死神と強さ

死神と強さ

冷たい夜の隣りには闇の底が映り
痛みは傷みに変わり悲鳴を鳴らす
今夜も大きな刃を持った死神が
闇と影に紛れて移動する
円を描くように立ち並ぶ灯火に
お互いにカバー出来るわけでなく
いつでも傾ける天秤は均衡を失う
知らない内に甘さに振り回され
気持ちは容易く掏り替えられて
油断だらけの人間は気付かない
自覚して変えない事は少ない中
弱さの部類が変わるだけに過ぎず
下に立てば弱く上に立っても弱く
一人でも二人でも大勢でも弱い
悪のない弱さは相手には悪になる
正当化が大好きなのが無様な人間
数が増えれば一人の重要性は減り
やがて一人をぐらいと疎かにする
進歩するように退行する一進一退
繰り返すだけのようで変わってて
いつまでも本当に同じわけもない
弱き心を斬った数だけ見て来た物
人間は同じ経験の意味が移り変わる
長い時の流れに生き続ける死神は
弱さを強さに変えられる事を知ってる
逃れたい物が挑みたい物に変わる
堪えたい物が助けたい物に変わる
越えたい物が誇りたい物に変わる
恥じたい物が認めたい物に変わる
隠したい物が伝えたい物に変わる
変われない自分に悩んだ数だけ
心の欠片が一つずつ変わってる
良くも悪くも気付かないのが人間の光
そう呟くと死神は夜の闇に姿を消す