商品の魅力不足が需要減少の理由じゃない | ラヴログ

商品の魅力不足が需要減少の理由じゃない

【送料無料】「大停滞」脱却の経済学

【送料無料】「大停滞」脱却の経済学
価格:1,680円(税込、送料別)


【内容情報】(「BOOK」データベースより)
すべての原因は金融政策の誤りにある。間違いだらけの日本再生論を排し、徹底した実証分析による正しい処方箋を提示する。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 一九九〇年代以降の大停滞を検証する/第2章 大停滞は、なぜ起こり、なぜ続いているのか/第3章 実質賃金の高止まりは、なぜ不況を長期化させるのか/第4章 ほどけない日本のシステムがもたらした停滞/第5章 なぜアメリカの大恐慌は終わったのか/第6章 なぜデフレから脱却しないのか

【著者情報】(「BOOK」データベースより)
原田泰(ハラダユタカ)
1950年生まれ。東京大学卒業。経済企画庁国民生活調査課長、同海外調査課長、財務省財務総合政策研究所次長などを経て、現在、内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)




読みました。

アフィしてますが、売り切れ商品ばかりなので当然ポイントにはなりません。それなのに、なぜ貼るかといえば単に本の紹介に便利だからという・・・。

原田氏に傾倒してると前回書きました。
過去に三橋さんに傾倒していたとこともありましたが、経済学というツールをかじってみるとその間違い(ストックからフロー、最近では自由貿易でデフレなどがあります)などに気がつき、いろいろな考え方に触れることと、経済学というツールで測られることによって考え方が変わりました。その人の主張なら、解釈を変えてでも都合よくに受け取るというのは違うと思うのです。

さて、この本で印象的だったのは、魅力的商品がないから需要が無いという通説を否定したところ。

P44
 

魅力的な新商品が生まれれば需要が高まる、という議論は信じがたい。仮に魅力的な新製品が生まれたとしても、その製品を買うためには、これまでの魅力的でない旧製品への需用を減らす必要がある。携帯電話は魅力的な新製品であるが、多くの若者が携帯電話の費用のために、それ以外の費用を減らしている。ゲームソフトや音楽CDへの支出が携帯電話によって減少しているといわれている。



この意見が的を射ていると思うのは、需要が無いのは欲しいものがないからと主張する人が、後に続けるこの言葉などからもわかります。「欲しいと思えるものがあれば、貯金して(節約して)でも買うだろう」これでなぜ的を射ていないことがわかるかといえば、その節約や貯金した分は消費されないからで、トータルで見れば消費は変化しないか、減少してしまうからです。

原田氏は、消費が伸びないのは所得と雇用がないからだとします。自分も所得があれば欲しいものがたくさんあります。

また、地方税・財政制度をゆがめたのが戦後アメリカ占領軍が採用した、コロンビア大学の財政学者シャウプ博士による、地方税制にあるとします。
P207

 しかし、地方が他の地方の税を分配され、それを本当に有効に使うことができるものだろうか。日本における公共支出の効率低下も、シャウプの地方税・財政制度によって、税の負担と受益の関係が乖離していることに根本的な原因があるのでないだろうか



現行憲法をアメリカの押し付けという人がいても、この地方税・財政制度を押しつけという日本人を知らないそうです。
確かに、地方分権などにより、その地域ごとの裁量で税や財政を使うことができれば、効率的になると自分も考えます。

というのも、デフレで利益を得ることにも繋がる(デフレ脱却ができない)からです。

市場原理に否定的な見方が多いと思いますが、かといって政府が効率的なことができるわけではありません。

P220

 では、だれがデフレで利益を得るかといえば、規制、制度、慣行によって、その所得が固定的な人びとである。ほかの人びとの生産物の価格やその所得が自由競争のなかで低下するとき、所得が固定的な人びとは利益を得ることができる。そのような人びととはだれかといえば、公務員、規制産業(銀行、電力、新聞、放送、医療、大学など)で働く人びと、年金生活者などである。



P221

 さすがに経済官庁の公務員は、九〇年代が低成長であることを認識していたと思うが、それ以外の公務員は、九〇年代が低成長であることを、少なくともその初期には認識できなかったにちがいない。公務員の所得は民間の所得に送れて上昇する。現実の物価は統計数値以上に下落しているので、実質所得は増大している。つまり、所得が固定的な人びとの生活水準は上昇していたのである。


これに正社員も含まれるでしょう。
九〇年代、自分も不況を(バブル崩壊後、九〇年代後半まで)実感できていませんでした。
デフレが怖いのは、給与を固定的に得ている、失業率が5パーセントとして残る95パーセントの就業者にはなかなかそれが伝わりにくいということではないでしょうか。

ですが、よくいわれるいざなみ景気時の平均給与低下(格差は高齢者によるものというのが実証的な見解らしい)がよろしくないというのは、一面でしか見ていないと思います。
それは失業率の改善です。

職を失ってまで高い給与を求めるのは違うと考えるからです。