著:障害者の生と性の研究会

発行者:田村 能史

1994年8月 初版発行

2000年7月 第8刷発行

東大阪市図書館譲渡会にて入手

 

読了しました。

女性の性の部分からフェミニズムに関心を持ち、

性的な問題に関してのフェミニスト批評に

一番関心を寄せてきました。

また同時にフェミニストアプローチだけでない

広くセクシュアリティの分野にも興味があります。

本書は語られることが少ない、

身体障碍者のセクシュアリティについての本です。

それゆえこの本の読書を通して、

セクシュアリティの知見を広めれました。

少し前の時代に書かれた為、現在よりも

より封建的な状況であった印象を受けます。

深刻なテーマですが、

インテビューや実際のケース紹介など

生の当事者の声が語られ、読みやすかったです。

 

男性の障碍者が性風俗に行く体験談や

その是非についての話では

男性の童貞コンプレックスや性欲の強さを垣間見ました。

介護されることで世話されることが当然になり

男性の障碍者の方が恋愛相手に母親役を求めてしまい

上手くいかなくなるケースが多いなと思いました。

また一方的な介護されるーする人間関係しか

体験していないことで、

恋愛関係を構築することが出来ない、

具体的には距離の縮め方や

相手の心理への理解の不足が感じられました。

 

フェミニストとしては女性の身体障碍者の問題の方が

より少なく語られている点、

女性の性の問題は妊娠や生理に特化しがちで

女性の性的満足について焦点がさほど置かれていない点を

残念に思いました。

産婦人科医の赤松彰子さんとの対談で

赤松さんは性の情報が男性視点で作られているものが

一般的であることの問題性に言及されています(p.116)。

インターネットや世論の変化により、現在では女性が発信する

女性の性情報も増えてはきたとはいえ

この問題は未だ存在していると思います。

 

デンマークの障碍者の性問題に取り組まれている

エーバル・クロー氏のインタビューでは

障碍者だけでなく誰にでも当てはまる

示唆に富んだ恋愛と性のアドバイスがありました。

以下引用

「まず自分の体を好きになること。自分の体を愛さなければ、

他の人に自分を愛してもらうことはできません(p.187)。

性はいわば無限の想像の世界。

つまり物理的なものに制限されずに、

いろいろなことを頭の中で考えることができる分野なんです。

二人の間に共通の価値観を見つけ出して、

想像力をたくましくすることで、

健常者と同じような満足感を得られることでしょう(p.189-190)」