少しずつ楽になっていくのを実感していた。
授業自体は楽しいし、クラスメイトも感じがよいから、少なくとも入学したことは嬉しく感じていた。
12月に入る頃、ほぼ全ての課題を終えて、あとは1科目の最終試験と1プロジェクトを残すのみとなった。
そこで事件が起きた。
というか、私が起こした、が正しいかもしれない。
この科目のチームプロジェクトでは、4回ほど提出課題があった。
そのうち3つはメインのプロジェクトに関するもので、私はかなりの初期からアイデアを出していた。
アイデアを出すのは楽しいし、毎日何時間も考えて書いた案であった。
他のチームメンバーにはそれを褒めてもらったりして、結構嬉しかったりした。
プロジェクトが進むにつれ、他のメンバーが出したアイデアに一部疑問を持った。
その案が現実的ではないように思えたのである。
現実に当てはめると、矛盾が生じてしまう。
そこでそのまま意見を率直にグループチャットに書いた。
思えば、この指摘が容赦無く見えたのかもしれない。
私的にはストレートに言ったほうが良いのかと勝手に勘違いしていたが、実は温度差があったのであろう。
これがのちに響いてきたように思う。
その後、1つ目のプロジェクト課題提出の時に気がついた。
私の書いた箇所が丸っと消されている...。
これはちょっと...と気になって、「どうして消したのか、教えてもらえる?」と聞いてみた。
すると消した本人の学生から連絡があり、今回の課題では、「問題部分にフォーカスするのでアイデアを載せなかった」と言われた。
まあそれなら、と次回提出物に含められるならいいかな、とそれ以上は何も言わなかった。
この時、消した本人は黙ってしたことに謝罪もしてくれた(もちろん、こちらからは全然気にしてないよ!と返事はした)。
それから数週間、今度はプレゼンがあり、チームのスライドを作ることになった。
空いているページに、自分のアイデアに基づいた内容を書いた。
すると、3人ほどから猛反対にあった。
特にある男性はかなり棘のある言い方で反対してきた。
内容は詳しく書かないが、つまりは私が現実路線であったのに対し、他の学生たちは理想路線であったのである。
私も淡々と反論はしたが、その彼は「僕はそう思わない。投票で決めよう。僕は反対」と言う。
最終的に多数決では叶わないので、私は「納得した」と知らせて引き下がり、その部分は消した。
その後、自分の担当のページが割り振られたので、そこに考えをまとめたが、それもまた勝手に書き換えられていた...。
そこでもまた、「必要があれば自分でまとめ直したいので、編集を元に戻してもらえるかな?」とお願いしなければならず。
まあでも、最終的に自分のページは自分で編集し、その後フォーマットを他のメンバーが直した程度で終わったので、ここでも良しとした。
プレゼン日の前日に、Zoomで集合し、練習をすることになった。
ここで、私のページに前述の男性がいちゃもんをつけてきた。
「僕はこのページの作り方が好きじゃない」と、かなりムッとした表情で言ってきた。
はい、もう私、嫌われているの確定
ま...まあ、「お前キライ」と面と向かって言われたわけでもないし?と、汗かきつつもなるべく気にしないことにした。
そして最終課題、小論文の提出日が近づいてきた。
私は提出期限の2日前に日本へ行くことになっていたので、早めに自分の担当部分を書き終え、旅の日程をチームに知らせた。
空港で最後に内容チェックをし、安心して飛行機に乗り込んだ。
そして日本に到着、一休みしてファイルを開くと...
内容ががっつり削られ、さらに変更もされ、私の担当部分内で理論に矛盾が生じていた。
慌ててグループチャットを覗くと、「提出しましたー!イエーイ!」なメッセージが
もう、ちょっと笑えたね...。
これは流石に「ちょっとショックだった」と矛盾内容も添えて、「できれば書き直して提出しなおせないか」と打診した。
そこに例の彼が吠えた。
「あなたは最初から個人プレーだった、グループで動いてない。あなたはチームに意地の悪い対立をもたらし、僕のチーム体験を踏み躙った。あなたとは二度とチームを組まない。直接会っていくらでも言ってやるよ。」と。
そしてメッセージを送ってきた直後、彼はチャットから抜けた。
まさに捨て台詞である。
いやいや、私がアイデアを出した時、真っ先に「いいね」したのはあなただけど??
あと、私は自分の意見は言ったが、それを多数決も無視して押し通すべきなどとは一度も言っていない。
矛盾を指摘した時や意見を言った時に、無視されてきたのはむしろ私の方なんだけど?
しかしここで悟った。
ここで喧嘩する意味はない。学生生活、先は長いのである。
これらの言葉をグッと飲み込んで、最後のメッセージを書いた。
「私は違う意見だけど、もし私の行動で傷つけたならごめんなさい。チームプロジェクト楽しかったです。ありがとう。」と。
それから、その彼には同じメッセージを個人的に送った。
彼からは「僕だけじゃなく、他のメンバー全員がそう思ってる。つまりあなたがおかしい。」と返ってきた。
私からは「わかりました。ありがとう」とだけ送った。
今思えば、おそらく、私の英語力の無さ、コミュ力の無さが原因のかなりの割合を占めていたのかと思う。
矛盾を指摘するのも反論するのも「淡々と」ではなく、「思いやりを持って」がそこにあるべきだったのであろう。
またそうしたとしても、私のスタンスは基本的にかなり現実路線、他の学生たちの傾向を見ていると、どうやら理想路線の人が多いように感じる。
つまり、どうしても相容れないのである。
数日悩んで、私は腹を決めた。
ここはアイデアをぶつけ、磨き合う実験場ではない、彼らの「理想」に寄り添い、共感する場なのだ。
そこから学べることも、きっとあるであろう。
コミュ力...卒業する頃に多少はつくだろうか?笑
しかしまあ、凹んだ、凹んだ...。
数日はあまり食べられなかった。
今はがっつり、日本の美味しいご飯を堪能しているので、ご心配なく
そこらへんの諦めの良さには自信あり、である