2008年09月30日(火)

『黄金虫』海賊ゴッコから探偵ゴッコへ―第10号「楽しい読書」別冊編集後記

テーマ:メルマガを作る


ポオ小説全集とポーをめぐる殺人
●「レフティやすおの楽しい読書」―別冊編集後記
2008(平成20)年9月号(No.10)-080930-『黄金虫』海賊ゴッコから探偵ゴッコへ


 「字の読めるアメリカ人の大人で、ポーを読まずに育った奴なんていないんだぞ」
     リンダ・フェアスタイン/著 平井イサク/訳『埋葬』
      ハヤカワ・ミステリ文庫HM264-7(2006、原著2004) 153p


始めに、私の好きなポーの作品ベスト10を挙げてみましょう。


・黄金虫
・黒猫
・赤死病の仮面
・アッシャー家の崩壊
・ウィリアム・ウィルソン
・モルグ街の殺人
・盗まれた手紙
・メエルシュトレエルに呑まれて
・早まった埋葬
・リジイア


昔はこんなところでした。


このうちの始めの6編は、最初に読んだ作品集、旺文社文庫『黒猫・黄金虫・他四編』刈田元司/訳(1966)に収録されていたものです。
やはり最初の印象は強く残っています。


他の4編はその後、創元文庫版『ポー小説全集』で読んだものです。


この中には、他にも心に残る作品が数多くありました。

特に印象に残っているのは、長編の「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」「メエルストロムの渦」「陥穽と振子」「ヴァドマアル氏の病症の真相」「天邪鬼」「タール博士とフェザー教授の療法」「ベレニス」「モレラ」などでしょうか。



今は? と尋ねられると、最近は全作品を読み返していないのでなんともいえません。
けれども、基本的にはあまり変っていないように思います。


最近、新訳で出た三冊の短編集を読みました。


『エドガー・アラン・ポー短篇集』西崎憲/編訳 ちくま文庫(2007)
『黄金虫・アッシャー家の崩壊 他9篇』ポオ/作 八木敏雄/訳 岩波文庫(2006)
『黒猫/モルグ街の殺人』小川高義/訳 光文社古典新訳文庫(2006)


それぞれに工夫があり楽しめましたが、先の二つが私の好みに合いました。


好みというものは、もちろん人それぞれですので、この三冊の短編集の優劣をつけるというものではありません。


私は、挿絵付の本が好きなので、どうしてもそちらのほうを本として高く評価する傾向があります。
そういう観点からいいますと、「B」が各編の扉にポーのそれぞれの作品の挿絵として有名なものを使っていて楽しめました。


今回読み返したもので面白かったのは、「ヴァルドマール氏の死の真相」「告げ口心臓」「アモンティラードの酒樽」でしょうか。


それぞれの作品集に重複する作品もあり、「黄金虫」「黒猫」「モルグ街―」等の超名作とは別に、この辺のラインアップがポーの主な名作にあたるのでしょうか。


生前はさほど恵まれなかったポーでしたが、ミステリという新しいジャンルの発明者として、またその他のジャンルにおいても、いまやその短編小説は名作として不動の地位を獲得しています。


しかもなおそれは、埃にまみれた殿堂入りの古典としてではなく、現役の面白さを持って


あなたももう一度この作家の作品を読み直してみてはいかがでしょうか。



『黄金虫』ならびにエドガー・アラン・ポーの作品等につきましては、メルマガ「レフティやすおの楽しい読書」本編をご覧ください。

2008(平成20)年9月号(No.10)-080930-『黄金虫』海賊ゴッコから探偵ゴッコへ
http://archive.mag2.com/0000257388/20080930074500000.html



(↓「黄金虫」収録)

ポオ小説全集 4 (創元推理文庫 522-4)/エドガー・アラン・ポオ
¥714
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エドガー・アラン・ポー短篇集 (ちくま文庫)/著者不明

