さて、参院特別委員会でいわゆる「安保関連法案」が可決されたようですね。
昨日からゴタゴタとあったようですが、残すは本会議での可決というところでしょうか。
もうこの話題は何度かコメント書いているので、
「またか」
と言われてしまいそうですね。
ですが、今週も行く先々で中高生が、
「なんとなく反対」
という発言をしていたので、やっぱりオトナとしては、
さらに、教育に携わる者としては、
きちんとした判断をしてもらうための導きはしないと、
と改めてそう思います。
中高生に責任はないかもしれませんが、
最近は「反対デモ」に高校生の参加者もいるとかいないとか。
さすがに中学校で「公民」を勉強しますから、
それ以上の人は、きちんと知ったうえで考え、語らないと。
そういう大事な部分がごっそり抜けて、
なんとなくのイメージに引っ張られて、
「なんとなく反対」がブームのように盛り上がっているのであれば、
それはやっぱり頂けません。
反対派に対する私の見解はすでにどこかで書いていますが、
その人たちのレッテル張りというか、イメージ操作なのか、
そういう発言にうまく引っ張られてしまっている若者たちは、
ひとまず中学校の公民の教科書を読みましょう。
「日本国憲法」も「国連憲章(抜粋)」も、
「日米安全保障条約(抜粋)」も
「武力攻撃事態対処法(抜粋)」も載っています。
条文を暗記する必要はありませんが、
どういう趣旨のことが書かれているのか、
一度読んでみましょう。
そのうえで、観ながらでもいいですが、
ぜひこちらをご覧ください。
参議院での公聴会に招致された参考人の方々のスピーチで、
改めて整理しておくと良いでしょう。
まずは↓こちら↓
伊藤真さん。
言わずと知れた?司法試験塾「伊藤塾」の塾長。
日弁連憲法問題対策本部副本部長という役職もあるようですね。
私は以前大学受験の際に代ゼミの授業を受けていたことがあります。
その際に、公演会のような催しで伊藤さんのお話を聞く機会がありました。
憲法について熱っぽいお話を聞き、
それまで憲法や法律について学校で勉強したはずなのに、
何にも知らなかったんだと気づかされたと記憶しています。
当時はまだ司法試験一発で弁護士になれる、ということで、
大学では別の勉強をするつもりでしたが、
「司法試験受けてみようかな」
と無謀にも思ってしまったほど、その話しぶりに感銘を受けていました。
何年振りでしょう。
伊藤さんのお話しぶりを聞き、
当時を懐かしく思い出すとともに、
さすが、法律家だけあり、理路整然としたスピーチです。
憲法、法律の原則からすれば、
伊藤さんの指摘は至極もっともなものだと思います。
ただ一方でやはり憲法に魅せられすぎているような印象も持ちます。
伊藤さんの言う通り、
「不完全な人間がその時々の感情にまかせず、
人間の英知の結晶である憲法に基づいて国家運営を行う」
ということが、立憲主義の大原則でしょう。
しかしながら、その憲法ももちろん英知の結晶とはいえ、
やはりそれは不完全な人間の所産です。
時の為政者がコロコロコロコロ自分らの都合の良いように変えるのは絶対にあってはなりませんが、しかし主権者である国民にとって不都合な状態であれば、それは改正すべきであります。
さらなる英知を積み重ねるのが原則でしょう。
特に、日本国憲法はその成立過程にもやはりいろいろ問題があるわけですし、じゃあ良い機会だから自分らでより良い憲法作ろうよって流れは何の問題もないですし、むしろやるべきことだとすら思います。
もちろん今の憲法は日本国憲法ですから、それに則って立法し、行政しなければいけません。
その意味でいわゆる「一票の格差」問題は看過できない問題ですから、その指摘は至極真っ当なものでしょう。
しかし、違憲の問題を持ち出すのであれば、
そもそも「自衛隊」はどうなのか。
「日米安全保障条約」は、「在日米軍」は、「国連憲章」は、どうなるの・・・?
それらすべて違憲なのかしら。
それならもう「ゴメンナサイ」ってやり直しましょうかね。
いやいや、反対派の多くの人は現状維持とか、
「個別的自衛権」で対処ができるとか、
そうおっしゃっていますから、
現状は違憲ではないのでしょうかね!?
このあたり賛成派も反対派も(特に反対派)は精査して頂きたいものです。
さてさて、一方の現実路線の賛成派の意見としては、
元外務省官僚であった宮家邦彦さんのスピーチが分かりやすい。
なぜ、いま、「安保関連法案」が必要であるのか、端的に語られています。
反対派(の一部の人)が主張する「個別的自衛権」あるいはその拡大解釈の危険性などなど、まだまだ確認すべきことはたくさんありますが、とりあえず宮家さんの話を聞けば、要点はつかめるでしょう。
このスピーチの中で反対派の方々にいく度か、
「本当にそうお思いですか?」
という問いかけに、特に民主党の方々はぜひ真摯に解答して頂きたいですね。
有権者の一人としてそれはぜひとも知りたいことです。
私個人としては、国の安全保障について議論し、自衛隊も含めてきちんとした法整備をするべきである、と考えています。
だから、改憲も含めて議論はすべきだという立場です。
その際に、何となく「戦争する国」、とか、現憲法にしばられ過ぎず、ざっくばらんに安全保障について考えたいし、国民の代表者の議員さんには、そのように考えてほしいと強く思う。
「戦争法案」だと言うのであれば、
「では戦争をしないためには…」
「政府案のここがこう変わればもっと平和や安全が保障される」とか、
具体的な点で批判、反論し、より良い安全保障政策を実現していく…
それが少なくとも国会議員には、その全員に求められる責務でしょう。
前にも書きましたが、反対派の微妙な反論で、
議論が非常に些末なものになっています。
変なレッテル張りやイメージ戦略で、
子ども達が誤解しています。
子ども達が自分で考えることを遠ざけられるような事態になってしまっています。
たとえ賛成だろうが、反対だろうが、究極それはどっちでもいいんですよ。
大事なのは、自分で考え、自分で語り、自分で行動することです。
何となく誰かの受け売りで、それっぽいこと言ってる人に限って、
自信がないからどんどん声が大きくなって、
言うべきことが実はあまりないから同じことをくり返すばかりになる。
…往々にしてそういうこと、ありますでしょ!?
だから、子どもたちにはそうはなってほしくない。
きちんと自分で調べ、自分で考え、自分のことばで語り、自分の意志で行動できるようになってほしい。
私が真に望むことはそれです。
この話題についての些末で不毛な議論は、
これで終わりにしたいものですね。