先輩がニコヤカに店に入って来る。

と、その後から若い娘達が二人ついて来た。

日本人では無い顔立ち、二人共にロングヘアーでジーンズにTシャツのラフなスタイル。

私は先輩がいた店が何なのか分かった、フィリピンパブにいたのだ。

サラリーマン時代に何度かインターナショナルパブというスタイルの店に行った事はある、フィリピン人とポーランド人が混成で営業していた。

私はパツキンが好みだったのでフィリピン人には興味を示さず、専らポーランド人ばかり指名していた。

フィリピン人は煩いというイメージがあり、いつも集団で買い物に来て騒々しかった。

なのでフィリピン人に対しては余り好みで無かった。

先輩は同伴か何かで店に寄ったのかなと私は思った。

先輩は私の処に歩み寄り言った「おい、この前は連れない素振りだったな、仕方ないから今日は俺が女の子連れて来てやった」

先輩は女の子達の源氏名を言いながら私に紹介した、娘達は20代前半位だろうかニコニコしながら私に挨拶した。

店内で少し立ち話をしたが、私は荷出し中だったので先輩に「今忙しいのでまた」と言い、商品出しに掛かった。

先輩はあれやこれや娘達と笑いながら買い物をして、帰りがけに「また来るよ、お前な~仕事仕事ばかりじゃアカンぞ、少しはリラックスしなきゃ身体に毒だぞ」と。私の肩を揺さ振ぶりながら声を掛けた。

そして数日後、また電話が鳴る、時間的には先輩だろうと察しがついた、電話に出ると案の定先輩である。

また賑やかな音楽と女の子の嬌声やカラオケ等の音が聞こえて来る、先輩は酔っているのだろうか少し羅列が回らない。

「おい〇〇~今日は来るか~、いい娘が揃ってるぞ~、みんなピチピチだぞ~、俺は今日はラストまでだ~待ってからな~~」と言うと、電話を切ってしまった。

行く気は毛頭無いので、しょんねえ酔っぱらいだなと思いつつ仕事に戻った。

そしてまたまた数日後に先輩が店に、また来たかと思ったら後ろには日本人の女性がいた。

(先輩は離婚していたので、彼女かなと思った)

私は先輩に「新しい彼女ですか」と聞くと、先輩は「バカヤロ~彼女じゃね~よ、店のチーママだよ」と言って、その女性を私に紹介した。

彼女はフィリピン人だったが、傍目はどう見ても日本人しか見えない。

そして流暢な日本語を話した、「はじめまして〇〇さん、私はニコルといいます、いつも三〇さんから貴方の事は聞いてます、また宜しければお店に来て下さいね」

エレガントなワンピースに身を包み、身のこなしもスマートで、フィリピン人らしからぬ雰囲気を持っていた。

ニコルさんとの出会いが、また今後の人生を大きく変えていくのだったのだが。

先輩はニコルさんにスナック菓子を山ほど買い与え、「〇〇~また来るぞ~、仕事ばっかしてんじゃね~ぞ、リラックス~リラックス~」と言いつつ、右手を高々と挙げながら帰って行った。

そして数日後に、先輩は女の子二人を引き連れ、意気揚々と来た。