¥672

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黄金虫・アッシャー家の崩壊 他九篇 (岩波文庫)/ポオ
¥798
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黒猫/モルグ街の殺人 (光文社古典新訳文庫)/ポー
¥480
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モルグ街の殺人・黄金虫―ポー短編集〈2〉ミステリ編 (新潮文庫)/エドガー・アラン ポー
¥460
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※ 過去の「楽しい読書」別冊編集後記:
2008.8.31
『歎異抄』弱きを救う阿弥陀さま―第9号「楽しい読書」別冊編集後記
http://ameblo.jp/lefty-yasuo/entry-10132959283.html
2008.8.15
夏休み特別編・読書感想文を書く―第8号「楽しい読書」別冊編集後記
http://ameblo.jp/lefty-yasuo/entry-10124998198.html
2008.7.31
夏休み特別編・夏の文庫100冊から海の古典―第7号「楽しい読書」別冊編集後記
http://ameblo.jp/lefty-yasuo/entry-10121001660.html
2008.6.30
『宝島』海賊ゴッコの聖典―第6号「楽しい読書」別冊編集後記
http://ameblo.jp/lefty-yasuo/entry-10109196707.html
2008.5.31
『三教指帰』天才青年空海の主張―第5号「楽しい読書」別冊編集後記
http://ameblo.jp/lefty-yasuo/entry-10101154942.html
2008.4.30
古典としての『星の王子さま』―第4号「楽しい読書」別冊編集後記
http://ameblo.jp/lefty-yasuo/entry-10092238277.html
2008.3.31
ビジネス自己啓発本としての『老子』または人の在り方...第3号「楽しい読書」別冊編集後記
http://ameblo.jp/lefty-yasuo/entry-10083428304.html
2008.3.10
大人も楽しい『トム・ソーヤーの冒険』―第2号「楽しい読書」別冊編集後記
http://ameblo.jp/lefty-yasuo/entry-10078843903.html
2008.2.24
ろんご・ロンゴ・論語―創刊号「楽しい読書」別冊編集後記
http://ameblo.jp/lefty-yasuo/entry-10075192487.html

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「レフティやすおの楽しい読書」
http://www.mag2.com/m/0000257388.html
●マガジンID 0000257388
●カテゴリ  アート・文芸 > 文芸 > 批評・論評
●発行周期  月刊(毎月月末発行)
●メールマガジンの説明文:若い頃は本屋の店員だった本好きのレフティやすおが、古今東西の古典・名作・名著のなかから毎月一点を選んで、楽しい読書のポイントを紹介します。読書とは他人(ひと)様の人生を追体験すること。「楽しい読書」で豊かなひと時、楽しい人生を送りましょう。
●バックナンバー
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「レフティやすおの楽しい読書」コミュニティ
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2008年09月25日(木)

左利きは不便ではあるが不幸ではない

テーマ:左利き

{たまには、こちらでも左利きに関するエッセイを!}


「左利きは不便ではあるが不幸ではない。」


この言葉は以前にもあちこちで書いた言葉です。


実は、これはある人の言葉をもじったものです。原典に直接あたったことがないので、偉そうなことはいえませんので、元の言葉についてはこれ以上は沈黙とします。


さて、私が言いたいことは、こういうことです。



「あなたは幸せですか?」と問われた時、どちらの答えにしろ即答できる人はいいのですが、アレッと考えてしまう人がいるといいます。


そういう人は、たいていその後「幸せ」を選ぶのだそうです。


で、それには理由があるのです。

「それは、幸せな人ほど、自分が幸せであることを意識せずに暮らしているからです。/幸せだから、幸せについて考える必要がありません。/外部からの質問で、改めてよく考えてみて初めて、自分が幸せであることを気づいたり、思い出したりするのです。」

(流音弥「名言ナビ」 No.380 2008年9月18日発行分より)


