27度 | レさんのブログ改めジャンク・エッセイ

レさんのブログ改めジャンク・エッセイ

活字中毒の方、ヒマ潰してみませんか?

 微妙な温度だ。日が照れば暑いし、曇りだと涼しい。

 先ほど、空の端っこまで辿り着いた太陽が、ようやく顔見せてる。その日差しは窓越しに、なかなか鋭い光を飛ばしてくるのだ。

 秋は、まだ浅い。

 

 ひとが、この世界からの消滅してしまうこと。それは数時間後かもしれないし、明日かもしれない。上手く生き延びたとしても、50年後は、確実にこの世から消滅している。順番、といえばそれまでだけど。

 しかし、都度それを見送る立場は、何度経験しても慣れない。

 

 つい先に鬼籍に入った先輩に手を合わせにいった。

 この時勢なので葬儀場ではなく、ご自宅に、である。ただ、手を合わせるだけと思い、私服で行ったのだけれど、僕以外の方は喪服だった。ちょっとマズいかな、と思ったのだけれど、先輩のお兄様は、思いっきり私服だったので、少し安心した。

 

 八名ほどが、そこには集まっていて、この時勢なので4名ずつ入れ替わる形で先輩に手を合わせた。

 ひと昔前の日本家屋の座敷に、仏壇があってその横で先輩は、微笑んでいた。いい写真だと思った。

 

 お兄様も、突然のことに戸惑っていて「悼む」というより、それに必ず付帯してくるさまざまな手続きに呆然としているように感じた。そんなお兄様の口から語られる先輩の休職中のエピソードのあれこれも、どれも先輩らしい豪快なエピソードばかりだった。「何やってんスか、先輩!」ってツッコミを入れたかったなぁ、と思うエピソードばかりである。勿体ないなぁ、と思った。

 

 帰りに数年ぶりに出会った先輩の友人の車で送ってもらいながら、その車内でここ数年にお互いの身の回りに起こった、色んなことをしゃべった。やっぱりお互いの身の回りで、鬼籍に入った方々がいた。送って頂いた先輩も数年前に胃癌を患って、オペしたらしい。日に焼けてて、背も高く元アビスパ福岡監督の井原氏によく似た先輩である。「人生、なかなか厳しいねぇ」って。子育てにもまだまだ頭を悩ませていらっしゃった。僕も、そうなのだけどさ。

 

 送っていただき、近所で車を降りると薄曇りで晴れているのに、小雨がパラついた。かすれた様な雲の向こうの太陽。それでも雨は降る。