習慣性流産を予測するために、体型指数(ABSI)、体の丸み指数(BRI)及びウエスト・ヒップ比(WtHR)は、ボディマス指数(BMI)よりも優位性があるか検討している論文を読みましたので、ご紹介します。

 

習慣性流産は、妊娠20週以前の3回以上の連続妊娠の喪失と定義されています。

原因として、免疫学的因子、遺伝因子、内分泌因子、解剖学的因子、環境因子、感染症などがありますが、これら以外の特定できない約50%の原因は、不測の習慣性流産(URPL)と名づけられました。

 

URPLと肥満及び脂肪分布の診断を示すのに有効な指標 としてBMI以外 との関係は、過去に検討されていません。

この論文は、URPLにおけるABSI、BRI及びWtHRとURPLとの関係、BMIに対するそれらの優位性及び卵巣予備能とその関係を調査することを目的としています。

 

【各々の値】

・BMI: 世界保健機関はBMIが25以上を過体重、30以上を肥満と定義。

 体重(kg) ÷ (身長)²

   

・BRI: 体重、身長に加えて、ウエストサイズを計算式に入れた指数人体を横断面で楕円として、身体の丸みの度合いを1から16までと定義し、

    1に近い値は、楕円形の身体が細くて狭く、16に近い値は、楕円形の身体が丸くて広いことを示します。

    

     

 

 胴囲 (WC) とウエスト対ヒップ比 (WtHR) は心臓代謝疾患を示すBMIより優れていることが分かっている。これに基づいた指数が以下の2つである。

 

・ABSI: 体重、身長に加えて腹囲を計算式に入れた指数

     日本ではウエスト周囲径が男性85cm以上、女性90cm以上が内臓脂肪型肥満の目安とされています。

 

     

 

・WtHR: ウエスト周囲径をヒップ周囲径で割った値

     この値が大きい場合には腰にくびれがなく、欧米では男性1.0以上、女性0.9以上を目安として腹部に脂肪が蓄積しているいわゆる内

     臓脂肪型肥満とされます。

 

2016年1月から2020年12月の期間にUPRLを申請した20歳から40歳の138人の患者を対象としました。

対象群は、流産歴がなく、一回以上の出産歴のある20から40歳の患者139人です。

 

URPL群と対象群を比較した結果、BMIでは、有意差は認められませんでした。

BRI、ABSI、およびWtHRの値は、2群間に有意差を認め、URPL群の方が有意に高いという結果になりました。

 

AMH≦1ng/mlとAMH>1 ng/mlを比較した結果、AMH≦1 ng/mlの患者数はURPL群の方が多いという結果になりました。

また、卵巣予備能低下マーカーでは、血清FSH値が11以上及び血清E 2値が60以上でURPL群と対照群との間に有意差は認められませんでした。

カットオフ値が4.37以上のBRIは、URPLリスクを2.26倍増加させることが分かりました。

また、カットオフ値が0.079以上の ABSIは、URPLリスクを3.59倍増加、カットオフ値が0.81以上のWtHRは、URPLリスクを2.9倍増加させることが分かりました。

 

ROC分析を行った結果、BRI、ABSI及びWtHRにはURPLのカットオフ値があることがわかりましたが、BMIにはカットオフ値がないということがわかりました。

BRI、ABSI及びWtHRのカットオフ値を超える領域では、AMH 1 ng/ml以下の患者数が多く、統計学的に有意という結果が得られましたが、FSHが11 U/L以上、血清E 2が60 nmol/L以上では、カットオフ値以上の患者で統計学的に有意差は認められませんでした。

 

正常BMI患者のBRI、ABSI及びWtHRのカットオフ値とURPL及び対照群との関係はカットオフ値以上の群では、有意なURPL率の上昇が認められました。

 

疾患のリスクを決定する際に、BMIの代替となる体脂肪分布を示す指標を用いることは、他の研究でも行われており、冠動脈疾患、糖尿病及びメタボリックシンドロームの予測において、ABSI、BRI、WtHRといった新しい指標がBMIよりも強い関係にあることが分かってきています。

例えば、ABSIで求められるウエスト周囲径が女性90cm以上が内臓脂肪型肥満の体型、BRIでは高値の場合の身体が楕円形で丸くて広い体型、WtHRではこの値が高値の場合の腰にくびれがなく、腹部に脂肪が蓄積しているいわゆる内臓脂肪型肥満の体型の方が疾患やURPLのリスクが高くなる可能性があります。

 

URPLの予測においても、これらの新しい指標をBMIの代わりに(もしくはBMIと共に)用いることが有効であることが示されました。

 

 

参考文献:Are the body shape index, the body roundness index and waist-to-hipratio better than BMI to predict recurrent pregnancy

       loss?

      (Tunay et al., Reprod Med Biol 2021)