2010年09月30日(木)

“努力”日本人の好きな言葉―幸田露伴『努力論』

テーマ:メルマガ「楽しい読書」

―第43号「レフティやすおの楽しい読書」別冊編集後記


2010(平成22)年9月30号(No.43)-100930-
幸田露伴『努力論』―“努力”日本人の好きな言葉

http://archive.mag2.com/0000257388/20100930120000000.html



幸田露伴『努力論』を知ったのは、いつ頃か。

五六年前というところでしょうか。


本文にも書いていますように、
中でも「幸福三説」が非常に有名で、色々な人が取り上げていたからです。


--
私が初めて接したのは、
多分、竹内均先生の著書だったと思います。
(『自分をどう生かすか!』三笠書房 知的生きかた文庫 1991)


その後読んだ谷沢永一先生の本のどれかにも書かれていた、
と記憶しています。
--


「努力」という言葉のインパクトが、本書を印象に残るものにしているようです。


内容云々は、本文にでおわかりいただけると思います。


とにかく、初めて読んだ露伴『五重塔』でしたし、「明治の文豪」の一人と聞いていましたから、
小説が中心だろうと思っていました。


ところが、実際には評論の類が最も多く、随筆的なものが次いで多く、小説は初期と晩年ぐらいのようです。
これも意外でした。



一般には現代ではほとんど忘れられた作家の一人、と言ってもいい状況です。


探してみれば、文庫本でも幾冊もの本が手に入りますが、
一般に書店で気軽に手に入る、というわけではないようです。


知られているのは、なんと言っても『五重塔』。
次いでこの『努力論』ではないでしょうか。


現在これだけ読まれなくなったその理由は、なんと言ってもその文章の難解さ、でしょう。
私が読んだ本には、外国語より難しい、とまで書かれています。


実際はそれは嘘で、一応日本語ですから、日本人ならたいてい読めます。
もちろん、「読める」と「理解できる」は別問題ですが。


個々の言い回しや表現、単語の意味までは理解できなくても、
文章のリズムに乗れば、勢いでどんどん読み進められます。


だいたいの意味は分かります。
人に説明できないにしても。



昔の経済的な理由から上級学校に進学できない、けれど向学心のある勤労青年に向けて書かれた文章が、前半です。
この辺は、分かりやすく書かれています。


新渡戸稲造などもこの時期、『実業之日本』等に勤労青年向けの文章を書いていました。
これは『修養』等の本にまとめられています。


そういう時期にあったのです。
明治から大正にかけてのこの時期は。



今露伴の本が再び注目されるようになるかどうかわかりませんが、
この『努力論』などは、『自助論』などと共に、受け入れられる時代になっているかもしれません。


格差社会―経済的な理由から学歴に差が生まれ、格差が拡大再生産される、という時代。
個人の力で改変してゆくしかない時代です。


努力を努力と思わないで、努力することを一つの当たり前の習慣として、
まさに「全気全念」でものごとに取り組んで行く時代になったのでしょう。



本文で引用した本:
『努力論』

努力論 (岩波文庫)/幸田 露伴
¥735
Amazon.co.jp

『幸田露伴の世界』

幸田露伴の世界/池内 紀

¥5,250

Amazon.co.jp


『運が味方につく人つかない人―幸田露伴『努力論』を読む』

運が味方につく人つかない人―幸田露伴『努力論』を読む (知的生きかた文庫)/幸田 露伴
¥560
Amazon.co.jp

読み解きにおススメの本:

『自分を活かす“気”の思想 幸田露伴『努力論』に学ぶ』

自分を活かす“気”の思想 ―幸田露伴『努力論』に学ぶ (集英社新書)/中野 孝次
¥693
Amazon.co.jp

『幸田露伴の語録に学ぶ自己修養法』

幸田露伴の語録に学ぶ自己修養法/渡部 昇一
¥1,680
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2010年09月15日(水)

小著の薦め―成功する初心者読書法:私の読書論-15-

テーマ:メルマガ「楽しい読書」

―第42号「楽しい読書」別冊編集後記


●レフティやすおの楽しい読書●

2010(平成22)年9月15日号(No.42)-100915-私の読書論-15-小著の薦め―成功する初心者読書法
http://archive.mag2.com/0000257388/20100915120000000.html


前回に引き続き、小著についてです。


夏の文庫100冊には、主に小説が多く選ばれていました。


このキャンペーンは、主なターゲットが、
中高生から大学生、読書初心者の若者に絞られています。


そこで、そういった読書初心者が馴染みやすいものをメインに、
読んでいてほしい古典などを取り混ぜて選ばれています。


その結果、論文よりも親しみやすい随筆や、
ストーリーに導かれて読みやすい小説が多くなり、
中でも現代日本の人気作家を多く採用する傾向が
年々強くなっています。



以前は、新潮文庫でも、もっと古典の比率が高く、
日本文学、世界文学の古典的名作が数多く並んでいました。


最近は、どうも昨今の読書離れを反映して、

読書離れを食い止めようという作戦か、
少しでもとっつきやすい、
テレビ・ドラマや映画化された作品の原作などに
比重が移ってきているようです。


この辺はちょっとさびしい気がします。


読書というのは、漢方薬のようなもので、
口に苦く、飲みやすくはないし、
即効性もないけれど、じわじわ効いてきますよ
というところに価値があるわけです。


良薬口に苦し、という典型かもしれません。
(私は、結構何を読んでも面白い、と感じる人間なんですが…。)


あまり甘口で飲みやすくすると、変な依存症になる人もいるかもしれません。


柔らかいものばかり食べていると、歯や顎の発達が悪くなり、
硬いものが食べられなくなり、
栄養が偏ったり、虫歯になったり、健康を害するといいます。


同じように、
甘口の、柔らかいものばかりの読書は、
人間の頭や心を弱くするのではないでしょうか。



ここはやはり、とっつきの悪い本であっても、
古典の難しげな本、
ちょっとしんどいものを読む訓練が必要です。


そこで、大事なのが、「まずは小著から始める」ということなんですね。


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