【発表】司法試験短答式で問われている憲法判例ランキング | 憲法の流儀~実学としての憲法解釈論~

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1 来年から司法試験短答式試験の競争激化が予想!


既に前の記事で警鐘を鳴らしたとおり、来年度より、司法試験短答式試験の競争が激化することが予想されます。



短答式について、しっかりと分析しようと思い、どのような憲法判例の知識が問われているのかを、判例ごとにまとめてみました。

当初は、私自身の手控えにしようと思っていたのですが、Twitterで次のように募集をしたところ、100リツイート(RT)を超えたので、お約束通り公開することといたします。



なお、分析方法は、1肢1ポイントでカウントしています。
そのため、1つの判例について、3つの肢で問うタイプの問題の場合、3ポイントとなります。

なお、ランキング中、以前の記事である全文で読むべき憲法判例35選に掲載されている判例には、★を付してあります。

第10位 出題回数5回


第10位は、同列で3つです。出題回数は5回でした。

第10位 出題回数5回

いずれも大法廷判決であり、超有名な判決ですから、知らない人は少ないでしょう。
これらは、論文式との関係でも大切な判例になりますね。
文句なしのランクインです。

第6位 出題回数6回


第6位は、同列で4つです。出題回数は6回でした。

第6位 出題回数6回

このあたりから、超有名とはいえない判例が登場し始めます。
この中では、塩見訴訟、三井美唄炭鉱事件あたりは、あやふやな方が多いと思われます。

とはいえ、憲法を学んでいるものからすれば、いずれも基本判例です。
これらの判例が多く出題されるのは、できない人が多いのでしょうか。
それとも、読み方が少し難しいのでしょうか。

塩見訴訟は、外国人に社会権の保障はない、と暗記するのは、適切ではありません。
論理の運びをしっかりと学ぶ必要があります。

また、三井美唄炭鉱事件は、立候補の自由が憲法15条1項により保障されると明言したこと、労働組合の統制権に限界があることを認めた判決です。
この大法廷判決は、団体と内部の紛争について正面から判断した初めての判決です。
その後、国労広島地本判決を経て、超有名判決である南九州税理士会事件判決へと昇華されます。
三井美唄炭鉱事件は、その源流であるものとして、改めて重要性を再認識させられます。

第4位 出題回数7回


第4位は、同列で2つです。出題回数は7回でした。

第4位 出題回数7回

東京都管理職選考事件判決は、外国人の公務就任権についての判断を回避して、平等原則の問題とした大法廷判決です。
おそらく、外国人の公務就任権については、多数意見を形成できなかったものと推測されます。

最高裁は、公権力等行使公務員については、「国民主権の原理に基づき」、「原則として日本の国籍を有する者が」想定されており、外国人が就任することは「我が国の法体系の想定するところではない」と解釈しています。
その上で、公務員制度の構築には、地方公共団体の裁量があることを前提に、①管理職に公権力等公務員(外国人×)とそうでない公務員(外国人○)を一体的に含み、②外国人は管理職となることができないとする制度を構築することは、憲法14条1項に違反しないとしています。
しかも、「この理は、前記の特別永住者についても異なるものではない」と判断しています。

これに対しては、滝井裁判官、泉裁判官の各反対意見、藤田裁判官の補足意見、金谷裁判官、上田裁判官の各意見と、さまざまな個別意見が付されています。
なかでも、滝井裁判官の反対意見は、「管理職のの職務の内容等を考慮して一定の職への就任につき資格を制限したというのではなく,すべての管理職から一律に外国人を排除することとしていた」点には合理性がないとしました。
また、泉裁判官反対意見は、特別永住者を外国人と区別して論じています。

このように、反対意見が指摘する点について、多数意見がどのように判断したのかという点が、司法試験では問われています。
反対意見のポイントをしっかりつかむことこそが、短答式試験高得点への近道であり、論文式試験の点数アップへの近道でもあるのです。

