法務担当者が知っておくべき和解提示方法~"Offer of Judgment" (前編) | 日々、リーガルプラクティス。

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現在、上場企業で法務を担当、
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先週金曜日、以前告知しましたJapan International Arbitration Summitに参加してきました。

思ったよりもこじんまりとしていました(笑)が、スピーカーの方たちや参加者の方たちがすばらしい方ばかりで、また新しい情報や知識(ADRを見据えたFIDICの各標準約款(Red Book等)におけるDAB(Dispute Adjudication Board)の活用方法とか。FIDICのことは恥ずかしながら初めて知りました)も得ることができ、またコーヒーブレイクの時などに色々な方たちとお話ができ、いい出会いがあってとても有意義な1日となりました。

それで、本サミット/カンファレンスの中で印象に残っているのが、伊藤忠商事の執行役員である茅野みつるさんがスピーカーとして参加されたパネルディスカッション。茅野みつるさん(ミドルネームがClaireなので、Claireと呼ばれていました。さすが、茅野さんの英語はネイティブそのもの、みたいな感じで非常に聞き易かった)ともう1人、Hyundai Heavy Industries Co., Ltd.のインハウスカウンセルの方、そして2人の日本人弁護士とモデレーターの外国人の弁護士の方の5名で行なわれましたが、そのパネルディスカッションの中で、モデレーターが


「仲裁の特徴と言われていた「迅速性」を取り戻すためにも、例えば一方当事者(A)が和解案を提示して、もう一方当事者(B)が和解案に応じず、しかし当初の和解案で当事者Aが提案した和解額よりも当事者Bにとって低い額の仲裁決定が出た場合は、当事者Aが和解案を提示した以降に当事者Aにかかった訴訟費用や弁護士費用を当事者がBが負担する、という制度を取り入れることも考えられるが、どう思うか」



という趣旨の質問をしたところ、面白いことに、日本人弁護士2名は"It's risky."ということで反対、インハウスカウンセルである茅野さんともう1名(ザッカリー氏)は、当該制度に賛成していたのが、とても興味深かったです。ザッカリー氏も「これはインハウスカウンセルとエクスターナルカウンセルとで見解が分かれるところだ」と述べていて、その態度の違いが鮮明だったんです。


なお、茅野さんは、「そういった制度は、アメリカの裁判、特にカリフォルニア州などにはすでに存在していて、訴訟コストを低減して紛争解決を短縮化させるためにも有意義だと思う」という趣旨の発言されていました。ちなみに、仲裁にもサマリージャッジメントのような制度が必要だとも思う、という発言もされており、かなり多くの仲裁で苦労をされた経験がある様子が伺えました。


そんなやり取りを見て思ったのが、「そうかー、やっぱり外部弁護士はそういう制度には消極的なのかー」ということです。そのことを改めて再確認しました。

そうすると、外部弁護士からそういった制度を提案してくることは訴訟においても稀だと想像します。実際に自分も外部弁護士からそういった制度について触れられたことはありません。ただ自分は当該制度は一度興味をもって調べたので多少理解はしています(理解しているつもりだけかも。。。)。

その制度は、アメリカでは一般に"Offer of Judgment"と呼ばれており、連邦裁判所における裁判においては、Federal Rules of Civil Procedure (FRCP/連邦民事訴訟規則)の第68条にて定められています。

なお、多くの各州でも同様(といってもそれぞれ差がけっこうある)に制定法化されている模様で、またアメリカ以外のいくつかの国でも当該制度はあるはずです(少なくとも自分が知っている中では、シンガポールにもあるはず。呼び方は違うかもしれないけれど、雑誌「ビジネス法務」にいつぞやか書いてあった)。

外部弁護士が"Offer of Judgment"について触れてくれることが少ないのだとすれば、ディスカバリー手続きにおいて優れたand/orリーズナブルなベンダーを企業側から提案すべきである(または少なくとも日本人弁護士などを間に介入させて、ディスカバリーのEDRMプロセスにおける各ステップの作業工数を減らす、といった提案をしたほうがいいことが多いはず。そうとも限らない場合もあるだろうけれど)、というのと同様、"Offer of Judgment"も企業側から弁護士に問い合わせすべき内容かもしれません。

ということで、今回のエントリでは"Offer of Judgment"に少しだけ触れてすでに長文となってしまったので、次回のエントリで(これは本当に次回にします)、当該内容を自分の復習がてら、見返してみたいと思います。

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