側近と使用人が語る

大英帝国の象徴の真実

 

SERVING VICTORIA

Life in the Royal Household

 

著:ケイト・ハバード(kate Hubbard)

訳:橋本 光彦

 

Originally published in London, 2012

2014年11月 発行

株式会社原書房

 

東大阪市四条図書館にて貸出

 

ようやく読了しました。

BBCのドラマ、クイーン・ヴィクトリアのシーズン2が

今年放送されてましたね。

もちろん観ていたのですが、そのドラマを見終わってから

読み始めたこともあり、ドラマに出てきたレーヅェンなどの

話をより具体的に知れて面白かったです。

 

本書はタイトルが示す通り、

女王ヴィクトリアが即位してから崩御するまで

彼女に仕えた使用人や女官たちの話です。

彼らの日記や手紙を主な参考文献にしています。

在位期間を網羅しながらも、時系列で話を進めるのではなく、

主に6人の人物にスポットライトを当てつつ、

宮廷の様子を描いています。

有名なジョン・ブラウンやムンシーの話も勿論あります。

19世紀には女性が近親者の葬儀に出席することは

精神的負担が大きすぎると見なされた為、一般的でなく

ヴィクトリア女王がアルバート殿下の葬儀にすら

参加していないことには驚きました(p.249)。

 

本書で中心となる6人は3人の女官、

・サラ・リトルトン

・シャーロット・カニング

・メアリー・ポンソンビー

・メアリーの夫であり秘書官である

  ヘンリー・ポンソンビー

・侍医ジェームズ・リード

・ウィンザーの首席司祭を務めた

  ランドール・デイヴィッドソン

 

知的で皮肉やなシャーロットも魅力的ですが

私が一番関心を持ったのは

メアリー・ポンソンビーです。

メアリーは旧姓をバルティールといい、

情熱的で率直な性格でした(p.201)。

ホイッグ党の貴族の家に生まれ、

母方の祖父はホイッグ党で首相を務めたグレイ卿(p.203)。

自由思想の持ち主で、W.T.ステッドが編集していた

ペルメル・ガゼットの愛読者でした(p.212)。

若い時はオックスフォード運動に傾倒していましたが、

次第にスチュアート・ミルやジョージ・エリオットの影響で

宗教に疑念を抱き、自由思想を抱きます(p.204)。

 

レズビアンの兆候もあり、友人の作曲家エセル・スマイスに

求婚を受けた理由は愛情ではなく、

相手の人格的素晴らしさで自分をより高める為であり、

愛情は結婚後に湧いてきたと話しています(p.235)。

作家ヴァーノン・リーとも親しくしており、

結婚して女官を引退した後はリベラル派の知識人として

色々な人物と交流していました。

 

何より個人的に注目したのは

彼女が女性の権利獲得運動を支持し、

ケンブリッジ大学最初の女子を受け入れた

ガートンカレッジを創立した委員会の

メンバーの一員であったことです(p.212)。

ヴィクトリア朝女性史を学ぶ立場として

この本で彼女について知れたのが

一番の収穫です。

もっとメアリー・ポンソンビーについて

調べてみようと思います。