・朝鮮人の遺骨が60余年ぶりに返還 ~その背景に存在する事実を読み取ることの重要さ~ | アジアの真実

・朝鮮人の遺骨が60余年ぶりに返還 ~その背景に存在する事実を読み取ることの重要さ~

韓国の遺族50人招き追悼式 旧軍人・軍属の遺骨返還:朝日

 旧日本軍の軍人・軍属として徴用され、戦死・戦病死した朝鮮半島出身者の遺骨101人分の韓国返還に合わせ、遺族を招いての政府主催の追悼式が22日、遺骨を保管してきた東京都目黒区の祐天寺であった。こうした式典開催は初めてで、まとまった数の遺骨返還も76年の22柱以来。遺骨は23日、60余年ぶりに故郷へ戻る。

 式には韓国から遺族50人と政府・強制動員被害真相糾明委員会の全基浩委員長が、日本側は厚生労働、外務の副大臣が参列した。

 12歳上の兄正逢さんを失った遺族代表、金慶逢(キム・キョンボン)さん(71)は「はな垂れ小僧、いたずら小僧の慶逢は、父さん母さんより白い頭になって、やっと兄さんに対面することができました」と追悼の言葉を述べた。

 正逢さんが満州に出征したのは44年9月。死亡の知らせは来ず、家族で待ち続けた。祖母は新聞を毎日積み上げ、「この高さになったら帰ってくる」と言い聞かせていたという。

 06年初め、同委員会を通じて、日本政府が保管する「陸軍戦時名簿」に戦病死が記録され、遺骨が祐天寺にあることが伝えられた。45年3月に転戦先の中国で狭心症で死亡していた。「兄貴が何のために死んだのかと考えると悔しい。こんなにも長い間、供養してやれなかった自分が情けない」。兄の戦争を終わらせてやれるのが慰めと思っているという。

 厚労省によると、朝鮮半島出身の軍人・軍属の死者は約2万2000人。48年以降、日本政府から約8800人分の遺骨が返されたが、遺族や縁故者が確認できないなどとして、同寺に1135柱が預けられたままになっていた。05年の日韓首脳会談で小泉首相(当時)が遺骨返還推進を約束し、作業を進めていた。


日本強制動員64年ぶり 遺骨101柱が帰郷:中央日報
「1944年のある夏の日、 人生の花が咲き始めた20歳の兄は当時9歳だった私に‘すぐに帰ってくる’と言いながら行ってしまった。 あれから64年。 その間、兄は骨になって他国の地で母・父・弟の顔を浮い浮かべながら長い間眠っていた…これからは故郷で安らかに眠ってほしい」。

22日午後1時、東京・目黒区にある祐天寺。 遺族代表の金慶逢(キム・キョンボン)さん(73)が哀痛の声で追悼の辞を述べた。(中略)

このように植民地時代に強制動員され、アジア・太平洋各地で死亡し、日本に埋められている韓国人犠牲者の遺骨が、初めて母国に戻ってくる。 遺骨は23日に遺族に抱かれて帰国した後、忠清北道天安‘望郷の丘’に安置される。(中略)

真相調査委員会によると、犠牲者らは1935-45年に集中的に日本の軍人・軍属となり、アジア・太平洋各地に配置された。 当時犠牲になった韓国人軍人・軍属は日本政府の集計だけで2万2000人にのぼる。

犠牲者らは日本本土や中国・ミャンマー・インドネシア・パプアニューギニア・フィリピンをはじめ、太平洋の名前も知らない島で、銃に撃たれたり病気にかかったりして苦しみながら死亡した。




 こういう遺骨の帰国事業を悪く言うつもりはありません。歓迎されるべき事業だと思います。どんな民族でも生まれた故郷に眠れるのが本望というものでしょう。

 しかしながら、この朝日新聞と中央日報の記事は、どう見ても、「日本軍に強制的に連れて行かれた哀れな朝鮮人達がやっと故郷に戻れた」という書き方になっています。韓国のマスコミである中央日報は論外としても、朝日新聞はさすがに最近になって、「強制連行」という捏造語は使わなくなっていますが、そのニュアンスは変わっていません。

 当時日本の一部であった朝鮮半島には、1938年から朝鮮半島で志願制が始まりましたが、徴兵制は終戦間際まで敷かれていませんでした。朝鮮半島にも国民徴用令が及んだのは1944年9月からのことです。つまり、日本軍として働いた朝鮮人の大多数は自らの意志で志願した者なのです。記事中の人物も1944年9月に満州へ遠征したということですから、日本軍に所属したのはそれ以前のことでしょう。おそらくこの人物も自らの意志で志願したと思われます。

 しかし、そのような事実を知ることなくこれらの記事を読む人はどう思うでしょうか。強制的に日本軍に組み込まれ、死んでいった朝鮮人達への哀れみ?それとも日本軍への憎悪?今ごろになって遺骨返還をした現日本政府への怒り?


 強制動員という言葉を使ってしまっている中央日報は論外としても、朝日の記事はうまく強制連行などの言葉を避けている上、嘘は書かれていません。しかしながら、その背景に存在する事実を、記事を読む側が持っているかどうかで、読み取れる印象や内容が大きく違ってくるという良い例だと思います。


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参考書籍:
「在日」論の嘘―贖罪の呪縛を解く
浅川 晃広
4569649688


在日・強制連行の神話
鄭 大均
4166603841