ペットボトルの約9割は飲料用容器に利用されており、他には食用油・調味料・化粧品などがあります。

 飲料用容器に利用されているペットボトルでは、製造段階からリサイクルし易いように業界団体が自主的に設定した厳しい規格や分別回収と再利用が制度化され飲料用容器利用のペットボトルリサイクル率は欧米に比べ、日本は世界最高水準を達成していることが、当ブログで先月掲載の『ペットボトル使用状況は』で紹介されています。

 一方、ドレッシングや食用油などの商品に使われるペットボトルは、油が付着して再生した素材の品質に影響を与える懸念があり、燃えるゴミなどとして分別している自治体も多く、リサイクルの仕組みが確立されていません。

 

 

 大手食品メーカーの「キユーピー」と「日清オイリオグループ」は本年5月23日にドレッシングや食用油のペットボトル資源の再利用に向けた技術的な検証を始めると発表しました。

 

 これに該当するボトルは両社合わせて年間でおよそ5,000トン出荷しており、両社は、リサイクルの業者のもとで油の成分が落ちるように洗浄したあと、粉砕や加熱などを行って素材に戻し再び資源としてボトルなどに利用できるか、技術面での検証を次のスキームで進めるとのことです。

・ 再利用に向けた衛生面や安全性などを検証するため、千葉市内のイオン系のスーパー8店舗に専用ボックスを置き、両社のドレッシングなど113商品の容器を本年5月29日~11月末まで回収する。

・ リサイクル業者などと協力し、使用済みボトルを粉砕して洗浄した樹脂を使ってボトルを試作する。

・ 油分を取り除く技術や、食品の入れ物としての品質を維持できるかなどを確かめる。

・ 検証には数トンのボトルを確保する必要があり、大手2社が協業する。

・ 検証の結果は2025年中にまとめる方針。再利用が可能と判断すれば、資源として回収する対象に追加するように政府に促すことも検討する。

 

【終わりに】

使用済みの容器などの再生に向けて、洗剤の詰め替えパックで花王とライオンが連携するなど、ライバルメーカーで協力する動きが広がっています。
 この事例もライバルメーカーの連携であり、油を長年取り扱っている2社なので、油をどう捉えていくかという評価系を考える上で、この協業に価値があり、従来、リサイクルできなかった「油」のペットボトルが再利用される日が来るかもしれないとの期待を抱かせます。

                            by 海士人