どうでも良い、の真意。~FUJI XEROX SUPER CUP 2020レビュー | 上がり3ハロン32秒8。

上がり3ハロン32秒8。

勇猛果敢に、Fマリノスと共に。

1エントリーしか書いていないにも関わらず、

早々にFMBHにご登録をいただく光栄に預かりました。
いまや数々の優秀な、才気溢れる、

また、フットボール愛、Fマリノス愛に溢れる書き手の皆さんが

いらっしゃる中で、どこまでニーズがあるやら、と思う面はありながら、

老兵なりの視点で、界隈を盛り上げていけたらと思います。
改めて、よろしくお願い申し上げます。

さて、土曜日のゲームから早3日以上が経った訳ですが、

ここへの評価・視点は多岐にわたっています。

正直、浮き足立っているのか、硬いのか、

言い方を敢えて選ばずに言えば

2018年の戦いを見ているような気がしていました。

立ち上がり15分は一定押し込みはしたものの先制には至らず、

その後押し戻される流れの中で、

その不安は特にディフェンシングサードでの繋ぎの中に

顕著に表れていました。
 

PM全勝で迎えた一戦ということもあり、率直に言って意外で、

これは苦しいかも知れん、と思いながらの前半。

ある程度押し込んだ結果として早々の失点こそ無かったものの、

オフサイド判定になった23分のCK辺りからは完全に不穏な空気、

そして4分後には失点。

以降、追い付いては突き放されを繰り返す展開で、

最後は前代未聞のPKでの決着となったというのは

皆さんご存知の通り。

この試合をどう消化するか、は、様々な切り口があり得ると思います。
タイトルがかかるゲームである以上、

一戦必勝で臨むべきだったのに落とした、

あるいは、そもそもPMの延長線上で、結果はどうでも良い、などなど。
 

他では、タイトルがかかると言えど、あくまでワンマッチ、

勝ちたかったのは勝ちたかったが、

ここで課題が露見した事で、今後に向けた改善点が見えて良かった、

というものもあり、私も概ねこの見方をしています。
 

これが今日のACL初戦であったなら、

しかも勝ち点を取れないスタートになったなら、

と考えれば、ここで連覇は容易ではないこと、

そして、研究される中で思い通りには行かないゲームが

今期増えるであろう認識を改めて持てた事に加え、

リーグ戦に影響しない結果でしかない事は

不幸中の幸いだったのではと思っています。
 

神戸のハイプレスに関しては、去年から同様の形に

取り組んでいたように思いますし、

特別なマリノス対策としてやって来た事とは考えていません。

ただ、畠中に対するドウグラス及び山口によるプレスのかけ方が

明確化されていて、チアゴからのビルドアップ時に

パスコースが限定され、思うように組み立てられないシーンは

目立ちましたし、実際これが失点にも繋がったように思います。
 

また、ゲーム後に酒井高徳が語っていた、

松原を封じる事で結果的にテルを封じる、

という点を含めた内容は実に理に適っており、

今後マリノス対策として参考にするクラブも増えるでしょう。

とはいえ、現実には高徳自身の経験に依拠する部分も少なくなく、

また神戸の個々の水準があればこそ機能した可能性も高いため、

おいそれと他のクラブ全てが実践出来るとは思えないものの、

ACLに出て来るようなクラブは出来ておかしくはないと感じています。
 

ただ、決して手をこまねいて、座して死を待つようなゲームに

しなかった事もまた、とても重要だったと考えています。
 

前半機能しなかった原因は、テルが抑えられて崩しが左に寄る中、

エリキが中に入って来すぎてしまう事でサイドに幅を持たせることが

出来ず、更には西との1対1というよりは、山口・ダンクレー・西に

囲まれるような位置に入ってしまう事で、

自ら苦しくしてしまったからと考えています。

 

