NDAと、「No」と回答させる具体的質問によるヒアリング術 | 日々、リーガルプラクティス。

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中心として徒然なるままに綴る企業法務ブログです。
週末を中心に、不定期に更新。
現在、上場企業で法務を担当、
米国ロースクール(LL.M.)卒業し
CAL Bar Exam合格を目指しています。

NDA(秘密保持契約)の作成や審査には、やっぱり事案背景や何を防御すべきか、攻めるべきか、この事実確認と把握が最大の難関ではないか、という気がいつもしています。


そんななか、少し前までは、NDAの締結背景をききつつ、どんな重要情報をどのような形態で開示し、またはどのような相手方の重要情報を受領するのか、その量や重要性のバランスは、ということを聞いていました。


しかし、最近感じているのは、そういったことを聞きつつも、もっとも確認しなければならないのは、


・最も防ぎたいことは、何なのか。そして、もっとも恐れるシチュエーションは何なのか。

・最初にいつから情報をやり取りしているのか。


これです。「当たり前だろう」と思うかもしれませんが、意外に難しいと感じています。半分は、法務が想像して想定するのが仕事ですし。しかし、法務が正しい想定をするまでの情報引き出しが難しい、と感じています。


例えば、技術部門からNDAの審査依頼が来たとします。上述した自分が今までやっていたやり方でヒアリングすると、それなりの答えは返ってきます。例えば「○○製品に使う部材の調達をするにあたって、競合に情報が流れないようにするために、NDAを結びたい」「本当に秘密な情報はそもそも出していない。重要な情報は書面ではだしていないが、メールや口頭では出したかもしれない」などなど。これなら、普通のNDAを若干修正すればよいな、と思ったりします。


しかし、改めて「本当に防ぎたいシチュエーションは何か」ということを色々聞いてみたところ、最大の懸念は、「今回、調達先に開発してもらった当該特注部材自体やその情報を、他社に渡されるのが嫌だ。どうやら、その調達先が同類製品を他社に販売開始するらしいので」と言われたら、どうでしょうか。


すると話は全然変わります。というのも、通常NDAでは自己が開示した情報の秘密保持を課すわけですが、今回の意図だと、自社の情報を元に相手が作成した製品やサンプル、仕様書の開示をとめたいわけです。すると、当該仕様書や製品が直接自社の開示した情報を明示していない限りは、普通のNDAでは守ることができません。


「ってか、そういう『仕様書やサンプルは、この2社間での契約以外に用いない』ってな条項が、売買契約書に入っているから、問題ないでしょ」と、次にそう思うかもしれません。しかし、製造業の調達においては、特に国際的であればあるほど、メーカーから直接調達する可能性のほうが低いです。このケースで、間に商社が入っているとします。すると、そういった文言の入った売買契約書は、商社とは締結していても、当該メーカーとは締結していないわけです。しかもNDAは3社間にすべきかもしれないし、情報のやり取りの開始時期を、3社でのやり取り前提に、再度ヒアリングしなおす必要があるかもしれません。


そんな風なことを思うと、やっぱり何をヒアリングすべきで、どうヒアリングするか、ってのが大事だと痛感する次第です。


そんな難しさを日々感じる中で、具体的事実を引き出すのに使っていて役に立っているのが、営業時代(トップセールスやってました!辛かった日々。。)に編み出した、「No」を言わせる質問でヒアリングをする、という手法です。


例えば、「なぜ、このNDAを締結するんですか」という質問をしても、意外と正確な事実は引き出しきれません。ただ、質問をいくつかする中で、若干趣旨がぼんやり見えたら、「ってことは、今回のNDAでは仕様書はあまり気にしなくていいんですね」という質問をして、「いや、そんなことはない」と答えさせます。その後、「じゃあ、何を防御したくて今回NDAを締結したいんですか」と質問しなおします。すると、意外ときちんとした回答がきます。


これは、人間、自分が否定したことは弁解して肯定をしたがる、という特性を利用した手法です。営業の時には、お客様の心深くに潜むニーズを聞き出すのに、そしてお客様相談室長を担当したときには、お客様が本当に不満なことと、望むことは何なのか、ということを引き出すのに、それぞれこれを意識して活用していました。


なので、相手が確実に「いや、違う」「そうじゃなくて。。」とまず答えるであろう質問をすることがポイント。慣れてくると、情報を引き出しやすいので、ぜひ一度お試しいただけると幸いです。また先輩方で、○○○○といった手法や考え方で、情報を引き出している、というお考えやご経験があればご教示いただけると幸いです。


。。。しかし、もっと短いブログにしないと、続かないな。。。文章力不足?