短期集中! 3か月英会話(10月~3月放送分)
講座を書き起こしたものをまとめています。洋楽で学ぶ英文法
11月29日放送分
Lesson 24 Comfortably Numb
最近のヒット・ソングを中心に、人気の洋楽を1曲取り上げ、英文法の視点から歌詞を読み解いていく短期集中講座「洋楽で学ぶ英文法」。
DJ:
プログレウィーク、最終日の今日取り上げるのは、ピンク・フロイド(Pink Floyd)、"Comfortably Numb"
今週の選曲テーマはプログレ、プログレッシブ・ロック。お送りしているのは、1979年にリリースされたピンク・フロイドの"Comfortably Numb"です。
このピンク・フロイド、1965年にロンドンで結成されました4人組バンドです。歌詞なんですが、禅問答のような、非常に難解なものが多く、1曲5~6分は当たり前。20分超えの曲もあるという。
タケカワさん:
当時は1曲3分というのが大体普通だったんですけどもね。雰囲気を大事にしているっていうことだったんだと思いますね。
DJ:
なるほど。今回のこの曲も、ふわふわした、ちょっと気だるい世界観が展開していますよね。
タケカワさん:
そうですよね。もうピンク・フロイドっぽいですよね。
DJ:
この曲、"Comfortably Numb"、79年発表のコンセプト・アルバム"The Wall"の中に入っています。この"The Wall"、社会の中で抑圧される個人の疎外感をテーマにした2枚組の大作だったんですね。世界中で大ヒットしまして、82年には映画化もされました。アルバム全体が架空のロックスター「ピンク」、この「ピンク」を主人公にしたストーリー仕立てで、彼がスターとして成功しながらも、どんどんどんどん孤立し、社会から断絶されていく、その様子を描いています。前衛的でロック・オペラとも言える作品なんですね。
タケカワさん:
ストーリーがあればね、もう完全にオペラですよね、もうね。
DJ:
作詞はロジャー・ウォーターズ(Roger Waters)、作曲がデヴィッド・ギルモア(David Gilmour)。この"Comfortably Numb"、心地よく何も感じられない、という意味なんですね。この「ナム」 Numb、綴りはエヌユーエムビー、ちょっと聞き慣れない言葉だと思いますが。
先生:
numb は「感覚のない」「しびれた」という意味ですね。
DJ:
My feet are getting numb. 「うわぁ、足がしびれてきたぁ」なんて、正座をした後、言いますよね。
そしてこの"Comfortably Numb"、意識が朦朧としてぐったりしてくる主人公ピンクとお医者さんとの会話調で歌が進んでいきます。医師のパート、お医者さんのパートをロジャー・ウォーターズ、主人公ピンクのパートをデヴィッド・ギルモアが歌っています。さあ、どういう物語が展開していくのか。
早速歌詞を見ていきましょう。
まずは曲の冒頭、歌い出し1行目からです。
Hello,
Is there anybody in there?
Just nod if you can hear me
Is there anyone at home?
どう?
だれかそこにいるのかい?
私の声が聞こえていたら頷いてくれるかな
家にはだれかいますか?
DJ:
これ、先生の台詞なんですね。
タケカワさん:
先生が、ぼーっとしている患者のピンクに対して話しかけているわけですよね。で、ちゃんとした反応がないから、 Is there anybody in there? って、目の前にいるのに、「もしもしー?」って言ってるところなわけですよね。で、3行目は、Just nod if you can hear me って、これはもう普通じゃないですか。もう聞こえたらちょっと首を振ってくださいよって言って、その後に、Is there anyone at home? って言ってるのはもう、「あなた、そこにいますかぁ?」っていうことなんですよねぇ。
DJ:
まさに今、患者さんと医師が向かい合って、問診が始まろうとしていますね。
タケカワさん:
いや、これは普通の歌ではあり得ないですよね。ストーリーがあるからこそ生きてくる歌詞ですよね。
先生:
そうですね。ここ、全体的にメタファーが隠されてますよね。 home というのは体で、 anyone とか anybody とかいうのは、これは要するに、意識のある、お前さんいるか?と。だから、表の意味と裏の意味、両方とも読み取らないと、歌詞の世界読み取れないかな。
タケカワさん:
なるほど。
DJ:
続いてはこちらの歌詞です。24行目からどうぞ。
O. K.
Just a little pin prick
じゃあ、いくよ
ちょっとチクッとしますよ
DJ:
これは、先生、お医者さんの台詞となりますね。 pin prick というのが非常に印象的ですね。
タケカワさん:
これはチクッとするという意味なんですね?
