今回は、岐阜NPOセンタープロジェクトスタッフでもあり、フリーライターでもある水野馨生里さんをゲストに迎え、お話をきいた。水野さんは、岐阜県岐阜市出身、慶応義塾大学総合政策学部を卒業後、広告代理店に勤務していたが、その後岐阜にUターンし今の活動を始めた。

 水野さんは、大学1年の頃から毎年カンボジアに行っていた。そこでは、NGOが畑の技術を伝えるなど、暮らしや社会全体を持続性可能にすることを目的として活動していた。そこで出会ったクメール伝統織物研究所と、ひとりのおばあさんが自身の人生に大きな影響を与えたという。それは、「おばあさんにとっての織物とは何だろう」という疑問から始まる。インタビューをしたところ、「どんな存在かなんて答えられない。自分と織物はイコールだ。」と言われたことから、それだけ伝統が根付いていることを実感した。それが、水野さん自身のルーツや背景は何だろうかと考えるきっかけとなったという。

 大学入学のために、岐阜を出て神奈川に住み始めた頃は、岐阜出身だと言うことが嫌だった。岐阜に魅力を感じていなかったためである。しかしカンボジアでの体験を通し、自分のルーツを探すにつれ岐阜に目を向けるようになった。そしてついに、大学4年の時にG-net Tokyoを立ち上げた。東京に居ながら岐阜のためにできることを考え、UIターン支援事業をするなど、岐阜文化のPRや東京在住岐阜人のコミュニティづくりなどを行った。そこで出会った仲間が紹介してくれたのが「水うちわ」である。水うちわとは、ガンピ紙でできており、ニスを塗ることで紙が水のように透けているうちわである。紙が丈夫なため、水をつけて扇ぎ涼しむことができる。また、紙の原料は山に取りに行かなければならず、雨や湿気の高い日には作れない貴重なものだ。その水うちわに魅力を感じた水野さんは、水うちわ復活プロジェクトに参加、岐阜に通い始めるようになった。岐阜についてどんどん知っていくうちに、自分にしかできないことがあるのではないかと考えた水野さんは、Uターンを決めた。それまで務めていた企業は、やりがいもあり楽しかったのだが、その自分にしか出来ないことのために岐阜に戻ったのだ。今は、水うちわから入り込んで町づくりまでも行おうとしている。水うちわは、清流長良川あってこそできたもので、川が綺麗であるためには山が綺麗でなくてはならない。山の手入れの活動も行っている。水野さんは、これからは一人ひとりができることをやることが大切だと言っていた。それは地方でも東京でも一緒で、それぞれに役割分担がある。自分はどこで何をするべきかを考えるべきだという。

 水野さんは、自分の活動のことをとても楽しそうに話していた。本当に岐阜と水うちわが好きなのだと感じた。「女性が活動的に働くのは大変ではないか。」と質問したところ、「それは全く無い。」ときっぱり言われたので、私にとってはかなり気持ちの良い答えだった。まだまだ企業では女性差別があると聞くが、逆に優位だという体験を聞き、嬉しかった。

 また、昔の水野さんのように上京しても自分の出身地を言うのが嫌な人はたくさん居ると思う。しかし、地元のことを知って自慢したくなるくらい好きになる人が増えると、楽しいと思う。地方の交流が出来、地方で刺激しあって相乗効果が生まれる。

 さらに活動を広めようとしている水野さんはとてもいきいきしていた。私も将来はこんなふうに仕事をしたいと考えた。やはり地域に元気を与えるには若者の力が必要だ。地域の人たちは若者を受け入れやすい。今回の講演を聞いて感じたのは、「知る」ことの大切さだ。何も知らないと興味を持たないし楽しさも感じない。とりあえずやってみよう、考えてみようという気持ちが大切だ。地元を知るには一度地元を離れるとい良い。違う環境に置かれることで今まで居た環境との違いを発見し、比べることが出来る。人も同じだ。たくさんの人と出会うことで、相手の良いところ悪いところ、自分自身の良いところ悪いところを知ることが出来る。それを改善しようとする気持ちも大事だ。

さらに、とりあえずやってみるという何かに出会う確立を増やすことも必要だ。水野さんは、カンボジアで自分のルーツや背景を知りたいと考えるきっかけを見つけた。どこできっかけがうまれるかはわからないし、何を見つけるのかもわからない。だからこそ、興味を持つことが大切なのだと思う。自分にしか出来ないこと、やるべきことを考え行動する。その個人の動きが団体の活動となり地域での活動となる。さらには地方と都市との役割分担が生まれる。

人はよく、自分にはできない、わからないということがあるが、自分にできることを探すのが大切なのだとわかった。そしてそれを追求し、自分にしか出来ないことを見つける。そうやって役割分担を果たして支えあっていくのが社会なのである。

江戸川大学ライフデザイン学科2年 駄賃場 桃子