が、エリキに外からの仕掛けが欲しかったのはあるものの、

同点に追いついたタイミングでVARが入ったのを上手く利用して、

最後10分は一定は修正出来ていたように思います。

今期VARが入っている間にいかに軌道修正して流れを変えるか、

は重要なポイントでもあり、それを公式戦初戦から

実践できていたことはポジティブに捉えて良いでしょう。


オナイウに関しては、昨年からのCF陣とはタイプが違うこともあって、

まだまだ試行錯誤している感。

早めにサイドから裏を狙ったボールを入れるような崩しは

昨年はあまりしていないですし、

時間が解決するレベルの問題と捉えています。

スキル面の不足を指摘する声もあるようですが、

新加入選手がシーズン冒頭から完全にフィットする事を期待するのは

あまりに酷と言うもの。

これから出場時間を伸ばしながらでしょうし、

結論を出すには時期尚早。

後半に入ってエリキをCFに据え、

ある意味で去年の形に戻してからは、神戸のプレスが

フィジカル面の理由で弱まったこともあってリズムを取り戻し、

らしさが出ていたのも一定の安心材料と捉えています。

 

2点目を顕著な例として失点の仕方が悪く、

展開的にも追い付いては突き放されを繰り返す、

言うならば最悪の形だった中で、

三度追い付いてPKまでは持って行ったのは地力が付いた証。

 

普通なら2点目をあの失い方で失点した時点で、崩れるのが普通、

そこを耐えて踏み止まった事は、勝者のメンタルが

身について来たからこそと思います。

PKに関しては、あまり触れる必要を感じませんが、

世間が言うほど最悪のPKではなかったように思っています。

ずっと練習で蹴っていた相手に蹴るのは、

キッカーとしては本当に嫌なもの。

神戸がどうして付き合ってくれたかは正直分かりませんが、

ワーワー言わんでもいいことのように思います。

(ただ、ACLとかでPKになるケースはあり得るので、練習は頼む)

あとは、ボスの「そこは別にどうでもいい」について。
これはボスとしては選手を庇うとかではなく、

実際そう思っている話だと思っています。

一部ではこの部分だけが強調され過ぎているように思いますが、

それこそこの部分は別にどうでも良くて、真意・本意は、

その後の発言にある通り、

彼は実際に起きてしまった繋ぎのミス単体を気にはしていないし、

責めようとも思っていない、という話。

 

そして、そこに到る過程をきちんと検証して、

同様のミスが起きた時のリカバリーを

どうするか、チーム全体を見ながら考える、ということ。

これはこれまでも同様だったスタンスで、ミスが起きるのは

当然のフットボールにおいては、

それを前提とした組み立て・プランニングが必要、というだけ。

今後もスタンスは変わらない、というメッセージを出しただけと

受け止めています。

この試合最大の収穫は個人的には伊藤がJ1で全く問題なく

やれるところまで自身を高めてくれていることがハッキリとしたこと。

不動と言われる両CBですが、

ターンオーバーも必要なシーズンですし、

相手によって、山本を含めた4人の中から最適解を選ぶことが

できれば、戦い方のバリエーションは大幅に増えるはず。

その意味で、伊藤の安定したDFはリーグ・ACLが始まる前の

大きな安心材料だったと言って良いでしょう。

 

残念ながら6冠の可能性は潰えましたが、シーズンはこれから。

テストしたいこともしながら、結果を得そうになりかけた、

という意味でも、その初戦としては、一定評価して

良いゲームだったのではないでしょうか。

 

【チーム採点・寸評】
横浜Fマリノス 5.5
自滅の側面もあったが、大崩れしてもおかしくはない展開の中で、

3度追いついてPKまでは持ち込んだのは強くなった証。

もう一段上がるために、ゲームの入り方は改めて見直したい。

 

【横浜|採点・寸評】
GK
1 朴 一圭 5
3失点している以上は高い評価はしにくいが、

今年もハイラインの支えとなるだけのスキルは示した。

今年はよりスイーパー的な要素を求められているようにも見え、

試行錯誤しながらの段階か。


DF
27 松原 健 5.5
ここを押さえれば仲川の機能を削げる、との神戸の判断もあり、

かなり厳しく来られる中でも、チャンスメイクの本数は

一定以上を維持、存在感は示した。

13 チアゴ・マルチンス 4.5
珍しく不安定で、2失点目の献上はさすがに厳しかった。

シーズン中、こんなことは無いと信じて、敢えて厳しい評価。

 