DJ:
はい。
タケカワさん:
注射のときにしか使わないのかしら?
DJ:
just a little pin prick 海外で病院に行って注射をすることになったら、little pin prick, just a bit って言われても、これで安心ですよね。
タケカワさん:
ですよね。なんか重い病気とかそういうこと言われてるわけじゃないんだって思えるんですよね。
DJ:
頭の片隅に置いておいてください。
さあ、そしてこの患者さんとお医者さんの会話はどこへ行くんでしょうか?
続いては34行目。患者さんである主人公ピンクの台詞となります。
I turned to look but it was gone
I cannot put my finger on it now
見ようと振り返ったのですが もういませんでした
今ではもう思い出せません
と、患者という立場の主人公ピンク、のパートを歌っているのがデヴィッド・ギルモアなんですね。さあ、記憶が曖昧にというか、影もないということですね。
タケカワさん:
この put my finger on というのが「思い出す」ということなんですね?
先生:
要するに頭の中に色々な思い出とか記憶があるわけですよね。で、どこらへんに記憶を格納していのかなと、こう指でさすらしいんですね、頭。 put ones finger on 。
タケカワさん:
それが思い出す、ということになるのね。
DJ:
指がいきなり出てきたので、なに?と思ったら、記憶の話だったんですね。
次回出てきた時は、Please put your finger on it .思い出してくださいね。
タケカワさん:
いやあ、思い出せないな、きっと。
「文法コーナー:洋楽から学ぶ英文法の世界」今日のテーマは「comeとgo」です。
DJ:
続いては文法コーナーです。
洋楽から学ぶ英文法の世界。
先生:
まずは今日の曲のこちらをお聞きください。
You are only coming through in waves
あなたが波のようにこちらにやってくるだけ
という意味ですね。
先生:
はい。ここの come という動詞ですが、ちょっと使い方にコツのいる動詞なんですね。行くという動詞 go と比較しながらご説明いたしましょう。
DJ:
come と go というと、まあ、来ると行く、でいいんじゃないですか?
先生:
はい、まあそうなんですけれども、そこに例えば、お家で夕ご飯のときに、お母さんに「夕ご飯よー」って言われたら、秀島さん、なんて答えますかね?
DJ:
今行くよー、行きますよーって言いますね。
先生:
そうですよね。ところがこれ、英語だと I''m coming. となるんですよね。
DJ:
ああ。日本語だと「行くよー」だから、つい I'm going. って言いたくなるんですが。
先生:
お母さんをこれ中心に考えますと、自分がお母さんのとこにやって「くる」わけなので、 go じゃなくて come を使うんですね。
DJ:
じゃあ、朝家を出るとき、行ってきますというときは、I'm going. でいいんですね?
先生:
そうですね。お母さんのいる場所からどこか別の場所に行く、ということなので、この場合は、動詞は go でいいんですね。
DJ:
無意識で使い分けていました、私。英語と日本語でこういう意識の違いがあるんですね。
以上、英文法コーナーでした。
というわけで、今日はピンク・フロイドの"Comfortably Numb"をお送りしてきました。難解な歌詞でしたが、物語性はありましたね。
タケカワさん:
物語性で見るとなんか、わくわくしますよね。もう絵が見えてくる、芝居をやってるのが見える感じがありますよね。
DJ:
実際、このライブ映像を見ると、この歌を歌ってるときは、お医者さん役のロジャー・ウォーターズが白衣を着て。
タケカワさん:
ああ、やっぱりね。
DJ:
歌ってるんですよね。そしてこのピンク・フロイドは、残念ながら2014年、バンドは解散していますが、ロジャー・ウォーターズは現役続行中。今年6月には25年ぶりの新作アルバムを発表しました。 "Is this the life we really want?" 『これが本当に我々が望んだ人生か?』というタイトルがついていますね。ちょっと意味深ですね。
タケカワさん:
いやぁ、かっこいいですね。
DJ:
さあ、改めて曲を聴きながらお別れとなります。

