滞在費を触ってみて思った事
預金してあるネットバンクから95万を下ろしてみた。
ぼってりと厚みのある札の束だ。
その重みを手にしてみて自分のやろうとしている事を改めて考えた。
学生の時から今まで、何がしかの収入を得ていたのをプッツリと切ってしまうのはやっぱり怖い。
家庭もあることだし。
少しドキドキする。
手にしたお札の重みは、僕に決断を迫っているようだ。
~本当にやってしまうのか~
そんな事を思いながら手にしたモノをしばらく眺めた。
・ ・ ・
下ろしたお金を備え付けの封筒に入れて別の銀行へ。
クレジットカードの支払い分は引き落とし口座に、
インターナショナルキャッシュカードの引き落とし分は貯蓄口座へとそれぞれ分けて預け入れた。
残った現金をバックにしまって外に出る。
ふぅ~っ
何だかとても緊張していたみたいで、手のひらにジットリと汗をかいていた。
とにかくこれで、パスポートさえジーパンの後ポケットに突っ込んでおけば後は財布と身体ひとつで今すぐにでも旅立つ事ができる。
フワフワした足取りで自宅に帰り、僕は少し興奮しながら、カミさんに滞在費を振り分けて入金してきた事を伝えた。
すると、
「まぁ中古の車を買ったと思えば気も楽よね。」
さすがだ。
僕達は特に車を必要としない所に住んでいるし、何といっても僕自身ペーパードライバーだ。
少し贅沢をして中古車を買うぐらいの出費は、どこの家庭にもまあザラにある事。
問題なのは僕の収入が途絶えることで・・・
気をとりなおして、僕は上着をはおって駅に向かった。
6年半勤めたお店とも、あと数日でお別れだ。