279話では、青道の打者達が成宮の思い通りにさせないため、成宮はだんだんムキになります。自分の思い通りにならないとセルフコントロールが効かなくなるという成宮の弱点が、球場の観客の目にもあらわになっていきます。

 

成宮には、自分に厳しいことを言ってくれる仲間がチームにはいません。周囲には自分に付き従うイエスマンばかり。ぶつかり合える相手がいなくて、ひとりぼっち。

自分に厳しいことが言える御幸には、どうしても同じチームに入って欲しかっただろうなあぐすん

 

 

青道の1番バッター倉持は、稲実ピッチャー成宮にカウント2-2に追い込まれても粘って、ファール。

成宮は思う「去年よりパワーアップしたじゃん、しつこさだけは」。

打席2つ目のチェンジアップ。倉持はバットに執念で当てファール。

観客はそんな倉持を見て「ついていけてるぞ、あの成宮に」「左に専念して本当バッティング良くなった」拍手

成宮には観客の声が聞こえているのか、「いやいや、前に飛んでねーし」。

観客が倉持を褒めているのが、成宮にはひじょーに面白くない。そのうえ、自慢のチェンジアップを、さっきから青道の打者にポコポコ当てられるようになっている。まったく自分の思い通りになってないムキー

 

ここから、多田野からのサインに、成宮が首を振り始めた。「ヤダ」「ヤダヤダ」。自分が何を投げるかだけは、思い通りにしたいんでしょう。--- こういうのは、観客にも丸見え。あーあ。

倉持は、打撃の瞬時の判断を、「身体の感覚」に任せることにした。頭であれこれ考えるより、体に叩きこまれた反射に頼った方が、素早く対応できる。倉持、野生だー!

 

 

成宮は王様。対等だと思われるのが許せない。

 

王様=圧倒的に強い投手であること。それだけを、成宮は周囲から求められている。対等な相手が出てきたら、自分の存在意義が揺らいでしまう。驚き

 

稲実選手ピラミッドの頂点で1人ぼっちの成宮。

もし御幸が同じチームにいたら、喧嘩🤜🤛が酷かったかもしれないけど、孤独にはならなかっただろう。

 

御幸なら成宮と実力が拮抗してるし、並外れて気が強いから、成宮に対して強く出られるはず。御幸は策士だし。

 

では、一方の御幸にしたら、成宮はどうなんでしょう。たまに会うならいい野球友達、いいライバルだけど、同じチームで毎日面倒見るのは、面倒くさいかなー。むしろ精神が安定している結城哲也や滝川クリスのいる青道で、彼らから学ぶことにエネルギーを注いだ方がいい。

 

御幸は成宮の野球能力以外のどこに魅力を感じて友人になったのか?

想像するに、成宮のバカ率直さではないかな。感情をストレートにぶつけてくるところ。御幸は母親がいなくて苦労して育ったのか、素直じゃないし、自分の心の内をなかなか見せようとしない。反対の性格で、互いに、自分にないものを相手が持ってる。

 

あーあ。

成宮はフォアボール出して、ムキームキー。顔が笑える。私は成宮のこういうところが面白くて好きなんだピンクハート

感情豊かというか、垂れ流しで、人間くさい。
 

監督は冷たーい態度。怒ってる。ベンチが吹雪。

監督も、成宮には「ムキにならない」よう、日ごろ厳しく指導しているんだろう。成宮は監督が「優しくない」と言っていたし。でもそう簡単には直らない。それは、成宮の元からの性格だけでなく、彼の存在意義も関与してると思う。

 

成宮は、常に勝てる投手であることを周囲から求められている。--->野球身分が誰よりも上の「キング」であること。それが唯一の存在意義。誰からもそれ以外のことを求められていない。チームの選手からも、監督からも、学校やOB・同窓会からも。ピラミッドの頂点で一人ぼっちでプレッシャーに耐えている。だからこそ、対等だなんて絶対許せない。--->そりゃ、ムキになるわな。

 

倉持によって、成宮の存在意義が揺るがされ、ヤバくなって、ムキ―に。

 

ムキになって自己抑制ができなくなるのが、成宮の、そして稲実の弱点

 

 

 

倉持の出塁で、観客席の倉持ママは、息子が青道入学後に初めて帰省した時のことを思い出した。

チームメートの話を、嬉しそうに話し続ける。

青道でいい人たちと野球ができて、とってもハッピーなんだ。ママもおじいちゃんも嬉しいだろうね。

 

 

 

次のバッター小湊春市。

春市と稲実バッテリーとの頭脳戦になります。

 

片岡監督が出したサインは「意志で動け」。カッコいい!春市と倉持の判断力を信頼しているんだ。

 

春市は、俊足の倉持が一塁にいるので、走る時間を与えてしまう遅い球は投げないと、読んだ。

でも稲実バッテリーは、その読みを見破り、初球はスローなチェンジアップ。したたか。

 

思い通りになり嬉しい成宮。

左投げピッチャーの成宮から一塁は丸見え。盗塁は難しい。

 

でも倉持は覚悟を決めた。次は絶対盗塁してやる。

春市は倉持を見て、次の投球で盗塁を試みることを察知した。

 

 

春市は自分にできる策を練ります。こうやって頭を使う時間があるのが、野球の面白いところ。

身体で劣っていても、頭とスキルでカバーするのが春市。

 

倉持が走り出したかどうかを視界の端っこで感知しながら、成宮の投げるボールを視界の真ん中で見る。甘い球だったら打ち、そうでなければ打たない --- という作戦を短時間に組み立てた。

春市、なんつ〜高度な

 

 

 

春市、「ビタ」と、打つのをやめた。

一方、多田野は、稲実の俊足カルロスと二塁でランナーを刺す練習を積んでいたので、刺せると信じて二塁へ送球したが・・・。

 

盗塁成功。倉持の足が勝った。

 

春市は、倉持が走り出したのが見えたから、打つのをやめた。甘い球ではなかったので、下手に打って倉持もアウトになるリスクを避けたのだろう。

こんなこと、頭で分かっていても、なかなかできることではない --- と観客席の青道OBは春市をほめた100点

 

春市が成宮を打てるのかは、続く280話で。

 

 

青道がだんだん勢い付いてますね。

チームの勢いって、高校野球では大事なんですね。現実の高校野球の地区予選を見て、そう思いました。勢いが付くと大量に点が入って5点くらい、あっという間にひっくり返ってしまう。

 

青道の片岡監督が精神面も重視しているの、納得。