vs ロック 【前編】 | ラフラフ日記

ラフラフ日記

主に音楽について書いてます。

それで「ロック」って、それじゃあ、「癒し系」と変わらないじゃないか。いや、癒し系が悪いわけじゃなくて――。ちょっと前からそんなことを感じていた。

ロックは、カッコ良いけれども、「カッコ良い」とか「気持ち良い」とかだけじゃないと思うんだよね。時に、ブザマだったり、イヤ~な気持ちにさせられたりするものだと思う。

そんなことを思ったのは、カッコ良いのはわかるけれども、これがロックなのかなぁ?なんて思うことが結構あったからだ。

ロックが好きだと言えば、ロックなミュージシャン達と一緒にやれば、ロックな曲をやれば、それでロックなのかなぁ?

スタイルとしてのロックも、ファッションとしてのロックも、記号としてのロックも、好きだけど、ロックは記号じゃない。

難しく考えてるわけじゃないよ。自分の気持ちに正直でいたいだけ。

しかし、どうして私は、こうして「ロック」というものに対して敏感に反応してしまうのだろう。誰かが何かを「ロックだ!」と言う度に、「本当にそうか?」と考えてしまう。もちろん、何をロックと思うかはその人の自由だけど、自分はどうなのかとついつい考えてしまう。

それはやっぱり、浜崎あゆみの影響だと思う。

いや、あゆの影響というより、それ以前にあった「浜崎あゆみ vs ロック」時代の影響か。

他の人はどうか知らないけれど、私の中には確かにあったんだよ、「浜崎あゆみ vs ロック」時代。

私は、昔は浜崎あゆみが嫌いだったと以前にも書いたけど、浜崎あゆみが98年にデビューしてから、人気が爆発していくころ(すぐに爆発ではなかった気がする。シングルで1位をとったのも7枚目くらいで初めてだった気がする)、ちょうど私は、洋楽中心に聴いていたのが邦楽も聴くようになっていった時期だったと思う。エレカシももちろんそうだが、ミッシェルとかブランキーとかトライセラとかグレイプバインとかくるりとか中村一義とか椎名林檎とか。特に、椎名林檎は、ものすっごいハマった。

そして、洋楽雑誌ばかり読んでいたのが、邦楽雑誌をたくさん読むようになった。そのころといったら、くるり、ナンバーガール、スーパーカーが新しいロックバンドの代表みたいな感じで語られたり、ミッシェルやブランキーやサニーデイや、また、ドラゴン・アッシュとかも出てきたり。そして、なんといっても、ロックフェスが開催されるようになったり。日本のロックシーンが熱気を帯びてどんどん盛り上がっていった時期だったように思う。
もちろん、私が知らなかっただけで、前からそういうシーンはあったし、盛り上がっていたのかも知れないけど、ロックフェスが開催されたり、それに出演するようなロックバンドがチャートを賑わしたり、あまりテレビに出なかったロックバンドがテレビに出たりと、一気にメジャーシーンに出てきたというか、そういう活発な動きは確かにあったと思う。

それと同時期に、「浜崎あゆみ」は人気を爆発させていったのだ。

そのころの私といったら、「日本のロック」に目覚めたばっかなものだから、おまけに単純なものだから、半ばロック信者のようになっていて、だからもう、「浜崎あゆみ」なんてものは、「敵」だったわけですよ。別に誰がそう言ったわけでもないのに、勝手に私の中でそんな風になっていた。

ただ、誰がそう言ったわけでもないって書いたけど、「vs 浜崎あゆみ」の空気は、ロックと呼ばれているようなシーンの中に、少なからずあった気が私はしている。それだけ、彼女の存在が大きかったということなんだけど。

例えば、そのころ私が特に夢中になっていたアーティストは椎名林檎なんだけど、彼女がこんなことを言っていた。

「自分の手を汚してない可愛い子ちゃんとかがイメージ固めされて、お金遣ってあちこちに看板出したりして、やれ何万枚だ云々とか言ってるの見て『別枠にしてくれ!』と思ったんですよね。よく友達のアーティストの子とかみんな言ってるけど。『あんたそんな事しなくたって生きていけるじゃん、こっちはそれしかないからやってるんだけど』っていう話」
(『ロッキング・オン・ジャパン(以下JAPAN)』 1999年8月号)

これを読んで私、「浜崎あゆみ」を思い浮かべちゃったからね。時期的に考えても、同じように、浜崎あゆみのことを思い浮かべた人いると思うなぁ。

もちろん、椎名林檎は誰とは言っていないし(言っていたとしても記事には書かれていないし)、特定の誰ということではないのかも知れないけど、この時期だとどうしても浜崎あゆみが浮かんでしまうというか、実際はどうであれ、そういうイメージを象徴する存在だったというか。

2000年、JAPAN の椎名林檎の記事で見出しにハッキリとこう書かれていたからね。

“改名:椎名蜜柑、活動休止騒動、VS 浜崎あゆみ!?”

椎名蜜柑! なつかしー!(笑)

だから、「vs 浜崎あゆみ」の空気は少なからずあったと思う。つまり、浜崎あゆみはロックの対極にあると、そう思っていたんだ。いや、皆が皆そう思っていたというわけじゃない。もしかしたら、そんなことを感じていたのは私だけかも知れないけど、少なくとも私はそう感じていたんだ。

そして、事件(?)は起こった。2001年4月号 JAPAN、浜崎あゆみ表紙巻頭インタビュー。

けれどこれ、個人的にはそんなに影響なかったなぁ。そりゃ、驚いたし、衝撃は受けたけど。でも別に、JAPAN=ロックではないし、どこの雑誌やメディアが浜崎あゆみをとりあげようと、私自身が浜崎あゆみに振り向かされなければ何も始まらないし。だから、JAPAN は、私にとってはそのキッカケにはならなかったということだよね。だって、何よりも、当時は読まなかったんだもん。読んでたら何か変わってたのかも知れないけど。

うわぁ、だんだんこれは何を書きたい記事だったのかわからなくなってきたけど、そんなこんなで、たまたまあゆが歌っているのをテレビで見て、心を掴まれて、今に至るわけなんだけど、そこらへんのところを書きたかったわけじゃないんだった!

私は、「浜崎あゆみ」によって、カッコ良いとか気持ち良いとかだけじゃない、ブザマでイヤ~な気持ちにさせられたよ。

【後編】につづく!(いつ書けるかわかりません…汗)