44 畠中槙之輔 4.5(HT OUT)
ディフェンス面でのドウグラスへの対応で手こずっている感が

あっただけでなく、ビルドアップにおいてもドウグラスと山口からの

圧をいなせていなかった印象。

シーズン初の実戦でもあり、やむを得ない面はあるが、

DFの核である以上、

シーズンへの期待を込めて、厳しめに評価したい。

 

5 ティーラトン 5.5
深い位置から攻撃に変化を出そうと腐心、

左からの攻撃にリズムを作った。

決定的な仕事ができれば、なお良かった。


MF
6 扇原貴宏 6.5
持ち味の展開力は健在、

今年も攻撃をマルコスジュニオールと共に司る。

同点弾を含め、公式戦初戦としては十分な活躍。

8 喜田拓也 6(74分OUT)
自身の仕事は十分にこなした。舵取りは今年も彼がやり切るだろう。

ただ、あの決定機は決めておきたかった。

 

9 マルコス・ジュニオール 6(88分 OUT)
今年も良い意味で神出鬼没、相手ブロックのスキを突きながら

攻撃の核として機能。

アタッキングサード全体で、中央・サイド問わず良さを出しながら、

今年も攻撃を牽引してくれるはず。

もしかしたら、PKを加味してピッチに残しておいても

良かったのでは。。。


FW
23 仲川輝人 5
前半はチームが神戸の術中にハマったこともあり、

なかなか機能せず。後半にようやくエンジンがかかりはしたが、

フィニッシャーとしての仕事は今回は果たせず。

PKを蹴らせてもらえなかったのは、何かあったのだろうか?


45 オナイウ阿道 5(HT OUT)
45分なのは予定通りとのこと。

特徴である裏への飛び出しをチームメイトが

まだ活かせていない印象。

パスの出し手へ戻すコースを切る形での高い位置からの

ディフェンスは理にかなっており、継続していってもらいたい。


17 エリキ 6(74分OUT)
前半はLWGでプレーも中へ入る癖が出て今一つ。

CFに入った後半に躍動し、1G1A。

前半早々にラフプレーで負傷もあったことを考えれば

及第点以上だが、今後も試されるであろうLWGでの結果を

できる限り早い段階で出していけると、

チームとして選択肢の幅が広がる。

 

途中出場
DF
15 伊藤槙人 6(HT IN)
山口の3点目こそブロックが間に合わなかったが、

他は終始安定したプレーで全体に安心感を与えた。

このプレーならどこが相手でも十分やれるはず。

 

FW
11 遠藤渓太 6.5(HT IN)
前半機能不全だった左サイドに活力をもたらした。

ウイングストライカー然としたプレーで躍動、

エリキの同点弾を生み出した。


FW
30 エジガル・ジュニオ 6(74分IN)
飯倉のファインセーブにあい、ゴールこそなかったが、

ボールが収まった際の安心感はさすがのものがあった。

当面リーグに専念する形になるが、今年こそシーズンフル稼働で

得点王を期待できるだろう。

 

MF
33 和田拓也 6(74分IN)

喜田拓也⇒和田拓也、の交代でスタンドが何とも言えない

ほんわかした空気に一瞬なりはしたが、

プレーは良い形で締まっていた。

ターンオーバーの中で、活躍機会も増えるシーズンになるだろう。

MF
18 水沼宏太 -(88分IN)
歓迎ムードに包まれながらの登場となったが、

今回はPKを含めて空回り。

ただ、トップ下起用はリーグ戦などでも十分にあり得るチョイスで、

帰って来た宏太、に期待したい。


監督
アンジェ・ポステコグルー 6
前半の内容の悪さは、一定テストの意味合いもあり

織り込み済だったか。VARで中断した時間の使い方、

ハーフタイムでの軌道修正はさすがの手腕。

リーグ・ACLを両睨みしながら、上手く回すイメージは

既に立っていそうで、ここからの実戦にどう向かうかは大変興味深い。