"ADR"ならぬ"ODR"が起こすパラダイムシフトはもう目の前? | 日々、リーガルプラクティス。

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テーマ:
うーむ、、、

自分が勉強不足なのを痛感しましたが、、、

最近この"ODR"を初めて知りました。もし自分の勉強不足以上に、こういうことが日本でまだ話題になっていないのだとしたら、こういう「試行錯誤」レベルのビジネスとか法務話題を早めに取り上げる必要があるのではないか、、、と考えて、このブログでも取り上げてみる(といっても見てくれている人はわずかですが。。。)ことにしました。

みなさん、紛争解決に関する"ODR"って聞いたことありますでしょうか。

"Online Dispute Resolution"のことです。

"ADR"は皆さんご存知かと思いますが、これをオンラインでやろう、という試みが、なんとアメリカでは1996年頃からされているようです。このODRについては、たまたま見つけた、"Larissa D'Angelo, A comparison between American and Italian Online Dispute Resolution Systems"という論稿(*1)を見て知りました。

当該論稿によると、そのODRの代表例が、「かつてe-Bayにおける買主と売主との紛争解決に、SquareTradeという会社が提供するODRが利用された」、というものです。SquareTradeはこれまで120カ国、80万を超える紛争を扱ってきて、そのうち20万件ほどを解決してきた模様です。ビジネス上の理由からか、SquareTrade自体はODRの取り扱いをもう停止しているようですが、現在他にも

CyberSettle

I-Courthouse

Online Mediators.com

など、かなり多くのODRプロバイダーがいるようです。日本で名の知れたなものがあるとすれば、2012年頃にTech Crunchでもとりあげられた"Modria"かもしれません。

日本版クラスアクション制度が最近出来たばっかりですが、もしかするとこちらに取って変わられる可能性もあるのではないか、という気もしてしまうくらい、インパクトが今後出てくる可能性があるかもしれません。なぜかといえば、、、


*1 この論稿は、書籍・"Vijay Bhatia, Christopher N. Candlin, Maurizio Gotti, Discourse and Practice in International Commercial Arbitration (Law, Language and Communication)(2012)の中のもの。



日本でのODRの動き


このODRの動きは、日本でも実はきちんとあるんですね。

例えばこれ。消費者庁委託事業である消費者庁越境相談センター(Cross-Border Consumer Center Japan:CCJ)。これは直接的にはODRではないのでしょうが、相談受付等、一部オンラインで対応している部分もあり、また各国の同類団体と連携しているあたりが、ODRの今後を見させてくれています。また何より、このCCJの構成組織は、ベリトランス株式会社が運営事務局になっており、更に構成組織の中に、ODRを扱っている会社、「ODR Room Network」が入っていて、完全にオンラインでの対応を見据えています。

ちなみにODR Room Networkのウェブサイトを見ると、慶應義塾大学とか早稲田大学にてODRに関する授業で講義を担当したこともあるようで、最近の大学はスゴイな、と思いますが、前述の米国のODR関連会社の立ち上げをしているところの多くに、ハーバード大学のロースクール卒業生が絡んでいるのを見ると、やはり差があるのか、と驚かされます。


あと、学者の方もこの動きは理解しているし、行政側もそのようです。法務省のウェブサイトの中に、「仲裁手続に対する法律扶助の適用について」という資料(http://www.moj.go.jp/content/000123305.pdf)がありますが、これを書いているのは道垣内先生を始めとした3名の大学教授。日付は2014年4月。この資料の中では、ODRが消費者保護・正義へのアクセスとして「非常に有益」と言及されていますが、なんとUNCITRALでも越境的消費者紛争を対象とする ODR 規則案(*2)を公表しているようで、そのことについても触れられています。

なお海外では、その他に例えば、National Center for Technology and Dispute Resolutionという機関がODRの研究・調査をしています。この機関のODR調査委員会の委員長を、以前取り上げた"Tomorrow's Lawyers"の著者であり、イングランドのLord Chief JusticeのITアドバイザーや数々の教鞭を揮ってきたRichard Susskind教授が担っていますが、彼はODRにかなりのポテンシャルがあるので、早急に政府はODRに投資すべきだ、と提言しているようです。



政府機関も、学生も、海外の法務関係者も知っているODR。実務を担当している企業法務担当者がODRを知らないのは、やばいかもしれません。

先ほどのCCJやeBayの例を見ると、

BtoCの紛争に関しては各国の機関が連携することで、このODRが現実味をおびてくる気がしますし、

インターネットベースでのCtoCビジネスが増えつつある昨今、このCtoCの紛争解決にもODRが一役を買いそうな気がします。

実体法だけではなく、手続法の世界においてもアーキテクチャの役割が増えてくるのでしょうか。こういった「現実と理想とのギャップが大きいところにこそニーズがある」的な部分は、法律では時間的に間に合わず、アーキテクチャが埋めていく、みたいなことがあるかもしれませんが、各国の法律対応も早くなってきているのかもしれません。

今後もODRはウォッチしていきたいと思います。



*2 「A/CN.9/WG.III.127. 早川吉尚「UNCITRAL Online Dispute Resolution プロジェクト」仲裁と ADR7 号 14 頁(2012 年)参照。」と道垣内先生らが書いた資料には注釈がなされていますが、調べてみたところ、UNCITRALのWorking Group Ⅲが当該規則案プロジェクトを担当しているようで、すでに最新案はA/CN.9/WG.III.133となっています。表題は"Online dispute resolution for cross-border electronic commerce transactions: draft procedural rules"です。

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