客間のベッドに横になり、まだ熱い自分の手をじっと見つめる。危なくて見ていられなかった、というのは言い訳で、手をつないでいれば彼女は僕から絶対に離れない、そう思ったからだった。あまりにも幼稚で、心と体がまるで別々に存在しているようだった。彼女の手は想像以上に小さくて弱々しい。力加減を知らない僕は思い切り繋ぎすぎていたかもしれない。

食事中、急に目を合わさくなった彼女にイライラしていた。思い通りにならない自分の足のような、もどかしい痛み。
 

「僕といるの嫌ですか…?だから慣れないお酒を?」

「そういうのじゃなくて…」

「じゃあ、僕のこと意識してるとか?」

「意識しないわけにはいかないでしょう…」

「意識ってそういうのじゃなくて…。僕に好意がある、とか」

「あなたを目の前にして、好意を持たない人がどこにいるんですか」

 

中学生のような僕の質問に、彼女は冷静に言葉を返した。羽生結弦はこんなんじゃない。記者からのどんな質問にも、"それらしく"返答できていた。なのになぜ、彼女の前だとこんなに幼稚で、馬鹿になってしまうのか。

収まっていたはずの足の痛みは再び僕の中でうずき始め、薬を飲もうとリビングに向かった。

 

冷蔵庫から水を取り出し、薬を飲みながら彼女の姿を探した。大きくあけられたリビングの窓から強い風が入り、その力で彼女たちの寝室のドアが開いた。視線をそちらに向けると、ベッドに横たわる彼女の姿が見える。

 

「大丈夫ですか…?」

 

ドアを軽くノックしながら声をかけたけど、深く眠りについているようだった。ここから先は入ってはいけない、そう思いながらも僕の足は勝手に中に進んでいた。

起こさないようにそっとベッドサイドに座り、彼女の寝顔を覗き込む。恋だとか愛だとか、そういうものは幻想にすぎないと思っていたし、ファンからの愛情があれば、それでいいと思っていた。

それでもどこかで僕は、あの時感じた運命みたいなものを信じていたし、でもそんなものはあっさりと消えてしまうんだと目の前にした今、僕は彼女に憎しみにも似た感情を抱き始めている。

 

彼女の頬に触れ、髪の毛に触れ、僕は初めて、自分の中のドロドロとした感情に気付く。

 

神様は、つくづく意地悪だ。どんなにほしがっても手に入らないものはあって、それは僕が手を伸ばした時に、ほしかったものに気付いた瞬間に"それはもう、お前のものじゃない"と言われているようだった。

 

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26.5(テンゴ)です。

この部分は彼女サイドでは語られない部分なので、絶対的に入れたかったのです…。

 

私のお話は、結構…というか、闇深めなんですが…皆さん大丈夫ですかね…-^^;;

 


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正直、個人的に羽生結弦限定で好きすぎるので、周りのシガラミ、とか羽生さんの周り、とかあんまり目がいかないんですが…

唯一ずっと気になっていた、カメラマンの田中宣明さんの講座のチケットをお譲りいただけることになり、本日光が丘のIMAホールまで行ってきました!

(チケット、本当にありがとうございます爆笑

雑誌編集者として長年仕事をしていたこともあり、カメラマンの方のお話を聞くのが大好きで。


内容は記載NGとのことなので書きませんが、すごく気になっていたある方との関係性も腑に落ち、彼はやはり死ぬほど負けず嫌いやなあ、と(笑)


視線を独り占めしたい、とかそんなんじゃなくて、羽生結弦は

(圧倒的な存在でいたい)

んだなあ、と。

誰に対しても。



十分唯一無二なのに。

まだ足りんのか、お主は(笑)

所で私、初めて知ったのですが、ゆづさん、右目の端の方にホクロあるんですねラブ


見える写真がほぼ無いので、全く知りませんでした(笑)

しかし、羨ましい、田中さん!(笑)

追記→



田中さんより、いいね、いただきました😭😭
フィギュアスケート界、優しい😭😭😭
ありがとうございます😊

本当に楽しいお時間でした!
学ぶことは、沢山ありましたよ🤣🤣






夏に取り忘れたベランダから響く風鈴の音に交じって、あの人と彼の笑い声が聞こえる。いつの間に、そんなに打ち解けたんだろうか。昼間飲んだワインがまだ、胃の中に残っていて吐き気がする。

そのまま横になったはずなのに、いつの間にか毛布が体を包み込んでいた。頭は働かないのに彼の手の感触だけははっきりと覚えている。細くて長い指はとても滑らかで、でも骨ばって大きな手は男性のものだった。

重たい体を引きずるようにベッドから起き上がり、二人の声が聞こえるほうに向かう。話している姿はまるで親子か兄弟のようだった。

わずか一日、あの人の中で


「珍しい。結構飲んだんだって?」
二人で並んでキッチンに立っている。お気に入りのエプロンがよく似合っている。
「え…?あ…うん…ごめんなさい…ご飯」

「いいよ、昔はよく作ってたし」 

出会ってまだ一日なのに、彼らはウマが合うのか仲良く笑いあっている。

あの人がそういう空気作りが上手いのか、あるいは彼が合わせるのが上手いのか、どちらにせよ、そこには乾いた笑顔の羽生結弦は存在していなかった。


でも様子がおかしいと感じたのは、食後に走り込みをしてくると出て行った時だった。いくらアスリートでも、いやアスリートだからこそ、食後すぐに走り込みをするなんてこと、考えるんだろうか。

疑問に思い、彼について外に出た。



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