旭川学テ事件も同様ですね。
論理の運びが丁寧ですので、判決文を全文で追ってみることを強くおすすめします。

第2位 出題回数8回


第2位も、同列で2つです。出題回数は8回でした。

第2位 出題回数8回

これらの判例は、いずれもランキング入りが文句ないでしょう。
特に、学問の自由分野は、ポポロ事件以外の判例が乏しいところです。
ポポロ事件は、旭川学テ事件と並べて読むべきです。
ポポロ事件は大学の教員について、旭川学テ事件は高校の教員について、それぞれ教授の自由について、対照的な判断をしています。
その背後には、子女の教育権との対抗という要請があるように見て取れます。

議員定数については、話題としてもホットですね。
立法裁量→平等は重要な要素(蟻川先生によればファクターではなくエレメント)→違憲状態かを確定→合理的期間論→違憲判断→事情判決の法理(行訴法31条ではない点に注意)
というフルスケールは、しっかりとおさらいしておきましょう。

第1位 出題回数9回


そして、栄えある(?)第1位は、少し意外な判決でした。

第1位 出題回数9回

正直、「え?マジ?」というのが、私の感想です。
この判決、読み始めると非常に面白いのですが、判断に直接関係のない一般論を延々と述べています。
租税に関する大法廷判決ですから、今後の事を含めて、統一的見解を示したのでしょう。
憲法84条の「租税」とは何か、「租税」に当たらない場合はいかなる場合に同条の趣旨が及ぶのかなど、しっかりと確認しておくことが大切です。
講義では飛ばされがちな統治分野ですが、最高裁の判例、特に大法廷判例はしっかりと押さえておきましょう。

大法廷の大切さ


こうしてみてみると、大法廷判決の重要性が、手に取るようにわかります。
上記の12個の判例のうち、10個は大法廷判決です。

当たり前すぎて先生方は教えてはくれないのですが、大法廷と小法廷では、判断の重みが天と地ほど差があります。

裁判所法10条1号は、憲法問題については、原則として大法廷で審理するものとされています。
そのため、小法廷の憲法判断は、「意見が前に大法廷でした」ものと同じである場合に限定されるのです。
小法廷の裁判が、大法廷判決を「参照」したり、「趣旨に徴して」と述べたりするのは、このためです。

(参考資料)裁判所法
第10条(大法廷及び小法廷の審判) 
事件を大法廷又は小法廷のいずれで取り扱うかについては、最高裁判所の定めるところによる。但し、左の場合においては、小法廷では裁判をすることができない。
1 当事者の主張に基いて、法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを判断するとき。(意見が前に大法廷でした、その法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するとの裁判と同じであるときを除く。) 
2~3 (略)

また、多数意見とは、結論も理由も一致している限度でしか記載しないと言う慣例があります。
裁判所法11条は、「各裁判官の意見」を求めています。
そのため、本来であれば、各裁判官が、それぞれ個別に意見を書くのが建前になります。
しかし、個別意見をいちいち書くのは面倒ですから、慣例として、定数の過半数の裁判官が同意した限度で、多数意見が形成されます。
ただし、過半数の一致がとれない部分は、多数意見に盛り込むことができません。
多数意見がぼやっとしてるのは、過半数が同意する限度でしか論じることができないという制約に由来しているといえるでしょう。

(参考資料)裁判所法
第11条(裁判官の意見の表示) 
裁判所には、各裁判官の意見を表示しなければならない。

短答式はプロにお任せ


膨大な短答式の問題のうち、経験のある人ならば、何が重要で、何が重要ではないかがわかります。
しかし、これらを自分で分析することは、非常に労力がかかります。
そのため、時間で経験を買うと言う方法がおすすめです。

BEXAという団体では、平成26年10月15日にインターネットクラスを開講し、短答式の講義を配信するようです。

短答式

また、憲法判例を使って旧司法試験や予備試験を解く講義も開講しております。
上記のとおり、最低ライン点をクリアするためには、従来型の答案を用いた教育では難しいところがあるように思われます。
法科大学院の講義をもう一度受講するわけにもいきませんので、この機会に判例を読み直してみませんか?
なお、講義では、私が書いた答案例もついています。

旧試験で読み解く憲法判例


これらの講義の詳細・お申込はこちら

以上、憲法判例の分析でした。

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