融解後の胚盤胞のグレードを再評価し、それが出生率と関連があるのか調べた論文を読んだので紹介します
この研究では、4613名の単一正倍数胚盤胞の移植、7750周期を対象としました。
また、
グループ1:凍結前、融解後の胚盤胞のグレードが同じ
グループ2:融解後の胚盤胞が凍結前と比較してグレードが高い
グループ3:融解後の胚盤胞が凍結前と比較してグレードが低い
グループ4:融解後に再拡張せずグレードの再評価ができなかった
以上、4群を比較検討しました。
年齢、AMHについて、グループ間で有意差が認められました。
また、凍結前の評価では、グループ1と2、グループ1と4で有意差が認められました。
単変量解析(一つの条件下での解析)の結果化学妊娠率、臨床妊娠率、出生率ともに各グループ間で有意差が認められました。また、年齢、AMHなどの条件を含めた多変量解析(複数の条件を含めた解析)の結果、グループ3または4の場合、グループ1と比較して出生率が有意に低いことがわかりました
グループ1と2の比較では、グループ2のほうが移植当たりの臨床妊娠率が高かったことがわかりました
グループ4は1と比較して、化学妊娠率と移植当たりの妊娠率が有意に低かったことがわかりました。しかし、流産率についてはどのグループ間も有意差はありませんでした。
研究結果より、融解後のグレードの再評価は、移植の結果をある程度予測できる可能性があることがわかりました
しかし、有意差があるとはいえ、融解後にグレードが下がってしまった、または胚盤胞が収縮してグレードをつけられなかった胚盤胞に関しても、流産率は同じで妊娠の可能性も十分あることから、移植を中止する根拠にはなりません。
移植後~妊娠判定日までの気持ちの整理をするための情報として役立つのではないかと考えられます
また、融解後の胚盤胞の拡張度についての当院の報告もご参考ください。