こんにちは。
不動産鑑定士の福井將之です。
ある程度の遊休土地を所有していると、ある日突然、
ピンポ-ンと不動産業者が訪問してきます。
「この土地にアパ-トを建てると相続対策になりますよ」
相続税が安くなるという甘い言葉、セールスト-ク。
誰でも、税金が安くなる、と聞くと前のめりになるものです。
それは仕方ありません。
確かに、大まかに言っても、
土地は時価の80%、建物は時価の50%~70%ぐらいの評価にな
りますから相続税は下がります。
それに加えて、アパ-トを建てることによって、土地は貸家建付
地として減額されます。
そして、この時のもうひとつのセールスト-クはアパ-トの利回
りです。
たとえば、建物(アパ-ト)の建設費が1億円で、そのアパ-ト
での満室時の総収入が500万円とします。
500万円÷1億円=5%
「利回りが5%ですよ、銀行の預金金利は1%もいかないのにいいですよね、
建物代金を金融機関から借りても金利2%だから十分返済できます」
さて、ここに2つの落とし穴があります。
まず1つ目は、500万円は総収入であって費用が考慮されていません。
総費用を総収入の20%と想定すると純収益は400万円です。
すると、純利回りは4%です。
2つ目は、この利回りには土地代が入っていません。
土地代を1億円とすると、土地建物合わせての純利回りは、
400万円÷2億円=2%
結局、相続税対策でアパ-トを建てると、純利回り2%
(満室時)の収益物件となります。東京でもどんなに高くても2%はいかないでしょう。
もし、相続対策でアパ-トを建設した後、急にお金が必要に
なって、売却しようとしても、純利回り2%では売れず、市場で
は最低でも純利回り4%が必要となれば、土地建物の売却価格は
は1億円となり、もともとの土地建物価格の2億円を基準にすれ
ば1億円の損失となってしまいます。
税金を安くするつもりが逆に高くついてしまう場合もあります。
いかがでしょうか?
相続対策はよく考えてから行いましょう!