6月26日~7月1日に第37回ヨーロッパ生殖医学会(ESHRE)がオンラインで開催され、当院からはポスター演題を1題発表しました。

続いて7月15~16日に第39回日本受精着床学会が神戸市で行われ(現地とオンラインのハイブリッド開催)、当院から1題の口演発表を行いました。


 

ESHRE

Significance of the phenomenon of blastomere exclusion from compaction: Its relation to irregular cleavage, blastocyst development rate, and pregnancy rate

(コンパクションからの割球除外現象の意義:不規則分割、胚盤胞発生率、妊娠率との関連)

 

受精着床学会

コンパクションからの割球除外によって胚盤胞の正倍数率が改善されることはない

 

 

どちらの発表も、一部の胚で観察される、細胞同士が融合(コンパクション)して桑実胚から胚盤胞になるときにいくつかの細胞が弾き出される現象について検討したものです。この「コンパクション時の細胞除外」は、*ダイレクト分割が起きた胚で多くなり、胚盤胞発生率と胚盤胞のグレードが低下しましたが、除外細胞の数が多くても良好な胚盤胞になれば移植妊娠率と流産率に影響はありませんでした(ESHREでの発表)。

また、この細胞除外が胚盤胞の染色体正常性に影響するかを検討したところ、影響は見られませんでした(受精着床学会での発表)。

 

*ダイレクト分割(direct cleavage):1つの細胞が3つ以上に分割する現象(通常は1つの細胞が2つに分割する)。ダイレクト分割では染色体が正常に分かれず染色体異常細胞が出来ることが多いとされており、胚盤胞発生率が低下しますが、胚盤胞になれば妊娠率、流産率ともに影響はないとの報告が多くあります。

 

(ダイレクト分割、コンパクション時の細胞除外については過去の記事(第62回日本卵子学会、第42回中部生殖医学会で一般口演を行いました)に動画を載せていますので興味がある方はご覧下さい)

 

 

ESHREでは、胚の初期分割異常によって染色体異常細胞ができた場合の「胚の自己修正」についての発表もいくつか行われていました。私たちの発表と同じように、桑実胚の時期の細胞除外に着目した報告も出てきており、胚が染色体の正常性を保つシステムについて一部が解明されていくかも知れません。

 

 

参考とした口演発表(ESHRE):

O-003: The puzzling unknowns of abnormal fertilization and first cleavage

Racowsky C, France

O-004: Self-correction in human preimplantation development: What do we know?

Campbell A, UK