そして、普段から不幸だと思っている人は躊躇なく「不幸」を選び、「分からない」とか迷ったりしないものだというのです。


なるほど、と思いますね。



そこで、始めの言葉です。


「左利きは不便ではあるが不幸ではない。」


今の世の中では、左利きであるということは、確かに何かと不自由なもので、不便を感じさせられます。


生まれつき左利きで、こういう状況のなかで育ってきたのだから、特に不自由は感じないとか、不便だとは思わない、という人もいます。

しかし、これは言ってみれば、あきらめです。

そういうものだという、思い込みです。


実際には様々な場面で、アレッとかウーンとかどうもなあとか、色々と感じることがあるものです。

そういうものを「特別に意識しない」ようにしているだけです。


言ってみれば、「不幸」を選ばないようにしているだけです。


実際につきつめてみれば、不幸なのです。


不便というのは、やはり不幸の一つです。


しかし、この不幸は改善できる、解決できる不幸である場合がほとんどだといえます。



この不便さからくる不幸は、そしてそれ以外の不幸も、たいてい改善できる、解決できる不便であり不幸なのです。



始めの言葉、「左利きは不便ではあるが不幸ではない。」は、現状では生活してゆく上で物理的に不便だが、そういう不便さはあってもそれが生きてゆく上での精神的な不幸にはつながらないのだ、精神的な不幸とは別物なのだ、という宣言です。



物理的な便不便は、元々は自分自身(と社会との整合不整合)に起因するものではあっても、それは本来は外にあるもので改善可能の問題ではあるが、現状ではどうにもならないことである。


それに引きかえ、精神的な幸不幸は、自分自身に起因するものだけれど、自分の内にあるものであり、心の持ち方しだいでどうにでもなるものである、といえます。



哲学者の岩田靖夫氏は、その著書『よく生きる』ちくま新書(2005)の中で、「本当の生きる喜びは、... 幸福は他者との交わりのうちにあるのです。」(33p)と書いておられます。


よく生きる (ちくま新書)/岩田 靖夫
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即ち、物理的環境が満たされなくても、他者との心の交わりにおいて満たされていれば、幸福と成り得るということです。



ここでまた、「左利きは不便ではあるが不幸ではない。」ということになります。



物理的環境は満たされていなくても、精神的な環境は自分を認めて受け入れてくれるのであれば、幸福になれる、ということです。



そこで、今、私たちのまわりを考えてみたとき、左利きを認めて心から受け入れてもらえるときは、幸せを実感できるけれど、そうでないときは不幸に感じてしまうということです。



残念ながら、現状では、そういう左利きを認めない、受け入れてくれない人もいるのです。

少なくとも条件付でなければ、といった人が。



古代ギリシアの哲学者アリストテレスは、幸福は核となる純粋な魂の活動だけでなく、それを取り巻く外的な要素も含めて成り立つのだ、というのです。


例えば、富や名誉とか健康とかも含めて、です。

岩田靖夫/著『ソクラテス』勁草書房(1995)「第十章 幸福」218-223p)


そして、アリストテレスに先立つ哲人ソクラテスの考えも同様だったと言います。

...「徳の至高性」を基本に据えながら、しかもなお、非倫理的な諸善をも幸福の小さな付属的構成要素として容認することが、人間の現実に適合しており、それがソクラテスの立場でもあった...(同236p)
ソクラテス/岩田 靖夫
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そこでまた、「左利きは不便ではあるが不幸ではない。」です。



即ち、左利きの人にとって外的な要素―物理的環境が今ひとつと感じられるのが現状だとしたら、それは幸福にとってマイナスであり、いくら心の持ち方を充実させても幸福とはいえないことになります。



ましてや、左利きを認めない人、受け入れない人と遭遇したとしたら、これは悲劇となるでしょう。



何度も言うように、私は「左利きは不便ではあるが不幸ではない。」と思っているのです。


しかし、それを心から真実と言い切るためには、まだまだ越えていかなければならない問題が数多く横たわっているように感じるのです。



このことを一人でも多くの人が心に留めてもらえれば、と思いつつ、私は日々こういう文章をメルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』 やサイト『左利きを考える レフティやすおの左組通信』 、ブログ『レフティやすおのお茶でっせ』 などで書いているのです。



※本稿は、ココログ版『レフティやすおのお茶でっせ』より「左利きは不便ではあるが不幸ではない」 を転載したものです。


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