今回のLD研究会では、岐阜NPOセンターの水野馨生里さんに話を聞いた。水野さんは、昔は岐阜の良さを見つけられていなかった。「岐阜ってつまんない、岐阜を誇りに思えない」そう思いながら生活していた。しかしクメール伝統織物研究所と出会い、カンボジアで織物を売って生活するおばあちゃんと出会った。「織物とはどんなものか?」と聞くと、「答えようの無いくらいかけがえのない大切なもの」と話していた。異文化の暮らしや営みを見て、伝統や文化などに興味を持ち、自分のルーツや背景を探し始めた。そして仲間と出会いG-net Tokyoを立ち上げ、東京にいながら岐阜のためにできることを考え、実行した。その後、自分にしかできないことを探すために岐阜にUターンした。
そして、水うちわと出会った。水うちわとは、岐阜の伝統的な名物で、ガンピ紙とニスでできているうちわのことだ。縦長の独特な形をしていて、水につけて仰ぐ。昔はよく長良川に水うちわをつけて仰いでいた。しかしこの水うちわも職人の経済面などから生き残りが厳しくなっている。そこで水野さんは、水うちわサロンなどをして地域の伝統を残そうと努力している。「水うちわが生き残るためには?」という問いに「すべてのものにつながりがある。一つのものを変えるには、10個20個のものを変えなくてはいけない。そのものを取り囲む全体的な生活を変える必要がある」と水野さんは、話していた。
40万都市である岐阜市には、街の真ん中を流れる長良川がある。昔から人々の生活を支えてきた川だが、最近は水質が悪化しはじめている。川がきれいでなければ水うちわをつけない。川をキレイにするためには、まず山を整理するところからはじめなければならない。キレイな長良川をいつまでも残していく努力もしている。
まだまだ水うちわは知名度がないが、実際に水うちわを見て、とてもオシャレで他のデザインも見たくなった。雑貨屋などに置いてもらい和風インテリアとして広めるのもいいと思った。水野さんは、「自分にしかできないこと、他人にしかできないことがある。都内でしかできないこと、地方でしかできないこと、主体的、活動的にうごく人、一人一人できることが違う。だから私は、自分の役割をまっとうしたい」といっていた。
何かを変えることは難しい。自分とほとんど歳がかわらない20代の女性が一つの地域を変えようとしている。自分もカンボジアのおばあちゃんや水野さんのように、かけがえのない大切なものを見つけたいと思った。
江戸川大学社会学部経営社会学科3年 橋爪 文人