『裁判基準>自賠責基準』のワナ | 法律税務研究会ブログ

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交通事故に強いことを謳う法律系のHPを見ると、『裁判基準>自賠責基準』という記述が目立ちます。

しかし、この関係は常に成り立つわけではありません。

場合によっては、『裁判基準<自賠責基準』が成り立ちます。

 

これは、自賠責保険の重過失減額という制度が関係しています。

被害者にも事故の原因(過失)がある場合、裁判基準では被害者の過失に応じて過失相殺、すなわち被害者の過失分を差し引くことが行われます。

これに対し、自賠責保険の場合は被害者の過失が70%未満の場合には過失相殺が行われません。これを重過失減額といいます。

 

例えば、①治療費40万円(加害者損保が支払済み)、②事故から症状固定日までの期間180日間、③実通院日数60日、④休業なし、⑤軽度神経症状で、⑥被害者の過失30%の場合、以下のように自賠責基準の方が高額となります。

 

裁判基準で算定した損害額

1 治療費                  40万円

2 通院慰謝料                80万円(大阪地裁・軽度神経症状の場合)

3 合計 12          120万円

4 過失相殺後損害額       84万円(120万円✕(100%30%))

5 既払い金          △40万円(損保の支払った治療費)

6 被害者の受け取る金額 45  44万円(84万円-40万円)

 

自賠責基準で算定した損害額

1 治療費                  40万円

2 通院慰謝料                504000(4200✕60✕2)

3 合計 12                904000

※ 被害者の過失は30%であり、70%未満のため過失相殺は行いません。

4 既払い金                △40万円(損保の支払った治療費)

5 被害者の受け取る金額 34  504000(904000円-40万円)

 

特段の検討もせず、単に『依頼すれば金額が上がります。』という説明のみに終始する専門家には要注意です。

(内田昌史:弁護士)