今回ご紹介する論文はストレスが精巣機能に与える影響についてです。

 

対象は1215人のデンマーク人男性(中央値19歳)で2008年から2012年に調査されました。

コペンハーゲン心理社会的アンケートのストレス関連部分から4項目の質問を構成し、その平均スコアから各ストレスグループに分類されています。

 

結果はストレススコアが高い男性ほど精液の質が低下しています。

高ストレススコア群と中間ストレススコア群の比較では精子濃度で38%、総精子数で34%低く精液量は15%少ない結果となっています。

 

生殖ホルモンレベルで有意な関連は検出されませんでしたが、ストレススコアの高い男性でテストステロンが高い傾向がみられました。

 

ストレスが男性不妊に与える影響を検討する論文はいくつかみられますが、いずれも直近のストレスを調査しているものが多いです。

本論文は4~6週間前のストレスレベルを調査しており、これはヒトの精子形成サイクル(約74~120日)期間のストレスによる影響の検討をしています。

 

ストレスが精液に影響を与えるメカニズムについては不明です。

動物実験で生殖細胞とライディッヒ細胞(男性ホルモンであるテストステロンを分泌する)に糖質コルチコイド受容体(ストレスを受けると分泌されるホルモン)が存在しており、

高レベルの糖質コルチコイドが両方の細胞をアポトーシス(細胞の自死)に誘導すると考えられています。本論文ではこれがヒトにもあてはまるのではないかと考察しており、高ストレススコア男性のテストステロン分泌が高くなる傾向と一致しています。

 

ストレスは不妊以外にも多大な影響を与えます。

日常的にストレスを感じる方は軽減に努めてみてはいかがでしょうか。

 

参考文献:

Psychological stress and testicular function: a cross-sectional study of 1,215 Danish men

Fertility and Sterility VOLUME 105, ISSUE 1, P174-187.E2, JANUARY 01, 2016